2026.03.13
飛行ルール・法律
2026.03.13
ドローン飛行にかかるコストの約4割が「申請・調整」費用とされています。
現在、ドローンを飛ばすには、飛行のたびに個別の許可申請や関係者調整が必要で、その手間とコストがドローン活用の大きな障壁です。
その障壁を取り払い、日本の「空のインフラ」を整備するために国が進めているのが、2026年度本格始動の「ドローン航路制度」です。
この記事では、あなたのビジネスを加速させる可能性を秘めた新制度の全貌を徹底解説します。
制度導入の背景から、事業者が享受できるメリット、そして利用手続きの流れや懸念点までまとめました。
目次
「ドローン航路登録制度」とは、ドローンが飛べるあらかじめ設定された空域(ドローン航路)を複数の事業者が共有し、安全に運航できるようにルートや運航条件を定めて管理する制度です。
2026年度の本格導入を目指し、国と民間事業者が協力して準備が進められています。
ドローン航路制度に必要な手続きのひとつが、「ドローン航路登録制度」です。
ドローン航路登録制度は、ドローン航路を運営する事業者(ドローン航路運営者)が管理する航路を登録することを指します。
従来、ドローンを飛ばすには個別の許可申請が必要でした。
今後は、ドローン航路の利用で手続きが簡略化されると期待されています。
まず、ドローン航路登録制度が推進されている背景や目的、現状、今後の予定を確認し、自社事業に活用できるのかを確認していきましょう。
ドローン航路制度は、デジタルライフラインの構築に向けた「空のインフラ整備」として、官民が協力して推進しています。
これには、国の抱える課題が背景にあります。
国民生活や経済活動に必要なサービスを継続的に提供するためには、物理的距離や人材不足の課題を解決しなければなりません。
そのためには、データによる最適化とデジタルライフラインが基盤となります。
しかし、現状では各企業が個々で取り組んでいるため十分に普及できていないのです。
ドローン事業でいえば、運航者が個々に申請やコストを管理しているため、その負担に耐えられる企業でなければ参入しにくいのが現状です。
また、統一された基準がないために事業者ごとに安全のレベルにばらつきがあります。
これらの課題を解決し、日本全国で等しくデジタル技術の恩恵を受けられるようにするためのプロジェクトとして、国主導でドローン航路制度の整備が進められています。
人口減少が大きな課題となる現代では、デジタル技術の恩恵を全国にいきわたらせることがドローン航路制度最大の目的です。
現在、ドローンを飛行させる場合、一定の条件を満たす場合を除いて、国土交通省へ許可・申請が必要です。
この手続きが飛行のハードルを上げており、ドローン活用の普及を妨げています。
そこで、事前にドローンが飛行するルートや制約を決めることで、これらの課題解決を目指しています。
ドローン航路制度導入により、期待できる効果は次の3つです。
これらの効果により、ドローンの活用が社会全体に広まり、物流の最適化や地域サービスの充実が実現します。
その結果、人口減少の時代においても持続可能な社会の構築につながるでしょう。
ドローン航路制度は、2026年度の本格始動を目標に整備が進められています。
2025年3月には、秩父エリアと浜松市で先行的な実証実験が開始されました。
これらの地域では、以下のような取り組みが行われています。
またこの実証データを参考に、全国展開に向けたガイドラインや基準が整備されている段階です。
現在は実証段階ですが、2026年の本格始動に向けて制度の設計と技術開発が着実に進められています。
ドローン航路制度は、2026年度以降の全国展開を目指して社会活用、技術開発、環境整備がそれぞれ進められる予定です。
具体的には、複数のドローン航路運営者が管理するドローン航路を相互に乗り入れできるようにガイドラインが整えられます。
そこから、全国的にドローン航路網を構築していきます。
さらに、日本で培ったノウハウをもとに、同様の課題を抱える諸外国への展開も目標のひとつです。
ドローン航路制度は、国内の制度整備にとどまらず、世界的な「空のインフラ」としての発展が期待されています。
ドローン航路の利用手続きは、オンラインで完結できるよう整備が進められています。
将来的には「ドローン航路システム」を利用して、簡単に手続きができる予定です。
現段階で発表されている、始動までの想定フローは以下の通りです。
これらの手続きは、従来の個別申請と比較すると大幅に簡略化されています。
特に、繰り返し運航する予定の事業者にとっては大きなメリットとなるでしょう。
ドローン飛行時には、日時、高度、飛行目的などの詳細な申請が必要です。
さらに、地域の関係者との調整、周知活動、経路のリスク評価などを個別に行う必要があり、ドローン事業者にとって大きな負担となっています。
ドローン航路が整備されることで、これらの負担を大幅に削減できると期待されています。
ここからは、ドローン航路制度のメリットを詳しく確認していきましょう。
登録済みのドローン航路を利用することで、ドローン事業者は申請にかかっていた時間と費用を大幅に削減できます。
従来は飛行ルートごとに地上関係者との調整や、国土交通省へ個別で申請が必要でした。
この手続きにかかるコストは、ドローン事業のコスト構造のうち約40%を占めているといわれています。
ドローン航路制度では、地上関係者や自治体との調整、飛行時間や高度の制限確認、国土交通省への申請手続きなどが、ドローン航路運営者を通じて一元化される予定です。
これにより、ドローン事業者はコストの大幅な削減が期待できます。
さらに、削減されたコスト分をサービスの価格に反映できれば、さまざまな事業に取り組みやすくなるでしょう。
事前にルールや運航条件が定められているため、衝突リスクやトラブルの軽減が期待できます。
登録された航路では、飛行高度、速度、時間帯などが規定されます。
また、地上関係者や上空関係者も事前に飛行エリアを認識できるため、予期せぬ事故の防止につながるでしょう。
さらに、整備が進められている「ドローン航路システム」を活用しデータを分析することで、ヒヤリ・ハット事例を共有し、安全性の向上にもつなげられます。
統一されたルール下での運航が安全確保につながり、ドローン事業全体の信頼性向上と発展につながるでしょう。
飛行までにかかっていた準備期間が短縮されるため、ドローンを使ったサービス提供のスピードアップが実現します。
従来は、飛行ごとに許可申請を行い、承認を待つ必要がありました。
しかし、事前に登録された航路を利用できるようになれば、飛行までの時間短縮が可能です。
たとえば、医薬品が緊急に必要な山間部や離島への即時配送や、当日配送が可能になるなど、物流サービスの向上にも期待できます。
スピーディな運航の実現により、ドローンビジネスの可能性が大きく広がるでしょう。
ドローン航路登録制度には多くのメリットがある一方で、いくつかの懸念点も抱えています。
既存のドローン事業者や、柔軟な飛行を望む事業者にとっては障壁となる可能性があります。
主な懸念点は次の3つです。
これらの懸念点を理解し、自社事業への影響を見極めましょう。
航路が整備されることで、航路を利用しない自由な飛行をしたいときでも、制限やルールが設けられる可能性があります。
ガイドラインは、ドローン航路以外をドローンが飛行することを妨げないとしています。
しかし、航路が設定されたエリアでは、航路を利用した機体と個別申請した機体が混在するため、安全を確保するために一定の調整やルールが必要になるでしょう。
たとえば、航路上を飛行する機体と個別申請で近くを飛行する機体が干渉しないようにするには、時間や高度を調整する必要性がでてくるかもしれません。
また、直線距離で近いルートがあっても、航路を迂回する必要が生じて遠回りになる可能性も考えられます。
航路外の飛行は引き続き可能ですが、同じ空域を安全に利用するために調整は必要になるでしょう。
航路の確認や申請、予約などの手続きが複雑になる可能性があります。
現在、国土交通省への申請は一元化されていますが、ドローン航路制度が導入されると、複数のドローン航路運営者が存在するため、それぞれ異なるルールや手続きが必要になるかもしれません。
法令遵守のために、事業者には複数の航路ルールを把握する必要が生じ、教育コスト増加の可能性があります。
ドローン航路の整備でドローンを利用する企業や機体が増え、さらに制限やルールが増え複雑になることもあるでしょう。
ドローン航路が整備されることで、混雑や渋滞の発生する可能性があります。
ドローン航路の整備で飛行のハードルが下がるため、ドローンの数が増えることが考えられます。
効率的で需要の高いルートを多くの事業者が利用し、混雑が発生することもあるでしょう。
たとえば、都市部などの需要の高いルートや、需要が集中する時間帯の予約が難しくなる可能性があります。
また、大手企業が予約枠を大量に確保してしまうと中小企業や個人事業者が利用しにくくなる懸念もあります。
資金力のある企業が有利になり、かえって参入の障壁になる可能性も考えられるでしょう。
ここからは、ドローン航路制度に関するよくある質問にお答えします。
現時点では、航路外での飛行が完全に禁止される可能性は低いでしょう。
ガイドラインには「ドローン航路はその経路以外を飛行することを妨げたり、その経路を占有的に使用したりするものではない」と明記されています。
しかし、ドローン航路が普及するとドローンの数が増えるため、自由な飛行に制限がかかるかもしれません。
ドローン航路の登録は、ドローン航路を運営・管理する「ドローン航路運営者」が行います。
ドローンを飛ばしたい事業者は、航路を新たに登録申請する必要がなく、登録されているドローン航路を利用できる仕組みです。
これにより、事業者がドローンを飛ばす際の負担が大きく軽減されます。
ドローン航路制度により、物理的に距離がある地域や人手が少ない地域へサービス普及が加速するでしょう。
国としては、デジタル技術の恩恵を全国に行き渡らせることが目的のひとつです。
具体的には、山間部や離島への配送サービス、ドローンデリバリーの普及、警備や防犯への活用が考えられます。
ドローン航路制度は、物流の効率化だけでなく地域課題の解決や新しいビジネスの創出につながる可能性を秘めています。
ドローン航路制度が始まると、登録された航路を利用する場合の手続きは大幅に簡略化されます。
しかし、航路を利用しない飛行が必要になるケースもあるでしょう。
バウンダリ行政書士法人では、ドローンに関する各種手続きをトータルサポートいたします。
「自社の事業で航路を利用するべきか判断したい」
「ドローン航路が整備されていないエリアで飛行したい」
このような希望をお持ちの方は、バウンダリ行政書士法人へご相談ください。
実際の航路登録の支援も対応予定です。
ドローン航路制度ならびに、ドローン航路登録制度は2026年度の本格始動に向けて準備が進められています。
この制度により、ドローン運航時の手続きが大幅に短縮でき、コスト削減やスピーディな運航が実現できるでしょう。
一方で、ルートの自由度低下や混雑の可能性などの懸念点も存在します。
制度の動向に注目し、自社のビジネスにどのような影響があるかを見極めることが重要です。
また、バウンダリ行政書士法人では、ドローンに関する豊富な知識と実績を持つ専門家が、お客様一人ひとりの状況に合わせたサポートを提供しています。初回無料相談も受け付けているため、些細なことでも気軽にお問い合わせください。
バウンダリ行政書士法人
代表行政書士 佐々木 慎太郎
(Shintaro Sasaki)
ドローンに関する許認可申請、許認可管理、法務顧問を専門とするバウンダリ行政書士法人の代表。飛行許可申請をはじめメーカー支援、登録講習機関の開設やスクール運営、事業コンサルティング、空飛ぶクルマなど支援の幅を広げ日本屈指のサポート実績を誇る。2025年のドローン許認可対応案件は10,000件以上、登録講習機関のサポート数は200社を突破。
無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」や公式LINEを開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信している。