2024.11.14
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2022.03.24
ドローンを飛ばす【空域】と飛ばす【方法】で、許可申請と、承認申請に分かれるのですが、本サイトでは許可でまとめることにします。申請をして、審査が通ればドローンを飛ばせるようになるということに変わりはありません。
以下の9つのうち、どれか1つでも当てはまるのであれば飛行許可申請が必要です。当てはまらなくても継続的に業務でドローンを飛ばす方で、1つでも可能性があるのであれば事前にドローン飛行許可申請をしましょう。
そしてこの以下9つは、飛行許可が必要かどうかを判断するための重要な知識です。朝起きたら顔洗いと歯磨きをするくらい当たり前の知識にしましょう(もし朝起きて顔洗いと歯磨きが当たり前ではない方がいらっしゃったらすみません)。
空港やヘリポートの周辺は、人が乗っている飛行機やヘリコプターとぶつかる可能性があるので許可申請が必要です。
空域の具体的な調べ方は国土地理院地図とインターネットで検索し、「空港等の周辺空域(航空局)」(図表9)を選択すると黄緑色で表示されます。この黄緑色で表示されていない場所は、許可申請が必要な空港やヘリポートはありません。黄緑色の範囲でも、許可申請が不要な場合があるので注意が必要です。
空港やヘリポートごとに、それぞれ許可申請が必要な高度が決まっています。羽田空港や中部国際空港(セントレア)のような大きな空港では「高さ制限回答システム」というものがあります。
国土地理院地図と同じようにインターネットで検索して住所を入力すると、許可申請が必要な高さ(標高)が分かります。
小さな空港やヘリポートの場合は直接問い合わせしてドローンを飛ばす場所を伝え、許可申請が必要なのかどうか確認しましょう。
〈空港等の周辺空域(航空局)〉出所:国土地理院地図
この高さも人が乗っている飛行機やヘリコプターとぶつかる可能性があるため、許可申請が必要です。
この150m以上というのは、「標高(海抜)」ではなく、「地表または水面」から150mです。例えば富士山の麓(ふもと)から150m以上で飛ばす場合と頂上から150m以上飛ばす場合の高さは全然違うように感じますが、両方とも許可申請が必要です。
人口が集中している地区ではドローンが不具合などを起こして墜落したときに人や物に接触する可能性が高くなるので、許可申請が必要です。
許可申請をするほぼ全ての人がこの人口集中地区内での許可を取得していると言っていいくらい申請数が多いです。人口集中地区はDID(ディーアイディー)地区とも呼ばれています。
空域の具体的な調べ方は国土地理院地図内で、「人口集中地区(総務省統計局)」(図表10)を選択すると黄緑色で表示されます。人口集中地区の定義や定期的な見直し方法などについても細かく決まっていますが、許可申請では、国土地理院地図の赤色で表示されている地域が人口集中地区ということだけ覚えていればとりあえず大丈夫です。
付近に人が誰もいなくても、自分の土地でドローンを飛ばすときも、人口集中地区(DID)内の空域であれば許可申請が必要です。この空域の中で少しでもドローンを飛ばす可能性があるのであれば、あらかじめ許可を取得しておくようにしましょう。
〈人口集中地区(総務省統計局)〉出所:国土地理院地図
夜間(日没から日の出まで)ではドローンの位置や姿勢だけでなく、周りの障害物などの把握も難しくなるので危険です。ドローンの適切な操作が難しくなり、墜落や機体を見失う可能性が高まります。
夜間になるかどうかについては国立天文台というところで詳細時間を発表していますが、覚えてもあまり役に立ちません。
夜間に飛ばす可能性が少しでもあるのであれば、あらかじめ許可を取得しておきましょう。ドローンから発する光を活用したイルミネーションショーなどが行われることがありますが、全てのドローンが夜間飛行の許可を取得しています。
目視とは、ドローンを飛ばしている人が自分の目で直接ドローンを見ることです。
コンタクトレンズやメガネを付けていても構いませんが、双眼鏡やドローンのカメラ映像が映し出されているモニターを見ながらドローンを飛ばすと目視ではなくなるので許可申請が必要です。
視野が限定されて周りに人や障害物などが無いかどうかの判断が難しくなり、危険だからです。
ドローンを飛ばしている人はモニターを見ながら操縦して、代わりに補助者がドローンを監視していたとしても目視外になります。
ドローンを直接見ていないので、ゴーグルを付けてドローンを飛ばすことも目視外です。ゴーグルを付けて飛ばすことをFPV(ファーストパーソンビュー)飛行とも呼ばれています。FPV飛行は一人称視点でドローンを飛ばすことができるので、自分がドローンになって空を飛んでいる感覚を味わうことができます。
〈実際のドローンのカメラ映像〉
ドローンは、人または物件から30m以上の距離を保って飛行させることになっています。30mの距離を保てない場合は許可申請が必要です。
人というのは第三者、物件というのは第三者が管理している建物や自動車などの物件です。非常に大切なのでもう一度触れますが、「第三者」とはドローンの飛行に直接的・間接的に関わっていない、身元が特定されていない人です。
木や雑草などの自然に存在しているものは物件ではありません。物件として見落としやすいものとしては、電柱、電線、信号機や街灯などです。
田舎で人口集中地区(DID)でもないし第三者が近くにいないから許可無く飛ばしても大丈夫と思っている人も多いので、常に確認するようにしましょう。
沢山の人が集まるイベント(催し)が行われている場所の上空ではドローンが落ちたときに被害が大きくなる可能性が高いので、飛ばすためには許可申請が必要です。
具体的にはそのイベントが「特定の日時、特定の場所に不特定多数(数十人以上)の人が集合するものかどうか」を主催者の意図なども考慮して総合的に判断します。夏祭りや屋外で開催されるコンサートがイメージしやすいかもしれません。
人混みや信号待ちの集団など、自然発生的なものはイベントではありません。人が特定されている場合もイベントではありません。
イベントでいうところの不特定多数は、「多数の第三者」と同じ意味で、ドローンの飛行に直接的・間接的に関わっていない、身元が特定されていない人たちのことです。イベント上空での飛行許可は他の申請と比べて件数が少なく、少し難しいので本書ではあまり触れません。
バッテリー(電池)、ガス、燃料、農薬や火薬類を輸送するときに必要な飛行許可です。万が一墜落したら被害が大きくなる可能性が高いということが理由です。
ドローンが飛ぶために必要なバッテリーや燃料は危険物には含まれません。イベント上空での飛行許可申請と同じく、比較的申請件数が少ないマイナーな申請です。具体的には農業で農薬散布をするときに申請が必要です。
ドローンから物件を投下すると、地上にいる人や物件に危害が出たり、ドローン自体も物件を投下するときにバランスを崩す可能性があり危険なので、許可申請が必要です。
物件は物だけではなく、液体や霧状のものも物件投下になります。農薬はもちろん、危険は少ないですが水を散布するときも物件投下の許可申請が必要です。宅配などで物件を地面に置く場合は、投下していないので許可申請は必要ありません。この許可も申請件数が少なく、実際に申請する機会はあまり無いと思います。
現在日本ではルール(法律)を守ることが当たり前になっています。ドローンを業務で飛ばす人はほぼ必ずどこかで飛行許可が必要な場面が出てくるので、事前に適切な飛行許可を取得するようにしましょう。業務を依頼する側も、法律違反になる可能性があるので適切な飛行許可を取得していない方には依頼しないという傾向があります。
飛行許可の制度が始まった平成27年12月からおおよそ1年間は1ヵ月に1000件前後の申請でしたが、令和3年度には多い月では1ヵ月に6000件近くの許可申請が行われている月もあります。今後も増加することが見込まれています。
バウンダリ行政書士法人
代表行政書士 佐々木 慎太郎
(Shintaro Sasaki)
行政書士として建設業などの根幹産業と関わり、ドローンに特化したバウンダリ行政書士法人を創設。ドローン運航に必要な包括申請から高難度な飛行許可申請、国家資格スクール(登録講習機関)の開設・維持管理・監査まで幅広く対応し、2023年のドローン許認可件数は10,000件以上を突破。
無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」を開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信。著書に『ドローン飛行許可の取得・維持管理の基礎がよくわかる本』(セルバ出版)がある。