2026.03.13
飛行ルール・法律
2026.03.13
ドローンFPVは、まるで自分が空を飛んでいるような臨場感で操縦できる、新しいドローンの楽しみ方です。一方で、一般的なドローンとは必要な資格や法律が異なるため、「何から始めればいいのか分からない」という方も多いはずです。
この記事では、FPVドローンの特徴、飛行に必要な資格・許可、始め方のステップまでを初心者にもわかりやすく解説します。
目次
FPVドローンは、操縦者がドローンからの視点をリアルタイムで体験できる特殊なドローンです。
専用ゴーグルを装着することで、まるで自分がドローンに乗っているかのような没入感が得られます。
一般的なドローンとは操縦方法や映像伝送の仕組みが大きく異なるため、以下で詳しく解説していきます。
FPVとは「First Person View(ファースト・パーソン・ビュー)」の略であり、日本語では「一人称視点」という意味を持ちます。
操縦者がドローンに搭載されたカメラから送られてくる映像を見ながら、ドローン側からの視点で飛行を楽しむことを指します。
FPVドローンは、この一人称視点での操縦に特化したドローンの総称です。
通常のドローンが機体を目視しながら操縦するのに対し、FPVドローンではゴーグルを通してドローンの視点そのものを体験できます。
FPVドローンは「ドローン本体」「送信機(プロポ)」「FPV用ゴーグル」の3点で構成されています。
ドローンに搭載されたカメラの映像は、映像送信機(VTX)から無線電波で操縦者側の映像受信機(VRX)へリアルタイムに送信される仕組みです。
映像伝送には主に2つの周波数帯があり、レース用などで低遅延が求められる場合は「5.7GHz帯」が使われます。
一方、一般のDJI製品などでは「2.4GHz帯」での伝送も採用されており、用途に応じて使い分けられています。
DJIのFPVドローンも原則「2.4GHz帯」が採用されています。
一般的なドローンは機体を直接目視しながら操縦を行いますが、FPVドローンはゴーグルを装着してドローンの視点で操作する点が根本的に異なります。
FPVでは、操縦者がドローンのコックピットに乗っているかのような没入感や臨場感が得られることが最大の特徴です。
また、一般的なドローンは自動でホバリング(空中静止)できる機能を持つものが多いのに対し、FPVドローン、特に自作した機体は完全マニュアル操作が基本となります。
そのため、動きを直感的に操作できる高度な操縦技術が必要となる点も大きな違いといえるでしょう。
FPVドローンを日本国内で飛行させるには、航空法と電波法の両方に基づく資格取得と許可申請が必要です。
特に、ゴーグルを使った飛行は「目視外飛行」に該当し、使用する電波の周波数帯によって必要な無線免許も異なります。
無資格での飛行は重い罰則の対象となるため、以下にて解説します。
FPVドローンは、ゴーグルを装着して操縦するため、操縦者が機体を直接目視できない「目視外飛行」に該当します。
目視外飛行は航空法上の「特定飛行」にあたり、100g以上の機体を屋外で飛行させる場合には、国土交通省への飛行許可承認申請が必須となります。
申請には10時間以上の飛行経験と目視外の実績が求められるほか、無許可で飛行させた場合は、50万円以下の罰金という重い罰則が科される可能性があります。
FPVドローンを始める際は、必ず事前に許可を取得しましょう。
FPVドローンで一般的に使われる低遅延の映像伝送(5.7GH/5.8GHz帯)は、日本では「アマチュア無線」の周波数帯にあたります。
趣味目的でこの周波数帯を使用するには、「第4級アマチュア無線技士」またはそれ以上の無線免許が必要です。
この資格は非営利目的、つまり趣味での使用のみに限定されており、業務として仕事でFPVドローンを使用することはできません。
趣味でFPVを楽しみたい方は、まずこの資格を取得することが第一歩となります。無線免許なしでの使用は電波法違反となるため、必ず取得してから飛行させましょう。
FPVドローンを空撮や点検などの業務、つまり仕事として使用する場合、使用する周波数帯(5.7GHz帯)が趣味利用とは異なります。
業務での商用利用でFPV飛行を行うには、アマチュア無線免許ではなく、「第3級陸上特殊無線技士」(3陸特)以上の産業用無線免許が必要となります。
また、業務利用の場合は、さらにJUTM(日本無人機運行管理コンソーシアム)への加入が義務付けられています。
業務で5.7GHz帯のFPVドローンを活用したい場合は、これらの資格と手続きを必ず完了させてから飛行を開始してください。
無線免許(4アマまたは3陸特)を取得しただけでは、まだ電波を使うことはできません。別途、総務省の地方総合通信局へ「無線局開局申請」を行う必要があります。申請する機材(送信機やVTX)が日本の電波法に適合している証明として「技適(技術基準適合証明)マーク」が必要です。
海外製のFPV機材には技適マークが付いていないことが多く、その場合、アマチュア無線はJARDといった保証機関を通じて保証書を取得しなければなりません。
一方で業務用無線では保証制度はなく、一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター(TELEC)のような機関で「技適マークまたは工事設計認証」を受けてから無線局開局申請をしなければいけません。
技適マークのない機材をそのまま使用すると電波法違反となるため、必ず確認しましょう。
無線免許を持たずに5.8GHz帯や5.7GHz帯の電波を使用したり、無線局の開局申請をせずに飛行させたり、技適マークのない機器で飛行させたりした場合、「電波法違反」となります。
電波法違反の罰則は非常に重く、もし不法電波で重要な無線通信を妨害した場合は「5年以下の拘禁、もしくは250万円以下の罰金」が科される可能性があります。
さらに、法人の場合、法人にも罰金が科される可能性もあります(両罰規定)。
こうした重大な罰則を避けるためにも、資格取得と手続きは必須です。
安易に無許可で飛ばすことは絶対に避けましょう。
上記の目視外飛行許可や無線免許に加え、100g以上のFPVドローンには航空法に基づく基本的な手続きも必要です。
まず「機体登録」として、100g以上の機体をDIPS2.0(ドローン情報基盤システム)で登録し、機体に登録番号を表示する義務があります。
次に「飛行計画の通報」として、目視外飛行などの特定飛行を行う前に、DIPS2.0上で飛行計画を通報する必要があります。
さらに「飛行日誌の作成」として、飛行記録や点検記録を日誌として作成し、携帯する義務もあります。これらすべてを守って、安全なFPV飛行を心がけましょう。
FPVドローンを始めるには、機材の準備、資格の取得、操縦練習という3つの要素を計画的に進める必要があります。
具体的には以下の4つのステップを踏んでいきましょう。
通常の空撮機やトイドローンのように、このステップが全く必要ないFPVドローンもあるので、趣味や初めての場合はお勧めです。
初めての方向けの書籍やスクールもあります。
ステップ1:必要な機材一式を揃える
ステップ2:機体の入手方法を選ぶ(既製品・キット・自作)
ステップ3:無線免許の取得(試験または講習)
ステップ4:操縦の練習(シミュレーター・屋内)
以降では、それぞれについて解説します。
FPVドローン飛行に最低限必要な機材は、以下の4点です。
バッテリーは飛行時間が短く、数分から十数分程度しか持たないうえ、充電には短くても30分から40分かかります。
そのため、予備を複数本用意することが必須となります。
初心者の方は、本体・送信機・ゴーグル・予備バッテリーがセットになったものを選ぶと設定が簡単で便利です。
一方、中級者や上級者は、個別に購入して自分好みの組み合わせを選ぶことが多い傾向にあります。
FPVドローン本体の入手方法には、以下の3つのパターンがあります。
既製品は設定が簡単で初心者向けですが、業務利用では既製品が少ないため、自作するケースも多くなっています。
ステップ1の機材準備と並行して、電波法に対応するため無線免許の取得を進める必要があります。
免許の取得方法には、以下の2つのパターンがあります。
国家試験はCBT(Computer Based Testing)方式のため、日本全国で受験可能です。
養成講座は、アマチュア無線の知識が全くない方や、数学や物理が苦手な方向けに、日本アマチュア無線振興協会が主催する養成課程講習会で基礎から学べます。
FPVドローンは操縦が難しいため、実際の飛行前に十分な練習が必要です。
① シミュレーターは、PCやスマホのソフトウェアを使い、実機なしで安全に操作練習を繰り返し行える方法としておすすめです。
② 屋内練習は、航空法が適用されない広い屋内、たとえばガレージなどで、ホバリング(空中での静止)や方向転換、高度制御といった基礎練習を行う方法です。
FPV特有の視点、つまりゴーグル越しの映像に慣れることが重要であり、ゴーグルの扱いやドローン視点での操縦感覚をしっかり身につけましょう。
FPVドローンは、その特性を活かしてさまざまな場面で活用されています。
ドローンレースやアクロバット飛行、迫力ある映像制作、イベントでの体験提供など、用途は多岐にわたります。
機体を選ぶ際は、それぞれの目的に合った性能を重視することが重要です。
以下では、代表的な活用事例と選び方のポイントを解説します。
FPVドローンは、一般のドローンより高速でアクロバティックな飛行が可能なため、ドローンレースや競技、フリースタイル飛行で広く利用されています。
操縦者はゴーグルを通じてドローンの視点で高速飛行を体験でき、スリルあふれる競技を楽しめます。
レース目的で機体を選ぶ場合は、「最高速度」や加速性能といった「機動性」が重要なポイントとなります。
また、競技ではクラッシュや衝突のリスクもあるため、丈夫なフレームと交換可能な部品を備えた「耐久性」の高い機体を選ぶことも大切です。
FPVドローンは、一般的なドローンでは撮影できない迫力あるアングルや流れるような動きの映像を撮影できます。
たとえば、カーレースやバイクレースなどの速い動きをする被写体の追跡撮影や、アクロバティックなアクションシーンの撮影に適しています。
空撮目的で機体を選ぶ場合は、「カメラの解像度」を重視しましょう。
HD画質から4K解像度まで選べる高解像度カメラによって、より詳細でクリアな映像を撮影できます。
また、映像のブレや揺れを抑える「ジンバル性能」も重要で、本格的な空撮には欠かせない要素となります。
FPVの没入感を活かし、イベントやセミナーなどで来場者に操縦体験を提供したり、デモ飛行を行ったりする活用例もあります。
参加者は実際に操縦するだけでなく、プロが飛行させたドローンの映像をゴーグルで見て、まるで自分が飛んでいるかのような体験を楽しめます。
室内や狭い空間で使用する場合は、「小型・軽量」な機体が適しています。
小型で軽量なドローンは狭い空間での機動性に優れており、壁や家具などの障害物との接触を避けながら、敏感な操作が可能になるためです。
上記以外にも、用途に応じた選び方のポイントがあります。
FPVドローンは、没入感のある映像体験やダイナミックな飛行が可能な一方で、高度な操縦技術の習得が必要であり、「航空法」と「電波法」の両方に関する複雑な許可・免許手続きが求められます。
特に業務で使用する場合は、第3級陸上特殊無線技士の免許、無線局開局申請、JUTMへの加入、目視外飛行の許可申請など、多数の手続きを漏れなく行わなければなりません。
バウンダリ行政書士法人では、FPVドローンの導入に関する法的手続きや目視外飛行の許可申請(包括申請)について、専門チームが全面的にサポートいたします。
総案件数35,000件突破、許可取得率100%という業界屈指の実績を持ち、初回無料相談も実施しております。
FPV関連の提携先やスクール顧問も多く、事業支援も行っています。FPVドローンを始める際は、ぜひ当法人にご相談ください。
バウンダリ行政書士法人
代表行政書士 佐々木 慎太郎
(Shintaro Sasaki)
ドローンに関する許認可申請、許認可管理、法務顧問を専門とするバウンダリ行政書士法人の代表。飛行許可申請をはじめメーカー支援、登録講習機関の開設やスクール運営、事業コンサルティング、空飛ぶクルマなど支援の幅を広げ日本屈指のサポート実績を誇る。2025年のドローン許認可対応案件は10,000件以上、登録講習機関のサポート数は200社を突破。
無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」や公式LINEを開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信している。