2025.10.29
飛行ルール・法律
2025.07.30
ドローンを業務や趣味で活用するには、法律に基づいた飛行許可・承認の取得が欠かせません。
特に空港周辺や人口集中地区などの「特定飛行」を行う場合は、国土交通省が提供する「ドローン情報基盤システム2.0(DIPS2.0)」を通じて申請する必要があります。
しかし、初めて申請をする際、アカウントの開設方法や申請時の注意点、必要な書類など、不明点が多く戸惑ってしまうこともあるでしょう。
本記事では、DIPS2.0を利用したドローン飛行許可申請の流れをはじめ、個人・法人それぞれのアカウント開設方法をまとめました。
ログイン時の注意点、よくある質問への対応なども解説していますので、申請手続きに関する悩みを抱えている方はぜひ参考にしてください。
目次
ドローンの飛行許可申請は、基本的に国土交通省が提供する「ドローン情報基盤システム2.0」(以下、DIPS2.0)を通じて行います。
まずは「いつ」「どこで」「どのように」飛行させるのかを決めましょう。
その後、ドローンの飛行計画が「特定飛行(空港周辺、150m以上の上空、人口集中地区など)」に該当するかを確認することが重要です。
ドローンの重量が100g以上の場合は「DIPS2.0」で事前に機体登録を行わなければなりません。
あわせて、操縦者の技能証明の有無や、第三者賠償責任保険の加入も確認しておきましょう。
これらの準備が整ったら、DIPS2.0でアカウントを作成し、機体情報・操縦者情報・飛行マニュアルを入力して申請書を提出します。
申請後は地方航空局又は空港事務所によって審査が行われ、内容に不備がある場合は補正対応が必要です。
問題なく審査が完了すれば、許可・承認書がDIPS2.0上で発行されます。
ドローンの飛行許可を取得した後も、飛行前には飛行計画の通報、飛行後は実績報告が必要です。
DIPS2.0は国土交通省が提供するドローンの飛行許可・承認申請などを行えるオンラインシステムです。Webで検索すれば、DIPS2.0はすぐに表示されるため、トップページにアクセスしましょう。
注意点として「DIPS」だけで検索すると、すでに運用終了した旧システム「DIPS1.0」の情報が表示されるケースがあります。
検索する際は「DIPS2.0」または正式名称である「ドローン情報基盤システム2.0」とすることで、上記の問題を回避可能です。
初めて利用する際はアカウントの開設が必要で、以降はログインすることでシステムを利用できます。操作マニュアルも用意されているため、必要に応じて確認しながら進めるとよいでしょう。
DIPS2.0の個人アカウントを開設する場合、以下4つの情報が必要です。
なお、機体登録申請等を行う際には、マイナンバーカードや運転免許証による本人確認も必要です。
一方で住民票などの本人確認書類を用いる場合、機体登録申請時に郵送しなければなりません。
そのため、ほかの方法と比較すると開設までの時間が長くなってしまいます。
このことから、急いで機体登録を行いたい場合は「マイナンバーカード」もしくは「運転免許証」の利用を検討しましょう。
法人・団体でDIPS2.0アカウントを開設するには、以下9つの情報が必要です。
また、機体登録等を行う場合は事前にgBizIDの取得が必要です。登録完了までに2週間程度かかることもあるため、早めに準備しておきましょう。
法人や団体がDIPS2.0を利用して機体登録等を行うには、まず「gBizIDプライム」または「gBizIDメンバー」を取得しておかなければなりません。
このIDは法人情報を一元管理するためのもので、DIPS2.0申請時の本人確認の役割も兼ねています。
gBizIDプライムの取得には、申請書と印鑑証明書の郵送提出も必要です。
提出後、審査から発行まで通常1〜2週間かかるケースもあります。
あらかじめ申請スケジュールが決まっている場合は、早めにgBizIDを取得しておきましょう。
DIPS2.0アカウントを開設できたら、DIPS2.0の公式サイトにアクセスし、ログインしてください。
DIPS2.0アカウントを開設したら、DIPS2.0へのログインを行いましょう。
ログインの際は、発行されたIDとパスワードが必要です。
なお、DIPS2.0では自動ログイン機能がありません。IDとパスワードは忘れないように、しっかりと管理しておきましょう。
このとき、gBizIDの情報と混同しないように注意してください。ログインの際にgBizIDを入力しても、DIPS2.0へはアクセスできません。
gBizIDはあくまでも本人確認の役割を持つものと認識しておきましょう。
DIPS2.0のアカウント開設に関して、よくある質問を4つまとめました。
いずれも重要な内容になりますので、しっかりと把握しておきましょう。
DIPS2.0ではアカウント開設時に必要ありません。
機体登録等にはマイナンバーカード以外にgBizIDや運転免許証などを用いた本人確認が必要になるため、必要に応じて準備しましょう。
なお、マイナンバーカード(個人)やgBizID(法人・団体)を利用するメリットは「オンラインで本人確認が完了する」ことです。
DIPS2.0で開設したアカウントは、基本的に削除ができません。
アカウント自体の削除はできませんが、「登録機体」の情報は削除可能です。
登録機体を削除する場合は、メインメニューから「登録機体の削除」を選択します。
その後機体を選択し、削除する理由を入力してください。
内容を確認して問題がなければ削除しましょう。
個人事業主の場合、DIPS2.0アカウントの開設は「個人」または「法人・団体」のどちらでも可能です。
自身の事業内容に合わせて、開設方法を検討するとよいでしょう。
なお、個人として登録した場合は「個人名での申請」となり、屋号などは反映されません。
法人として登録した場合は事業者名義での管理が可能となり、業務上の申請や管理が効率化されます。
ドローンを用いた事業を行う場合や、継続的な申請が見込まれる場合には、法人でのアカウント開設を検討しましょう。
機体重量が100g以上のドローンは、DIPS2.0で機体登録が必要です。
100g以上の無人航空機については、機体登録が法律上義務付けられています。
DIPS2.0は機体登録だけではなく、特定の空域や飛行方法で飛ばすための「飛行許可・承認申請」や「飛行計画通報」等を行うことができるシステムです。
DIPS2.0でできることについては十分理解しておきましょう。
なお、DIPS2.0での飛行許可・承認申請時は事前に発行された登録記号の入力が必要となるため、先に機体登録を済ませておく必要があります。
バウンダリ行政書士法人
代表行政書士 佐々木 慎太郎
(Shintaro Sasaki)
行政書士として建設業などの根幹産業と関わり、ドローンに特化したバウンダリ行政書士法人を創設。ドローン運航に必要な包括申請から高難度な飛行許可申請、国家資格スクール(登録講習機関)の開設・維持管理・監査まで幅広く対応し、2023年のドローン許認可件数は10,000件以上を突破。
無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」を開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信。著書に『ドローン飛行許可の取得・維持管理の基礎がよくわかる本』(セルバ出版)がある。
YouTubeで日々ドローン法務に関する情報を発信中!「ドローン教育チャンネル」はこちら