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ドローンの登録更新講習機関とは?設立の要件や申請の流れを解説

2025.10.21

ドローンの登録更新講習機関とは?設立の要件や申請の流れを解説

ドローンの国家資格更新時は、「登録更新講習機関」での更新講習の受講が必須です。
2025年3月に登録要件が公開され、全国のドローンスクールがその対応に注目しています。

しかし「登録講習機関」との違いや、講師・施設が満たすべき基準について悩むこともあるでしょう。
これらの部分を理解していなければ、想定外のリスクが起こる可能性も否めません。

本記事では、この新しい制度の全体像を解き明かすため、国土交通省の最新資料に基づき、登録に必要な全要件と申請手順を網羅的に解説します。

目次

  1. 「登録更新講習機関」とは?

  2. 「登録講習機関」との違いは?

  3. 登録更新講習機関を設立するための3つの要件
    3-1. 講師要件
    3-2. 空域要件
    3-3. 機体要件

  4. 登録更新講習機関の登録の流れ
    4-1. 事前準備
     ① 登録申請システムのアカウント開設
     ② gBizIDプライムの取得
     ③ 申請時に必要な添付書類の準備
    4-2. 登録手続き
     ① 登録更新講習機関の新規登録手続
     ② 登録免許税の納付
    4-3. 更新講習事務規定の提出

  5. 登録更新講習機関についてお悩みの方はバウンダリ行政書士法人へ

  6. ドローンの登録更新講習機関の要件を確認し申請手続きを進めよう

1. 「登録更新講習機関」とは?

「登録更新講習機関」とは、ドローンの国家資格である無人航空機操縦者技能証明を更新する際に、必要な講習を提供できる国土交通省登録の教育機関(ドローンスクール)のことです。

ドローンの国家資格は2022年12月に創設され、技能証明の有効期限は3年と定められています。

そのため、2025年3月に登録更新講習機関の制度や登録要件に関する資料が国土交通省から公開され、全国で準備が進められている状況です。

登録するには、講師の資格、使用する機体、安全に講習を実施できる空域など、国が定める複数の要件を満たさなければなりません。

また、登録を受けるには申請書類の提出を行い審査を経る必要があり、定められた基準に適合しているかどうかが確認されます。

2. 「登録講習機関」との違いは?

「登録更新講習機関」と「登録講習機関」は言葉こそ似ていますが、下記のように意味は大きく異なります。

  • 登録更新講習機関
    技能証明を更新するために必要な更新講習や身体適性検査を実施する機関
  • 登録講習機関
    技能証明の新規取得に必要な講習を実施する機関

両者は別の制度として扱われており、それぞれ個別に国土交通省に登録を行わなければなりません。

すでに登録講習機関として認可を受けている場合でも、更新講習を実施するには登録更新講習機関への登録申請が必要です。

技能証明の更新希望者が増えると予想されるため、登録更新講習機関の登録を検討している場合は早めに準備と手続きを進めることが望ましいでしょう。

なお、ドローン国家資格の更新については下記記事で詳しく解説しているので、関心がある方はあわせてご確認ください。

3. 登録更新講習機関を設立するための3つの要件

本章では、登録更新講習機関を設立するための3つの要件についてご紹介します。

無人航空機操縦者技能証明には、一等と二等の2つの等級があり、それぞれ要件が異なるため注意が必要です。

3-1. 講師要件

登録更新講習機関の設立には、国土交通省が定める「講師要件」を満たさなければなりません。

講師要件を満たすには、技能証明の取得後に一定期間経過している必要があり、一等と二等で条件が異なります。

  • 一等講師:一等の技能証明取得後、1年以上経過
  • 二等講師:二等の技能証明取得後、6か月以上経過

例えば、2025年10月に一等の登録更新講習機関の開設申請をおこなう場合、2024年10月までに一等の技能証明を取得した講師を登録する必要があります。

条件を満たした講師を確保できなければ申請を受け付けてもらえないため、早めの準備が不可欠となるでしょう。
ただし、講師は雇用でなければいけない決まりはなく、業務委託でも登録が可能です。

3-2. 空域要件

登録更新講習機関を設立するには、実地講習を行うための「空域」を確保する必要があります。

一等資格では屋外での実施が必須であり、縦13m×横18m×高さ5m以上の空域を確保しなければなりません。

この空域は、緊急着陸を含む八の字飛行が安全に行えるように設計された基準です。

二等資格の場合は屋内外どちらでも可能で、縦8m×横21m×高さ5m以上の空域が求められます。

ただし、安全のため2mの余裕を設ける必要があり、実質的には縦方向の空域を10m以上確保することが必要です。

3-3. 機体要件

登録更新講習機関を設立するには、講師や空域と同様に「機体要件」も満たす必要があります。

1. プロペラの中央部の対角線が20cm以上であること

2. 風速5m/sでも飛行可能であること

3. 原則、プロペラガードが装着できること。 ただし、以下の受傷防止措置を講じればこの限りではない。

①修了審査用空域の四方をネット(おおよそ2m以上の高さで受講者等を確実に守れる強度があるもの)で囲う。

②アクリル板、ネット等(おおよそ2m以上の高さで受講者等を確実に守れる強度があるもの)で受講者等(修了審査に係る者全員)の前を遮蔽する。

4. 15分間以上飛行できること

5. GNSSのON、OFFの切り替えを行うことでき、かつヴィジュアルセンサーのON、OFFの切り替えができること。

6. 原則、2台の送信機で同一の機体に接続し、片方の送信機で当該機体を操縦している間において、もう片方の送信機でその操縦を代わりに行える機能(一般的に「オーバーライド」、「コーチモード」又は「デュアル送信機モード」と呼ばれる機能)を有していること。 ただし、以下のいずれかの受傷防止及び経路逸脱防止措置を講じればこの限りではない。

①修了審査用空域の四方をネットで囲う。(屋内)

②アクリル板、ネット等(おおよそ2m以上の高さで受講者等を確実に守れる強度があるもの)で受講者等(修了審査に係る者全員)の前を遮蔽する。(屋内)

③アクリル板、ネット等(おおよそ2m以上の高さで受講者等を確実に守れる強度があるもの)で受講者等(修了審査に係る者全員)の前を遮蔽する。+係留装置(係留は、機体を安定にしすぎない、機体を引っ張りすぎていない又は機体が減点区画に進入することを妨げておらず、修了審査に影響を与えていないものであることが必要)を活用する。(屋外)

④アクリル板、ネット等(おおよそ2m以上の高さで受講者等を確実に守れる強度があるもの)で受講者等(修了審査に係る者全員)の前を遮蔽する。+ジオフェンス機能を使う。(屋外)

※なお、一等及び二等のGNSS OFFの種目では基本的にはジオフェンス機能は使用できない。

4. 登録更新講習機関の登録の流れ

続いては、登録更新講習機関の国土交通省への登録の流れについてご紹介します。

大きく「事前準備」「登録手続き」「事務規定の届出」に分かれており、それぞれで対応すべきポイントが複数あるため、漏れのないようチェックしておきましょう。

4-1. 事前準備

事前準備には、大きく「登録申請システムのアカウント開設」「gBizIDプライムの取得」「取扱要領に係る準備」をおこなう必要があります。

詳細を順に解説していきましょう。

① 登録申請システムのアカウント開設

登録更新講習機関の申請はオンラインでおこなうため、登録申請システムにログインするためのアカウントが必要です。

もしDIPS2.0のアカウントを作成していない場合は「ドローン情報基盤システム」へアクセスし、アカウントを開設しましょう。

登録更新講習機関の申請者は法人格であるため、アカウント作成時は「企業・団体の方のアカウント開設」を選択してください。

また、講習事務をおこなう事務所(スクールのことです)が11か所以上ある場合は、後述する「登録更新講習機関の新規登録手続」でCSVファイルを添付しなければなりません。

あらかじめ登録申請システムからCSVファイルの様式をダウンロードして準備しておくと安心でしょう。

② gBizIDプライムの取得

登録更新講習機関の申請者に係る法人確認方法は「gBizIDプライム」のみとなっており、アカウント未取得の場合は事前に取得しておく必要があります。

gBizIDプライムとは、政府のオンライン手続きに利用される、法人や個人事業者向けの共通認証システムのことです。

補助金等の他の行政手続きでも使用します。

申請書類に問題がなければ、2週間程度で登録が完了します。代表者がマイナンバーカードを使用して登録する場合は、数日で登録が完了できるためオススメです。

登録完了後、登録申請システムにログインして手続きを進めましょう。

③ 申請時に必要な添付書類の準備

登録更新講習機関の申請時には、複数の書類を用意する必要があります。

必要書類を一覧にしてまとめましたので、書類を準備する際の参考にしてください。

必要書類一覧

  • 定款
  • 学則および事務所の設置根拠が設置されている規定など
  • 会社の登記簿謄本
  • 役員すべての氏名、住所および経歴を記載した書類
  • 施設および設備の概要書
  • 講義室として使用する建物に関する書類
    ― 借用の場合:賃貸借契約書、使用貸借契約書、施設利用承諾書
    ― 自己所有の場合:建物の登記簿謄本
  • 実地講習で使用する会場の土地に関する書類
    ― 借用の場合:賃貸借契約書、使用貸借契約書または施設利用承諾書など
    ― 自己所有の場合:土地の登記簿謄本
  • ドローンの賃貸借契約書、使用貸借契約書または利用承諾書など
  • 建物の見取り図
  • 建物の外観写真
  • 講義室内の写真
  • 実地講習用空域会場の写真
  • 使用するPCやタブレット、シミュレーターの写真
  • 講師の条件への適合宣誓書
  • 講師の氏名、担当科目および専任または兼任の別
  • 講師が法第132条の83において、準用する法第132条の70表の下欄第一号の規定に適合することを証明する書類
  • 各講師の自動車運転免許証
  • 業務委託契約書
  • 各講師の飛行記録
  • 各講師の技能証明
  • 適合宣誓書
  • 使用する機体のマニュアル、取扱説明書、仕様書等の機体の構造がわかる資料
  • 使用するシミュレーターのマニュアル、取扱説明書、仕様書等のスペックがわかる資料
  • 実地講習用空域図
  • 組織図

なお、状況によっては一部の書類が不要であったり、書類として認められなかったりする場合があります。

必要書類の詳細について知りたい方は、ドローン関連で日本トップクラスの法務実績を誇る「バウンダリ行政書士法人」まで、お気軽にお問い合わせください。

4-2. 登録手続き

事前準備が完了した後は、新規の登録手続きを進めていきます。

この際、登録免許税も納付する必要があるため、それぞれの詳細を順に解説します。

① 登録更新講習機関の新規登録手続

前述の事前準備が整った後は、登録更新講習機関への新規登録手続をおこないます。

下記表の通り、順に登録を進めていきましょう。

なお、添付書類は登録申請システムではなく、電子メールで提出する必要がある点に注意してください。

添付書類を提出しないと審査が進まないため、注意が必要です。

② 登録免許税の納付

登録更新講習機関の新規登録手続および審査完了後に、登録免許税の納付に関する電子メールが送付されます。
登録免許税は、メール受信後1か月以内の納付が必要です。

登録免許税額は一等・二等ともに9万円で、両方を登録する場合は18万円となります。

すべての手続きと登録免許税の納付が完了すると、登録証が発行されます。

4-3. 更新講習事務規定の提出

新規登録手続が完了して登録証が届いた後は「更新講習事務規程」を作成して、更新講習を開始する1か月前までに電子メールで提出する必要があります。

事務規程が受理され、更新講習を始める前に下記研修を完了させましょう。

  • 登録更新講習機関管理者の研修
  • 講師の研修

研修が完了していないと講習事務を開始できない点に注意してください。
また、監査の際にも確認されるので、研修を行い、完了したことも記録しましょう。

また、記録した書類は登録更新講習機関で保管し、航空局から提出の指示があった場合や監査を受ける際は速やかに提出できるようにしておきましょう。

5. 登録更新講習機関についてお悩みの方はバウンダリ行政書士法人へ

登録更新講習機関の設立に関する要件や申請手続きは非常に複雑なため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

「バウンダリ行政書士法人」は、国土交通省への飛行許可申請や関係機関との調整など、ドローン空撮に関する手続きを代行する法人です。

登録更新講習機関についても、開設手続きから運営の維持、管理までのサポート体制が整っています。
また、毎事業年度ごとに受検しなければいけない登録更新講習機関の監査も行っています。

サポート費用は、下記の通りです。

  • 新規ご契約のお客様
    38万5,000円(税込)~
  • 現在契約中のお客様
    33万円(税込)~
  • 顧問契約中のお客様
    27万5,000円(税込)~
  • スクール顧問契約
    3万3,000円(税込)/月

「コエテコドローン」で有償契約された方には、登録更新講習機関の開設サポート費用を5万5,000円割引するキャンペーンも実施しております。
その他、提携等割引もございますので、お気軽にお問い合わせください。

無料相談も行っておりますので「安心して、スムーズに登録申請を進めたい」という方は、総案件数3万5,000を突破した業界No.1の実績(当社調べ)を持つバウンダリ行政書士法人へ、お気軽にご相談ください。

6. ドローンの登録更新講習機関の要件を確認し申請手続きを進めよう

ドローンの登録更新講習機関を設立するには、一定の要件を満たしたうえで申請手続きを進める必要があります。

今後、技能証明の更新希望者が増加することが予想されるため、設立を希望している場合は早めに手続きを進めることが重要です。

要件や申請手続きは複雑であるため、対応が難しいと感じる場合は、専門家のサポートを受けることも検討するとよいでしょう。

特に要件や必要書類の部分は複雑になりやすいため、スムーズな手続きや申請を進めたい場合は、特におすすめの選択肢となります。

SUPERVISOR

監修者

代表行政書士 佐々木 慎太郎

バウンダリ行政書士法人

代表行政書士 佐々木 慎太郎

(Shintaro Sasaki)

日本屈指のサポート実績を誇る、ドローン法務のプロフェッショナル

行政書士として建設業などの根幹産業と関わり、ドローンに特化したバウンダリ行政書士法人を創設。ドローン運航に必要な包括申請から高難度な飛行許可申請、国家資格スクール(登録講習機関)の開設・維持管理・監査まで幅広く対応し、2023年のドローン許認可件数は10,000件以上を突破。
無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」を開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信。著書に『ドローン飛行許可の取得・維持管理の基礎がよくわかる本』(セルバ出版)がある。
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