2025.11.14
飛行ルール・法律
2025.11.14
ドローンの活用は、農業・建設・物流・点検など幅広い分野で進んでおり、今や新しい事業や効率化の切り札として注目を集めています。
しかし、導入や操縦資格の取得には高額な費用がかかるため、コスト面が課題になるケースも少なくありません。そこで注目されているのが、国や自治体が提供する「ドローン導入向け補助金・助成金制度」です。
これらを活用することで、購入費用や資格取得の負担を軽減し、導入をスムーズに進められます。
本記事では、2025年最新版のドローン補助金制度を目的別にわかりやすく解説し、さらに申請時の注意点や成功のポイントまで紹介します。
これからドローン導入を検討している企業や個人の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ドローン市場は急成長を続けており、インプレス総合研究所の調査によると、2025年度の日本国内市場規模は約5,000億円です。
測量、点検、監視、物流といった産業分野での活用が加速し、2030年度には1兆円以上まで拡大する見通しです。
この成長の背景には、技術革新による性能向上、規制緩和の進展、そして産業ニーズの拡大があります。
特に人手不足を背景とした省人化・効率化への期待が高まっています。
しかし多くの事業者が「資金が不足している」「予算内で購入できる機体が限られている」といった課題を抱えているのも現実です。
補助金制度を活用すれば購入負担を半額以下にできる可能性もあり、DX推進や生産性向上の実現に向けた強力な支援策となります。
ドローン導入を支援する国の補助金制度は、事業者のニーズに応じて複数の選択肢があります。
機体購入や新事業展開には「ものづくり補助金」や「中小企業新事業進出促進補助金」が適しており、小規模投資や販路開拓には「小規模事業者持続化補助金」が有効です。
また、補助金ではありませんが、操縦者の資格取得には「人材開発支援助成金」を活用できます。
以下の表で各制度の特徴を確認し、自社の投資規模や目的に最適な補助金を選択しましょう。
【各制度の概要】

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上や持続的な賃上げに向けた新製品・新サービスの開発に必要な設備投資を支援する制度です。
機械装置・システム構築費が必須経費となっており、ドローン本体や関連ソフトウェアの導入に活用できます。
【制度概要】
目的:中小企業・小規模事業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた、新製品・新サービスの開発や生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援する 。
補助上限額:
【製品・サービス高付加価値化枠】
従業員数に応じて変動。
・5人以下:750万円
・6~20人:1,000万円
・21人以上:1,250万円
※公募回により変動する場合があります。
【グローバル枠】
・3,000万円
補助率:
・中小企業:1/2
・小規模事業者、再生事業者:2/3
補助対象経費:
【必須経費】
・機械装置・システム構築費(ドローン本体や関連ソフトウェアなどが該当)
【その他経費】
技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費など。
ドローン分野での具体的な活用事例は以下の通りです。
【インフラ点検・検査サービスの高度化】
【高精度な測量システムの構築】
【農業分野での効率化】
【新規ドローンの開発】
小規模事業者持続化補助金は、従業員数の少ない小規模事業者の販路開拓や生産性向上を支援する制度です。
ドローン本体の購入だけでなく、既存のドローン関連サービスをPRするための広告費なども対象となる点が特徴となっています。
【制度概要】
目的:
持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者の販路開拓や生産性向上の取り組みを支援する。
対象者:
常時使用する従業員数が以下の条件を満たす小規模事業者(法人・個人事業主など)。
・商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く):5人以下
・上記以外(製造業、宿泊業など):20人以下
補助上限額:
・通常枠:50万円
・賃金引上げや後継者支援などの特定の要件を満たす場合、最大200万円まで上限が引き上げられる
補助率:
・原則 2/3
・賃金引上げ枠に取り組む赤字事業者の場合は3/4
補助対象経費:
販路開拓や生産性向上に必要な幅広い経費が対象となる。
・機械装置等費(ドローン本体購入など)
・広報費(チラシ・広告など)
・ウェブサイト関連費
・展示会等出展費
・開発費
・委託・外注費 など
ドローン購入だけでなく、既存のドローン関連サービスをPRするための広告費なども対象となり、具体的な活用事例は以下の通りです。
【不動産・観光業】
【建設・点検業】
【農業】
【その他(新規事業・販路開拓)】
中小企業新事業進出促進補助金は、事業再構築補助金の後継として2025年から新設された制度です。
既存事業の延長ではなく、ドローンを活用した新規事業への挑戦が必須要件となっており、補助下限額が750万円に設定されているため、比較的大規模な投資に適しています。
【制度概要】
目的:
既存事業とは異なる新製品・新サービスといった新規事業への前向きな挑戦を支援する。
対象者:
企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業など。
補助上限額:
従業員数に応じて変動。補助下限は750万円。
・20人以下:2,500万円
・21~50人:4,000万円
・51人以上:5,500万円~
・101人以上:7,000万円~
補助率:1/2
補助対象経費:
建物費(事業所の新築・改修など)、構築物費、機械装置・システム構築費(ドローン本体など)、技術導入費、広告宣伝・販売促進費、外注費など。
補助上限額が最大1.5億円と大きい一方で、補助下限額も設定されているため、比較的大規模な投資に向いており、具体的な活用事例は以下の通りです。
【ドローンスクール事業への新規参入】
【建設・リフォーム分野での新サービス展開】
【専門サービス事業の立ち上げ】
【観光・レジャー分野での新体験の創出】
人材開発支援助成金は、機体購入ではなく、従業員のスキルアップ(人材開発)を目的とした制度です。
ドローンスクールの受講料などが対象となり、ドローンの国家資格取得コースにも適用できるため、最大約60%の受講料削減が実現できます。
【制度概要(事業展開等リスキリング支援コース)】
目的:
目的 従業員が職務に関連した専門的な知識・技能を習得するための訓練費用や、訓練期間中の賃金の一部を助成する。
対象者:
雇用保険の被保険者である従業員。
※事業主および役員は対象外となる。
助成率・助成限度額:
【経費助成(受講料への補助)率】
・中小企業:75%
・大企業:60%
【賃金助成(訓練時間中の賃金への補助)限度額】
・中小企業:1時間あたり1,000円
・大企業:1時間あたり500円
※1事業所1年度あたり1億円
対象となる経費:
ドローンスクールでの国家資格取得コースの受講料など。
※訓練時間数が10時間以上であることが条件。
注意点:
助成金は、講習を修了した後に申請・受給する後払い形式。受講時には、一旦費用の全額を支払う必要がある。
対象者が法人・個人事業主の「従業員(雇用保険の被保険者)」であり、個人での受講は対象外となる点に注意が必要です。
また、助成金は後払い形式のため、受講時には一旦全額を負担する必要があります。
国の補助金に加えて、各都道府県や市区町村が独自にドローン導入やドローンスクール受講を支援する補助金制度を設けている場合があります。
自治体の補助金は、スマート農業の推進や観光振興など、地域ごとの課題解決を目的としていることが多く見られます。
申請期間が限定的である場合が多いため、自社が所在する自治体のホームページなどを定期的に確認することが重要になります。
補助率や対象経費、申請条件も自治体によって大きく異なるため、詳細な制度内容を事前に把握しておく必要があるでしょう。
全国の自治体で実施されているドローン関連補助金の具体例を、表形式で紹介します。

ドローン補助金の申請を成功させるためには、事前の準備と戦略的なアプローチが欠かせません。
単にドローンを購入したいという理由だけでは採択されず、明確な事業計画と将来の成長戦略を示す必要があります。
また、複雑な申請手続きを乗り越えるために、専門家のサポートを受けることも重要な選択肢となるでしょう。
補助金の審査では、提出する「事業計画書」の内容が最も重要視されます。
ものづくり補助金では「付加価値額の成長」(年平均3%以上増加)や「給与の成長」が、中小企業新事業進出促進補助金では「付加価値額の成長」(年平均成長率+4.0%以上)や「給与支給総額の成長」といった要件が設けられています。
ドローンを導入することで、自社の事業がどのように成長し、生産性が向上するのかを、具体的かつ客観的な数値目標を盛り込んで計画書を作成する必要があります。
単なる機器購入ではなく、事業全体の変革プランとして説得力のある内容を構築することが採択への鍵となるでしょう。
補助金申請は公募要領の読解や事業計画書の作成、提出書類の準備など、専門的な知識と多くの手間を要する作業です。
補助金申請を専門とする行政書士などのサポートを受けることで、採択率を大幅に高めることができます。
専門家は、最適な補助金の選定から、審査で評価される事業計画書の作成、電子申請の代行までをトータルでサポートしてくれます。
実績豊富な専門家による申請支援では補助金によっては採択実績が90%以上に達するケースもあり、確実性を重視する事業者にとって心強い味方となります。
補助金獲得後の事業展開まで見据えたコンサルティングも提供されるため、長期的な成功につながるでしょう。
ドローンビジネスの市場は年平均成長率18.6%で拡大を続けており、2030年度には1兆円以上に達する見込みです。
この成長市場において、補助金を活用した初期投資の軽減が事業成功の鍵となります。
国の主要制度から自治体独自の支援まで、さまざまな選択肢を活用すれば、ドローン購入費用を半額以下に抑えることも可能です。
補助金申請は複雑で専門知識が必要なため、自社に合った制度選びや申請手続きに不安がある場合は、専門家への相談が効果的でしょう。
バウンダリ行政書士法人では無料相談を実施しており、豊富な実績をもとに最適なサポートを提供しています。
ぜひ積極的に活用して、ドローン事業の成功につなげてください。
バウンダリ行政書士法人
代表行政書士 佐々木 慎太郎
(Shintaro Sasaki)
行政書士として建設業などの根幹産業と関わり、ドローンに特化したバウンダリ行政書士法人を創設。ドローン運航に必要な包括申請から高難度な飛行許可申請、国家資格スクール(登録講習機関)の開設・維持管理・監査まで幅広く対応し、2023年のドローン許認可件数は10,000件以上を突破。
無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」を開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信。著書に『ドローン飛行許可の取得・維持管理の基礎がよくわかる本』(セルバ出版)がある。
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