2026.01.19
申請方法(DIPS)
2026.01.19
ドローンの飛行マニュアルについて、その基本から作成方法、最新の改訂情報まで網羅的に知りたいとお考えではありませんか。
ドローンの飛行マニュアルは、単なる形式的な書類ではなく、安全運航体制そのものを示す重要な根拠資料であり、飛行許可の条件ともなっている添付資料です。
そこで本記事では、ドローン飛行マニュアルの基本的な位置付けから、航空局標準マニュアルと独自マニュアルの違い、作成・見直しの考え方、そして最新改訂動向までを体系的に解説します。
ドローン運航者としてのコンプライアンスと安全性を確実に担保したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ドローンの「飛行マニュアル」とは、安全な飛行を実現するために操縦者や関係者が守るべき事項(遵守事項)を取りまとめた、いわば「ルールブック」です。このマニュアルは、ドローンを安全に運航するための体制を維持する上で欠かせないものとなります。
国土交通省から許可・承認を得てドローンを飛行させる場合、この飛行マニュアルを必ず遵守しなければなりません。
実際に交付される許可・承認書には、「飛行マニュアルを遵守して飛行させること」という条件が明記されています。
もし、マニュアルの内容を守らずにドローンを飛行させた場合、それは違反となり、許可の取り消しや信用問題などの重大なリスクがあります。
国土交通省は、申請者の利便性を考慮し、「航空局標準マニュアル」を提供しています。この標準マニュアルを利用する最大のメリットは、申請書の一部である飛行マニュアルの作成を省略できる点にあり、多くの事業者が活用しています。
一方で、このマニュアルはあくまで標準的な飛行を想定して作られています。そのため、包括申請(飛行場所を特定しない申請)であっても、飛行できる場所や採用できる飛行方法に制限がかかるというデメリットが存在します。
したがって、利用する際はその内容を熟読し、ご自身の飛行形態と合致しているかを確認することが不可欠です。
ここからは、特に包括申請での利用頻度が高い「航空局標準マニュアル02」を中心に、その具体的な内容を掘り下げて解説していきます。
最新の航空局標準マニュアルは、国土交通省航空局のページで確認することができます。
航空局標準マニュアルは、申請の方法によって主に2種類が使い分けられています。
「航空局標準マニュアル01」は、飛行経路(場所)を特定して申請を行う「個別申請」用のマニュアルです。イベント上空、空港周辺での飛行や150m以上の高高度飛行など、特定の条件下で使用されます。対して「航空局標準マニュアル02」は、飛行経路を特定しない「包括申請」用のマニュアルです。
全国での空撮業務やインフラ点検など、反復・継続してドローンを飛行させる多くの事業者に利用されています。
内容としては、02が01の規定を多く含んでいる関係にあります。ご自身の申請が「個別」なのか「包括」なのかに応じて、適切なマニュアルを選択する必要があります。
安全な飛行は、機体が万全な状態にあって初めて実現します。
航空局標準マニュアルでは、機体の点検・整備について、以下のタイミングで実施すべき項目を具体的に定めています。
飛行前
飛行後
20時間の飛行ごと
これらの点検・整備の結果は、「無人航空機の飛行日誌」に正確に記録し、適切に管理することが義務付けられています。
一見地味な作業に見えますが、機体の異常を早期に発見し、飛行中の重大な事故を未然に防ぐために最も重要なプロセスです。
航空局標準マニュアルでは、操縦者が習得すべき技術と、飛行時に守るべきルールが厳格に定められています。
まず、基本的な操縦技量を習得するため、10時間以上の操縦練習を実施することが求められています。
この10時間の飛行経歴は、許可・承認申請における審査基準の一つともなっています。
さらに、実際の飛行にあたっては、以下のような事項を遵守することが義務付けられています。
第三者の上空ではドローンを飛行させない。
原則、風速5m/s以上の突風が発生するなど、安全に飛行できない事態では即時に飛行を中止する。
アルコールや薬物の影響下で飛行させない。
飛行前に、飛行経路や周囲の状況、気象情報を確認する。
DIPS2.0(ドローン情報基盤システム)を通じて、飛行計画を事前に通報する。
万が一、事故や重大インシデントが発生した場合は、速やかに国に報告する。
これらの遵守事項は、安全運航の根幹をなすルールです。
事故を未然に防ぐためには、操縦者個人の技術だけでなく、現場全体の安全管理体制が不可欠です。
標準マニュアルでは、原則として「補助者」の配置を求めています。
補助者は、ドローンの飛行状況や周囲の気象変化を常に監視し、第三者が飛行範囲に立ち入らないよう注意喚起を行うなど、操縦者の「目」として重要な役割を担います。
ただし、この補助者の配置は、一定の条件を満たせば省略することが可能です。
具体的には、飛行範囲に塀やフェンスを設置したり、看板やコーンを置いて立入管理区画を明示したりすることで、第三者の立ち入りを「確実に」制限できる場合です。
この措置を講じれば、補助者なしでの運用も認められます。また、レベル3以上(3/3.5/4)の飛行も補助者なしが前提の運用になっています。
また、標準マニュアルでは、学校、病院、高速道路、高圧線付近など、特に危険性が高い場所での飛行を原則として禁止しています。
これらの場所で飛行させるには、施設の管理者から依頼がある場合に限るなど、厳格な条件を満たす必要があります。
ドローンを取り巻く技術や環境は日々進化しています。それに伴い、飛行ルールも現実の運用に合わせて見直されています。2025年3月31日と12月26日には「航空局標準マニュアル」が改訂され、より現実に即した柔軟な運用が可能となりました。
この改訂は、近年のドローンの性能向上や、蓄積された運用実績を反映したものです。
ドローンを運用する操縦者や管理者は、この最新のルールを正確に理解し、日々の運航に反映させる必要があります。
特に注目すべき変更点として、風速・降雨時の条件緩和や、夜間飛行の安全ルールの変更、目視外飛行の要件追加などが挙げられます。
ここからは、今回の改訂で特に重要なポイントを3つに絞って詳しく解説します。
これまでの標準マニュアルでは、天候に関するルールは一律でした。具体的には、「風速5m/s以上の突風が発生した場合は即時に飛行を中止する」、「雨の場合や雨になりそうな場合は飛行させない」と定められていました。
このため、機体自体が高い耐風性能や防水性能を持っていても、マニュアルの規定によって飛行できないケースが多くありました。
今回の改訂で、このルールに重要な但し書きが追加されました。「製造者等が定める取扱説明書等にて確認している場合は、その条件による」というものです。
つまり、使用するドローンの取扱説明書に「風速10m/sまで飛行可能」や「防水等級IPX4」といった記載があり、その性能が保証されていれば、5m/s以上の風や雨天時であっても飛行が可能となったのです。
この変更により、特にインフラ点検や撮影業務など、天候に左右されやすい現場での利便性が大幅に向上しました。
夜間飛行に関する安全ルールも大きく変更されました。従来のマニュアルでは、「飛行高度と同じ距離の半径の範囲内に第三者が存在しない状況でのみ飛行を実施する」という厳格な要件がありました。
例えば、高度100mで飛行する場合、半径100m以内への第三者の立ち入りを管理する必要があり、都市部での実施は非常に困難でした。
今回の改訂で、この要件が削除されました。その代わりに、新たな要件として「日中、飛行させようとする経路及びその周辺の障害物件等を事前に確認し、適切な飛行経路を選定する」ことが追加されました。
これは、事前の入念な現地調査とリスク評価を徹底することを前提としています。
あらかじめ日中の明るいうちに、飛行ルート上に電線や樹木、建物などの障害物がないかを詳細に確認し、安全な飛行経路を計画することが、夜間飛行の必須条件となったのです。
より高度な飛行技術が求められる目視外飛行についても、安全対策が強化されました。
特に、補助者を配置しない、あるいは立入管理区画を物理的に設けない形での目視外飛行(レベル3.5飛行等)を行う場合、新たな要件が追加されています。
具体的には、「遠隔からの異常状態の把握、状況に応じた適切な判断及びこれに基づく操作等に関し、座学・実技による教育訓練を少なくとも10時間以上受ける」ことが必要となりました。
一方で、運航者の利便性を向上させる変更も行われました。従来、飛行の際には許可・承認書の「原本又は写し」を紙媒体で携行することが原則でした。
今回の改訂により、これが正式に緩和され、スマートフォンやタブレット端末などで「電子データの携帯でも可とする」と明記されました。
これにより、現場での書類管理の負担が軽減されます。
また、飛行マニュアルには操縦訓練についての規定も細かく定められていますが、国家資格(無人航空機操縦者技能証明)の有効な国家資格(飛行にあたって必要な限定解除を受けたもの。)の保有者は、操縦技量の維持に努めるものとし、その知識及び能力が適切に確保されている場合にあっては、操縦訓練を省略することができるという規定が明記されました。
航空局標準マニュアルは便利ですが、一部制限もあるため、業務の実態に合わないケースも少なくありません。
そこで登場するのが、「独自マニュアル」を作成するという選択肢です。
独自マニュアルとは、航空局標準マニュアルの内容を基本的な土台としつつ、事業者の具体的な運用実態や使用する機体の性能に合わせて、内容の変更や追記を行った飛行マニュアルを指します。
この独自マニュアルを作成する最大の目的は、標準マニュアルでは厳しく制限されている飛行を、追加の安全対策を講じることを条件に可能にすることです。
ただし、独自マニュアルを作成する場合、なぜ標準マニュアルから変更するのか、その代わりにどのような安全対策を講じるのかを合理的に説明する必要があります。
そのため、国土交通省による審査も標準マニュアルを使用するより厳しくなる傾向があります。
独自マニュアルを作成することで、業務の幅は大きく広がります。
標準マニュアルでは、夜間中の目視外は行えませんでした。
しかし、独自マニュアルで追加の安全対策(例:操縦者と補助者が携帯電話のグループ通話で常にお互いが連絡を取れる体制、操縦者の高度な訓練実績)を明記し、それが認められれば、これらの飛行を補助者なしで行うことが可能になります。
気象条件に関する制限の緩和もその一例です。2025年の改訂で機体性能に応じた飛行が可能になりましたが、独自マニュアルではそれ以前から、耐風性能の高い機体の使用を前提に、「機体性能に応じた飛行が可能」といった規定を認める対応が行われてきました。
これは独自マニュアルの内容が標準マニュアルに落とし込まれたケースです。
他に独自マニュアルの内容が標準マニュアルに落とし込まれたケースでは、、離発着場所で人や物件との距離30mを確保できない場合の対策を標準マニュアルに明記されたことで飛行を可能にするなど、現場の実態に即した柔軟な運用を実現できるようになりました。
今後も標準マニュアルの変更はしばらく続くと予想されます。
独自マニュアルを作成して申請する際は、いくつかの重要な注意点があります。
まず、DIPS2.0(ドローン情報基盤システム)で申請を行う際、「飛行マニュアルの選択」の項目で「航空局標準マニュアルと同等の水準ですか」という問いに「いいえ」を選択します。
その上で、変更点の詳細を記載し、作成した独自マニュアルのファイル(PDFなど)を添付する必要があります。
最も重要なのは、独自マニュアルに記載する内容です。航空法や審査要領の根本的なルールを逸脱する内容は記載できません。
例えば、「山林で第三者がいない可能性が高いから、立入管理措置を一切行わない」といった記載は、包括申請では認められません。
独自マニュアルとは、あくまで「標準マニュアルと同等以上の安全水準を、別の方法で確保する」ためのものであり、安全対策を省略するためのものではないのです。
作成にあたっては、安易にインターネット上のテンプレートを探すのではなく、自社の運用体制や使用機材、飛行場所のリスクを一つずつ評価し、それに対する具体的な安全対策を自らの言葉で言語化していく地道な作業が求められます。
ここまで解説してきたように、ドローンの飛行マニュアルは安全運航の根幹であり、その内容は非常に複雑です。
例えば、以下のような悩みをお持ちではないでしょうか?
このような悩みをお持ちの場合、ドローン法務の専門家である行政書士に相談することが、安全と効率を両立する最も確実な解決策となります。
専門家は、最新の法令や審査基準を熟知しており、貴社の運用実態に即した最適なマニュアル作成をサポートします。
バウンダリ行政書士法人では、ドローン飛行許可申請に関する長年の経験と豊富な実績に基づき、皆様からの無料相談を受け付けております。
標準マニュアルの運用相談から、複雑な独自マニュアルの作成代行まで、幅広く対応可能です。
安全でスムーズなドローン事業の展開のために、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
バウンダリ行政書士法人
代表行政書士 佐々木 慎太郎
(Shintaro Sasaki)
ドローンに関する許認可申請、許認可管理、法務顧問を専門とするバウンダリ行政書士法人の代表。飛行許可申請をはじめメーカー支援、登録講習機関の開設やスクール運営、事業コンサルティング、空飛ぶクルマなど支援の幅を広げ日本屈指のサポート実績を誇る。2025年のドローン許認可対応案件は10,000件以上、登録講習機関のサポート数は200社を突破。
無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」や公式LINEを開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信している。著書に『ドローン飛行許可の取得・維持管理の基礎がよくわかる本』(セルバ出版)がある。
・内閣府規制改革推進会議ワーキンググループメンバー
・国交省航空局無人航空機事業化に向けたアドバイザリーボードメンバー
・国交省多数機同時運航の普及拡大に向けたスタディグループメンバー
としてドローン業界の発展を推進しています。
さらに、国土交通省との人事交流も行い、行政と業界の橋渡し役として制度の合理化・適正化に尽力しています。
YouTubeと公式LINEで日々ドローン法務に関する情報を発信中!
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