2026.01.26
申請方法(DIPS)
2026.02.13
空飛ぶクルマは大阪・関西万博でも話題になり、ニュースで実証実験や試験飛行が報じられました。
「誰でも空飛ぶクルマを飛ばせるの?」「空飛ぶクルマを飛行させるには、許可が必要なの?」と、疑問に思う人もいるでしょう。
空飛ぶクルマの飛行には規制が設けられており、運航するには国の認可を受けなければなりません。
この記事では、空飛ぶクルマの運航に必要な許可や実用化への課題、メリットについてわかりやすく解説します。
空飛ぶクルマに対する知識を深めたい方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
空飛ぶクルマは、次世代の移動手段として世界中で開発が進められています。まずは、空飛ぶクルマの基本的な定義や特徴について理解を深めましょう。
空飛ぶクルマとは、電動垂直離着陸機(eVTOL)を中心とした次世代の移動手段です。
誰もが日常的に予約して利用できる、オンデマンド型の空の移動サービスを目指しています。
SF映画に登場するような道路を走る車両ではなく、日常的な移動手段として利用するイメージで「クルマ」という名称が用いられているのです。
国土交通省の資料では、「電動」「自動(操縦)」「垂直離着陸」という3つの特徴が空飛ぶクルマのイメージとされています。
都市部での送迎サービスや離島・山間部での移動手段、災害時の救急搬送などの活用が期待されており、機体の安全性や交通管理などの環境整備が進められています。
空飛ぶクルマはバッテリー駆動の電動推進、将来的な自動操縦の実現、完全な垂直離着陸という3つの特徴からヘリコプターと明確に区別されます。
ヘリコプターがジェット燃料でプロペラを回すのに対し、空飛ぶクルマはバッテリーで電動モーターを駆動するため、CO2の排出がなく環境負荷が低減され、静粛性が高いので騒音が小さいです。
また、空飛ぶクルマは真上への垂直離着陸が可能なため、斜めに離着陸するヘリコプターよりも狭いスペースでの運用が可能です。
さらに、空飛ぶクルマでは将来的に完全な自動・自律飛行を目指しており、パイロットの人件費が不要となるため、運航サービスにおける低コスト化が期待されているのです。
こうした特性から、ヘリコプター以上に都市部の送迎サービスや離島・山間部での移動手段として、高い実用性が見込まれています。
空飛ぶクルマとドローンは技術的に類似していますが、人の搭乗可否によって明確に異なります。
法律上ドローンは「無人航空機」として分類されており、構造上人が搭乗できない機体です。
一方、空飛ぶクルマは将来的に自動・自律飛行を目指していますが、人の搭乗を前提としているため、ヘリコプターと同様に「航空機」に分類されています。
空飛ぶクルマは、従来の航空機と同じように、原則、自動車の車検に相当する耐空証明の取得が義務付けられ、ドローンと比較するとより厳格な安全基準と規制が適用されます。
技術は類似していても、人命を預かる機体として異なる法的な枠組みが求められる点が特徴です。
ドローンについて、より詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
空飛ぶクルマの試験飛行には、航空法に基づく7つの許可取得が必要です。
上記でご紹介した手続き以外にも、ほかの法令によって異なる許可が必要になる場合があるため、注意しましょう。
世界各国で空飛ぶクルマの開発競争が加速しています。ここでは、海外と日本における最新の開発状況を見ていきましょう。
海外では、アメリカと欧州を中心にeVTOL(電動垂直離着陸機)を活用したUAM(都市型航空モビリティ)の実用化が急速に進んでいます。
アメリカのJoby Aviation社は、NASAと共同で実証飛行を重ねており、2018年、FAA(米連邦航空局)へ「Joby S4」の型式証明の申請をしており、認証取得を目指している状況です。
同じくアメリカのArcher Aviationは、United Airlinesとの提携により、都市間を結ぶ空中移動ネットワークの構築を構想しています。
同社では、2022年、FAAへ「Midnight」」の型式証明の申請をしており、認証取得を目指している状況です。
また、イギリスのVertical Aerospace社は、UK CAA(英国民間航空局)へ「VX4」の型式証明の申請をしており、2028年までに取得すると見込まれています。
このように、海外では各社が空飛ぶクルマの実用化に向けた具体的な取り組みを展開中です。
日本においては、025年の大阪・関西万博においてLIFT Aircraft社の「HEXA」、SkyDrive社の「SD-05」、Joby Aviation社の「Joby S4」がデモ飛行を実施しました。
万博を起点に、空飛ぶクルマの商用運航実現に向けた取り組みが本格化しています。
愛知県豊田市を拠点とするSkyDrive社は、すでにデモ飛行を成功させており、万博では機体の展示と運航を実施しました。
同社は、2021年に国土交通省へ「SD-05」」の型式証明を申請しており、2025年に適用基準が発行され、現在型式証明取得に向けて機体開発が進められている状況です。
また、ANAやJALといった大手航空会社も、空港と都市部を結ぶ新たな移動手段として空飛ぶクルマの導入に強い関心を示している状況です。
国土交通省・経済産業省が公開している「大阪・関西万博後の社会実装の実現のイメージ」によると、2027~2028年から商用運航が一部先行する地域で開始し、2030年代ではさらに運航頻度が高まり、2040年代には日常生活における空飛ぶクルマによる空の移動が当たり前になる社会が実現するものとされています。
空飛ぶクルマの実用化に向けて、日本でも着実に準備が進められています。
空飛ぶクルマの実用化には技術面だけでなく、多角的な課題の解決が必要です。ここでは、実用化に向けて乗り越えるべき主な課題について解説します。
空飛ぶクルマの日常的な運用には、専用インフラの整備が不可欠です。
特に、離着陸場の新設・拡充は優先すべき課題であり、効率的な運航を支えるには充電ネットワークや整備拠点の確保も求められます。
さらに、空の交通ルールに準拠した通信・監視システムの構築も必要です。
主要国では空飛ぶクルマ専用の空路整備が議論されており、日本でも同様の議論が進められています。
これらの実現には、政府・自治体による適切な支援制度と民間企業との緊密な連携が鍵となるでしょう。
加えて、交通管理システムのデジタル化やインフラの標準化を推進することで、空飛ぶクルマの普及がより円滑に進むと期待されます。
空飛ぶクルマの実用化には、航空法をはじめとする総合的な法整備が欠かせないため、国土交通省は関係省庁と連携しながら空飛ぶクルマに適した制度設計を進めています。
また、機体の安全基準だけでなく、離着陸場の整備基準や運航ルールの策定も並行して取り組むべき課題です。
都市部での運用を見据えると、操縦者のライセンス制度や自動運航技術に関する新たな規制の整備も求められます。
さらに、空域管理や安全基準には国際的な協力が求められるため、安全性を十分に確保した各国共通の制度が必要です。
空飛ぶクルマの普及には、社会全体の理解と受容を得る必要があります。
多くの人にとって空飛ぶクルマは未知の技術であり、安全性や騒音、環境への影響に対する漠然とした不安が存在します。
地上を走る自動運転車でさえ社会的受容に時間を要している現状を考えると、空中を飛行する乗り物への理解を得るハードルはさらに高いといえるでしょう。
こうした懸念を解消するには、教育や啓発活動を通じて空飛ぶクルマのメリットや安全対策に関する正確な情報を広めることが重要です。
まずは河川上空など安全を確保しやすいエリアでの運用から始め、実績を積み重ねながら段階的に信頼を構築していく必要があるでしょう。
空飛ぶクルマの実用化は、私たちの生活に多くのメリットをもたらすと期待されています。
ここでは、空飛ぶクルマがもたらす4つのメリットについて解説します。
空飛ぶクルマのメリットは、目的地まで直線的に移動できる効率性といえるでしょう。
地上の道路では道路網に沿った走行が求められ、目的地まで一直線に進めるケースはほとんどありません。
多かれ少なかれ、遠回りを強いられます。
交差点や信号による停止も頻繁で、都市部では慢性的な渋滞が移動時間をさらに延ばしています。
一方、空路を利用する空飛ぶクルマは、こうした地上特有の制約を受けず、目的地に向かって最短ルートでの飛行が可能です。
将来的にはUAMルートやUAMコリドーといった仮想的な空の道路が設定される見込みですが、それでも地上のような交差点や信号といった制約は少なく、最短距離を基本とした効率的な移動ができるでしょう。
空飛ぶクルマは都市構造そのものを変え、渋滞のない分散型社会の実現につながる可能性があります。
現在の都市は鉄道やバス、高速道路によって大量の人を都心部に運ぶ一極集中型の構造となっており、経済効率は高い反面、慢性的な交通渋滞が大きな課題です。
しかし、空飛ぶクルマによって高速移動が可能になれば、中規模の都市を効率的に結ぶ「分散型都市モデル」が実現する可能性は高いでしょう。
複数の都市を空飛ぶクルマでつなぐことで、交通手段の多様化が進み、将来的には渋滞の少ない持続可能な都市構造への転換が期待されます。
空飛ぶクルマは、災害時や緊急医療の現場で迅速な対応を可能にする手段です。
大規模災害で道路が寸断された状況でも、空飛ぶクルマなら被災地へ円滑に到達でき、現場調査や救急搬送、物資輸送といった活動を速やかに実施できます。
そのほか、交通事故現場への急行や海難事故への対応など、ドクターヘリと同様の役割も期待できるでしょう。
現行のドクターヘリは、出動回数が多い地域では経済性が保たれますが、人口の少ない地域では運用コストの負担が大きいという課題があります。
空飛ぶクルマは量産化により価格の低下が期待されており、こうした経済的な課題の解決が可能です。
ヘリコプターに比べて運用の柔軟性が高く、より広範な地域での活用が実現できます。
空飛ぶクルマは、観光分野に新たな体験をもたらす手段としても期待を集めています。
最大の魅力は、上空から景色を楽しむという従来にない新しい観光スタイルを提供できる点です。
自然豊かな地域では、山々や湖の絶景を空中から堪能する遊覧ツアー、都市部では主要なランドマークや街並みを巡るエアタクシーサービスなどが想定されています。
空飛ぶクルマを活用した観光体験は、地域の大きな観光資源となり、観光地の活性化にもつながるでしょう。
同時に、一般の方が気軽に空飛ぶクルマの魅力を体感できる貴重な機会となり、社会的な認知度向上にも貢献すると考えられています。
空飛ぶクルマの許可に関するよくある質問をまとめました。
これまでに許可された試験飛行の条件として、以下の例があげられます。
そのほかにも、さまざまな条件下で試験飛行がされています。
空飛ぶクルマの操縦には、現行の技能証明制度を基礎としつつ、機体特性に応じた追加要件が検討されています。
具体的には、機体の操縦特性や自動操縦機能の進展を考慮し、必要な飛行時間や知識・能力に関する要件の見直しなどが該当します。
将来的には多数機・多頻度運航が想定されるため、タイムリーな操縦者養成が課題です。
国際的な動向を踏まえながら、開発される機体や運航形態に適した資格制度の整備が進められています。
空飛ぶクルマの許可申請には、複雑な法令手続きを伴うことが予想されています。
航空法をはじめとした複数の法規制に対応し、型式証明や耐空証明などを適切に取得する必要があるため、専門家のサポートが不可欠です。
バウンダリ行政書士法人は、無人航空機の許認可申請で培った豊富な実績を活かし、空飛ぶクルマに関する総合的な支援を提供し、多数の試験飛行の許可実績があります。
試験飛行の実施や事業化に向けて、許可取得や法令対応に不安がある方は、ぜひ以下のフォームから無料相談をご利用ください。
ここまで、空飛ぶクルマの概要や試験飛行に必要な許可、空飛ぶクルマを導入するメリットについて解説しました。
移動時間の大幅な短縮や渋滞のない都市の形成、災害時の迅速な対応など、空飛ぶクルマの実用化および導入によってさまざまなメリットが生まれ、私たちの生活は大きく変わるでしょう。
実用化に向けてはインフラ整備や法制度の構築、社会的受容性の向上といった課題が残されていますが、国内外で開発が着実に進んでおり、2025年の大阪・関西万博では機体展示やデモ飛行などが行われました。
空飛ぶクルマの許可取得や法令について少しでも疑問な点がある方は、ぜひ一度バウンダリ行政書士法人へご相談ください。
バウンダリ行政書士法人
代表行政書士 佐々木 慎太郎
(Shintaro Sasaki)
ドローンに関する許認可申請、許認可管理、法務顧問を専門とするバウンダリ行政書士法人の代表。飛行許可申請をはじめメーカー支援、登録講習機関の開設やスクール運営、事業コンサルティング、空飛ぶクルマなど支援の幅を広げ日本屈指のサポート実績を誇る。2025年のドローン許認可対応案件は10,000件以上、登録講習機関のサポート数は200社を突破。
無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」や公式LINEを開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信している。