boundary

ドローンによる熊対策とは?活用事例や導入のポイントを解説

2026.03.11

ドローンによる熊対策とは?活用事例や導入のポイントを解説

全国各地で熊出没のニュースを目にする機会が増え、不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
「ドローンを使えば、安全な距離から対応できるのでは?」と考える方もいるかもしれません。

すでに北海道や東北地方など熊の出没が多い地域では、ドローンを活用した対策が進められています。
ドローンを使えば、不必要な駆除を減らしながら、地域住民の安全を守ることが可能です。

本記事では、ドローンによる熊対策の具体的な方法や、導入のポイント、実際の活用事例を詳しく解説します。

安全かつ効果的に熊対策を進めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

ドローンが熊対策で注目される理由

ドローンによる熊対策とは?活用事例や導入のポイントを解説

ドローンによる熊対策の取り組みは、複数の自治体で実用段階に入っており、注目を集めています。

背景には、熊による人的被害の増加があります。

従来の対策では人が直接現場に足を運ぶ必要があり、危険にさらされる可能性が高いという課題がありました。

しかし、ドローンを活用すれば遠隔操作で安全に熊対策を行えます。

また、ドローンは1日最大200ヘクタールもの広大なエリアを短時間で移動可能であり、険しい山岳地帯など、人が入りにくい場所でも捜索できます。

さらに、収集した映像や位置情報をデータ化することで、熊の出没パターンや、対策が必要な箇所を可視化します。

これらの科学的根拠は、より効果的な対策の立案に役立つでしょう。

今後もこの動きは加速することが予想できます。

熊対策での3つのドローン活用法

ドローンによる熊対策とは?活用事例や導入のポイントを解説

この章では、熊対策における具体的なドローン活用法をご紹介します。

それぞれの方法と効果を理解することで、自分の地域や状況に合った対策方法を見つけられるでしょう。

赤外線カメラ搭載のドローンで熊を捜索する

熊の早期発見に特に効果的なのが、赤外線カメラを搭載したドローンによる捜索です。

赤外線カメラでは体温検知で高い確率で熊を発見でき、熊が茂みに隠れている場合や夜間でも発見できます。

また、ドローンは広範囲を短時間で調査できるため、人的コストの大幅削減が可能で、熊との遭遇リスクを避けながら安全に広いエリアを捜索できるでしょう。

実際に、複数の自治体が、熊をはじめとする野生動物の生息状況の把握に赤外線カメラを搭載したドローンを使用しています。

特に、夜間の捜索や、人が立ち入りにくい山林での調査で大きな成果を上げている点が特徴です。

ドローンで熊の個体を識別する

ドローンは熊の捜索だけでなく、個体調査でも活躍します。

熊を科学的・計画的に保護管理するためには、熊がどこに何頭生息しているかの動向を正確に把握しなければなりません。

ドローンを活用すれば、上空からの撮影でも毛色の違いから個体を判別できるなど、詳細で正確なデータを把握できます。

さらに、体の大きさからおおよその年齢を推定することや、大きい個体であれば性別を判別することも可能です。

こうした情報を蓄積することで、地域ごとの熊の個体管理に役立てられるでしょう。

ドローンで熊を追い払う

ドローンは、熊の不要な駆除を避けながら、追い払うことにも利用できます。

熊に近づくことなく市街地侵入を未然に防ぎ、人的被害のリスクを軽減できます。

早期に追い払うことで、熊が人間の生活圏に慣れてしまうことを防げるでしょう。

例えば、ドローンに搭載したスピーカーを使って大音量の忌避音を出し威嚇する方法や花火などの装置を搭載し、音と光による刺激で熊を安全に山へ帰す方法などがあります。

人身被害を防ぎつつ、熊との適切な距離を保つ取り組みが可能になるはずです。

自治体や企業による実際の活用事例

ドローンによる熊対策とは?活用事例や導入のポイントを解説

実際に、複数の自治体でドローンを活用した熊対策で成功しているケースもあります。

各自治体の地域特性をいかした取り組みをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

【砂川市】サーモグラフィ搭載ドローンでの熊の潜伏調査

北海道砂川市では、多い日には1日で4件もの熊目撃情報が寄せられてヒグマ注意報が発出され、住民の不安が高まって迅速かつ安全な対策が求められていました。

そこで市と消防署は協力体制を構築し、サーモグラフィカメラを搭載したドローンを使って熊の調査を実施したそうです。

熊が目撃された道路の閉鎖と立ち入り制限のほか、市のホームページで熊の目撃情報を随時発信し、住民への注意喚起を徹底しました。

これらの取り組みで、人の危険を回避しながら効率的に熊の調査を行い、現在も熊対策の一環として継続されています。

【名寄市】音響・花火搭載ドローンでの追い払いと避難誘導

北海道では「北海道ヒグマ管理計画」を策定し、ヒグマのゾーニング管理を推進しています。

この計画に基づき、先進的なドローン活用に取り組んでいるのが名寄市です。

市、警察、民間企業が連携し、総合的な熊対策体制を構築しました。

具体的には、スピーカーと花火を搭載したドローンを使用し、大音量で猟犬の吠える声を流すことで熊を追い払います。

また、スピーカーを通して住民に避難を促すアナウンスを行い、安全確保と追い払いを同時に実施できる体制を整えました。

さらに、市のホームページでドローン活用に関する呼びかけを行い、住民の理解と協力を得る努力をしています。

こうした丁寧な発信により、緊急時のドローン運用に対する住民の理解を得ることに成功しました。

【岐阜県】県主導で関係者と連携した広域の追い払い対策

岐阜県では熊の出没件数が増加し、人的被害が前年と比べて上昇する深刻な状況にありました。

そこで、県が主導し、地元関係者や猟友会と協力体制を構築しました。

ドローンで熊が忌避する音を鳴らしたり追い払い花火を使用したりすることで、熊を人里に近づけない対策を実施しています。

県レベルで広域的に取り組み、複数の市町村にまたがる熊の移動にも効果的に対応できる体制の整備に取り組んでいます。

ドローンで熊対策する際の注意点

ドローンによる熊対策とは?活用事例や導入のポイントを解説

ドローンは熊対策に有効なツールですが、活用するにあたっていくつかの点に留意しなければなりません。

ドローンは天候の影響を受けやすく、強風や雨が続く状況では安全な飛行ができません。

また、夜間飛行には特別な許可が必要となるほか、飛行禁止区域や高度の制限など、航空法による規制を遵守する必要があります。

さらに、安全面のリスク対策も不可欠です。

ドローンを熊に近づけすぎると、刺激してしまい予期せぬ行動を引き起こす危険性があります。

そのほか、機体トラブルや墜落のリスクは常に伴うため、定期的なメンテナンスや飛行前のチェックを徹底することが欠かせません。

熊対策に有効とされるドローンですが、これらの注意点を考慮したうえで、地上からの監視や電気柵の設置、住民への啓発活動など、従来の対策と組み合わせることでより効果的な熊対策を行えると考えられます。

ドローンで熊対策を導入する際の3つのポイント

ドローンによる熊対策とは?活用事例や導入のポイントを解説

ドローンで熊対策を行う場合も、関連法規の遵守が必要です。

また、熊との距離を保って安全に対策するには、決められた基準を満たした飛行レベルが求められます。

この章では、ドローンで熊対策を導入する際に押さえるべき重要なポイントを3つご紹介しましょう。

熊対策に必要な機能を搭載する

どのような熊対策を行うかによって、ドローンに必要な機能は大きく異なります。

熊を見つける、追跡する、威嚇するといった目的に適した機能が必要で、山岳地帯や森林など場所的な制限にも耐えられる性能が求められます。

目的

必要な機能

夜間や茂みでの捜索

赤外線やサーモグラフィカメラ搭載

個体識別

高解像度ズームカメラ

広範囲の捜索、長時間の監視

長時間飛行バッテリー

追い払い

スプレー、音響装置や照明装置を搭載できる機体

目的を明確にしたうえで、適切な機能を備えたドローンを選定することが重要です。

熊対策では「レベル3.5」以上で飛行する

熊対策でドローンを効果的に運用するには、適切な飛行レベルの許可や技術が必要です。

目視できない場所での飛行や、熊に近づかずに安全な場所からドローンを操縦するには、レベル3.5以上の飛行許可が適しています。

レベル3.5以上なら、以下の飛行が可能です。

  1. 補助者なしで広範囲の飛行ができる
  2. 車両が走っている道路を一時停止なしで横断できる
  3. レベル3飛行より立ち入り管理措置が緩い

レベル3以下の飛行では、目視できない場所では第三者が立ち入らないよう、看板を設置するなどの措置が必要で、道路横断時の一時停止や、移動車両上空の飛行禁止といった制限が設けられています。

ただし、レベル3.5以上の飛行では機上カメラで代替可能です。

これにより、車内などの安全な場所からドローンを飛ばせるため、熊が近くにいる状況でも危険を回避しながらの対策が行えます。

関係機関と連携して熊対策を進める

ドローンを使った熊対策では、関係機関との連携や地域住民の協力が不可欠です。

熊対策は単独で行うのは困難です。

自治体や警察、消防、猟友会など、複数の組織が連携する体制を構築することで、効果的な対策が可能になるでしょう。

そして、熊の目撃情報をリアルタイムで共有し、迅速に対応することで被害を最小限に抑えられます。

たとえば、自治体、警察、消防が連携することで、緊急時の避難誘導や立ち入り規制などを迅速に実施できるでしょう。

また、熊の習性や地域の地理に詳しい地元猟友会と連携することで、より効果的な追い払いや個体管理が実現します。

住民への情報提供には、市のホームページやSNSを活用した発信や防災無線を活用し、熊の出没情報や避難指示を素早く伝える体制を整えることが重要です。

ドローンでの熊対策に関するよくある質問

ドローンによる熊対策とは?活用事例や導入のポイントを解説

ここからは本文で解説しきれなかったよくある質問に回答します。

個人でもドローンによる熊対策はできますか?

自宅や自分の農地周辺の見回り程度なら、個人でもドローンを活用できるでしょう。

ただし、威嚇行為は熊を刺激して危険を招く可能性があるため避けるべきです。

熊の駆除は鳥獣保護管理法により、ハンター以外の個人が行うことは禁止されています。

さらに、広範囲での監視は機材コストや飛行許可の課題があり、個人では難しい場合がほとんどです。

自宅周辺などを個人で見回り監視する際でも、航空法に基づく飛行許可申請が必要です。

無許可での飛行は法律違反となるため、必ず適切な手続きを行いましょう。

ドローンで熊を発見したらどうすればよいですか?

ドローンで熊を発見した場合、刺激する、追い払おうとする、近くに見に行くなどの行為は危険です。

すぐに、自治体や警察へ通報しましょう。

通報の際は、熊を目撃した位置や時間帯を正確に伝えましょう。

位置情報や撮影データがある場合は、自治体や猟友会の出没対策に役立つこともあります。

また、周囲に人がいれば、できる範囲で注意喚起を行ってください。

熊に近づかないよう呼びかけ、安全な場所へ避難するよう促しましょう。

ドローンで熊対策を行う場合、どのレベルの飛行が必要ですか?

熊対策には、レベル3.5以上の飛行を推奨します。

レベル3.5以上ならば物理的な立入管理措置不要で補助者なしでの飛行ができるため、作業員の安全を確保しながら対策ができます。

立入管理措置とは、飛行ルートに人が入らないよう補助者をつけたり看板を設置したりすることです。

 

飛行レベル

内容

熊対策での有効性

レベル1

目視内で近距離の操縦飛行ができる

レベル2

目視内で自律飛行ができる

レベル3

無人地帯で目視外飛行ができる(※立入管理措置が必要)

レベル3.5

無人地帯で目視外飛行ができる(※立入管理措置は不要)

レベル4

有人地帯で目視外飛行ができる

レベル3.5以上の飛行許可を取得することで、熊対策での実用性が大幅にアップするでしょう。

まとめ

ドローンによる熊対策とは?活用事例や導入のポイントを解説

ドローンを活用した熊対策は複数の自治体で実用化しており、安全を確保しながら効果的な対策を実施できる点が特徴です。

ドローンで熊対策する場合は、以下の3つのポイントを押さえましょう。

  1. 熊対策に必要な機能を搭載する
  2. 熊対策では「レベル5」以上で飛行する
  3. 関係機関と連携して熊対策を進める

また、天候の急変や機体トラブルによる運用の制限に加え、接近の仕方によっては熊を過度に刺激してしまうおそれがあるなど、留意すべき点も少なくありません。

これらを十分理解し、従来の対策と組み合わせれば効果的な対策が実現します。

安全を確保しつつ熊対策を進めるうえで、ドローンは今後ますます活用の可能性が広がるでしょう。

関連法規を遵守しながら、地域特性に合わせた導入を進めることが、効果的な熊対策につながります。

ドローン飛行の申請に関する細かいルールや運用上の注意点など、独自に調べただけでは不安が残る部分も、専門家のサポートがあればスムーズに進められます。

「どのレベルで申請すべきか分からない」「法規制を踏まえて導入したい」など、ドローンを活用した熊対策を検討中で、このようなお悩みや希望をお持ちの方は、お気軽にバウンダリ行政書士法人へご相談ください。

AUTHOR

執筆者

代表行政書士 佐々木 慎太郎

バウンダリ行政書士法人

代表行政書士 佐々木 慎太郎

(Shintaro Sasaki)

日本屈指のサポート実績を誇る、ドローン法務のプロフェッショナル

ドローンに関する許認可申請、許認可管理、法務顧問を専門とするバウンダリ行政書士法人の代表。飛行許可申請をはじめメーカー支援、登録講習機関の開設やスクール運営、事業コンサルティング、空飛ぶクルマなど支援の幅を広げ日本屈指のサポート実績を誇る。2025年のドローン許認可対応案件は10,000件以上、登録講習機関のサポート数は200社を突破。

無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」や公式LINEを開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信している。