2026.03.13
飛行ルール・法律
2026.03.13
ドローンの安全な運用には、飛行や整備の記録を正確に残すことが欠かせません。特に特定飛行を行う場合、飛行日誌の作成・携行が義務化されています。
本記事では、「飛行記録」「日常点検記録」「点検整備記録」の書き方や記入例を紹介し、法令遵守と安全管理を両立するためのポイントを解説します。
目次
2022年12月5日の改正航空法施行により、特定飛行を行う際には「飛行日誌」の作成・携行・保管が義務化されました。
飛行日誌を備えていない、記載しない、虚偽の記載をした場合には、10万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
飛行日誌は「飛行記録」「日常点検記録」「点検整備記録」の3種類で構成されており、機体の安全管理と事故原因の究明に役立つことを目的としています。
ドローンを業務で使用する事業者や操縦者は、法令を遵守した適切な記録管理が求められます。
様式1の「飛行記録」は、ドローンを飛行させるたびに作成する記録です。
飛行の履歴を正確に残すことで、機体の安全管理や万が一の事故時の原因究明に役立ちます。
記録すべき項目は多岐にわたりますが、それぞれに明確な意図と重要性があります。
飛行記録は「飛行ごとの基本情報」と「安全と不具合に関する記録」に大きく分けられ、両方を適切に記入することで法令遵守が実現できます。

無人航空機の飛行日誌の取扱いに関するガイドラインについて[国土交通省]
原則「1飛行」とは、離陸から着陸までだけでなく、電源を作動させてから停止させるまでの一連の運用を指します。
例えば荷物等の積み卸しやバッテリー交換などを目的として着陸し、その際に電源を停止させた場合は、その時点で1飛行として扱われます。
一方、電源を作動させた状態のまま別の地点へ移動して再出発する場合や、連続して離着陸を行う場合には、離着陸を繰り返していたとしても、最終的に着陸し電源を停止させるまでが1飛行として扱われます。
このように、飛行回数の判断は離陸回数ではなく、電源のオン・オフを基準として行われる点に注意が必要です。
離陸・着陸場所は、緯度経度、または「〇〇公園」のような正確な位置が把握できる地名・固有名称で記載する必要があります。
曖昧な表現では事故時の原因究明に支障をきたす可能性があるため、第三者が見ても場所を特定できる記載が求められます。
「総飛行時間」には、その機体の積算飛行時間を記入する必要があるため、常に最新の時間を把握しておくことが重要です。
「飛行の安全に影響のあった事項」の欄には、ヒヤリハット事例など、事故には至らなくても安全に影響を及ぼす可能性があった事象を記録することが重要です。
小さな異変でも記録しておくことで、将来的な事故の未然防止につながります。
「記事」の欄には、飛行中に発生した不具合の内容と、それに対してどのような処置を行ったかを具体的に記載します。
たとえば「プロペラに異音が発生したため、着陸後にプロペラを交換した」といった形で、事象と対応を明確に記録しましょう。
不具合への処置内容については、確認者が記名する必要があり、組織的な安全管理体制が求められます。
日常点検記録は、飛行の「前と後」に機体の状態を確認し、安全に飛行できることを保証するための記録です。
点検は飛行マニュアルやメーカーが指定する様式に従って行い、機体全般から通信・電源系統まで多岐にわたる項目を確認する必要があります。

無人航空機の飛行日誌の取扱いに関するガイドラインについて[国土交通省]
点検結果は「正常」「異常」で明確に記録し、異常があった場合は点検整備記録と連携して対応する必要があります。
日常点検を確実に実施し記録することで、飛行中のトラブルを未然に防ぎ、機体の安全性を維持できます。
様式3の「点検整備記録」は、定期点検や機体の修理・改造を行った際に作成する記録です。機体の整備履歴を記録することで、機体のコンディションを正確に把握し、将来のトラブルを予測するための重要な情報となります。
記録する際には「点検整備の実施タイミング」「整備内容と実施理由」「総飛行時間」の3つの要素を正確に記入することが求められます。

無人航空機の飛行日誌の取扱いに関するガイドラインについて[国土交通省]
点検整備の頻度は、まずメーカーが定める点検推奨時間に従うことが基本です。
メーカーが使用環境や機体の特性に応じて設定した基準を守ることで、機体の性能を最適な状態に保つことができます。
メーカーの定めがない場合は、国土交通省の飛行マニュアルに基づき「20時間の飛行ごと」に定期点検を実施する義務があります。
飛行時間を正確に記録し、期限を過ぎる前に確実に点検を実施しましょう。
定期点検以外にも、機体の故障や不具合が発生した際には、その都度、原因究明と是正処置を行い、その内容を記録する必要があります。
「点検、修理、改造及び整備の内容」欄には、実施した作業内容を具体的に記載します。
以下のような記載例を参考にしてください。
例1:【部品交換】「3モーターを新品に交換」
例2:【改造】「〇〇社製 赤外線カメラ(型番:XXXX)を搭載」
例3:【定期点検】「飛行20時間に達したため、メーカー指定の定期点検を実施」
「実施理由」の欄には、「プロペラに亀裂を発見したため」「業務要件変更のため」など、なぜその作業を行ったのかを簡潔に記載します。
これらの記録が、機体のコンディションを正確に把握し、将来のトラブルを予測するための重要な情報となります。
機体認証を受けていないドローンの場合、「点検整備作業を実施した時点での総飛行時間」を記入します。
この場合は、機体が初めて飛行してからの累積時間をそのまま記録すれば問題ありません。
機体認証を受けている場合は、「前回の機体認証に係る検査を受検するにあたり実施した点検整備以降の総飛行時間」を記入するという違いがあります。
前回の認証検査を起点とした飛行時間を記録するため、注意が必要です。
たとえ機体ボディの交換などで機体が新品同様になっても、登録記号が変わらない限り総飛行時間はリセットされず、累積していきます。
飛行日誌は、ドローン1機ごとに作成・管理することが義務付けられています。
複数の機体を保有している場合は、機体ごとに独立した飛行日誌を用意し、それぞれの飛行履歴や点検記録を正確に管理しなければなりません。
記録は紙の場合は黒または青のボールペンで記入し、あるいは電子データでの記録・保管も認められています。
電子データで管理する場合は、バックアップを取るなど紛失防止の対策を講じることが重要です。
特定飛行を行う際は、飛行日誌を紙媒体または電子データで常に携行し、求められた際に提示できる状態にしておく必要があります。
適切な管理・運用により、法令遵守と安全な飛行を実現できます。
国土交通省が提供する公式のテンプレート(様式)があり、ダウンロードして利用できます。
このテンプレートを活用することで、必要な記録項目を漏れなく記入でき、法令に準拠した飛行日誌を作成できます。
手書きやExcelでの管理が煩雑だと感じる方向けに、飛行日誌の作成・管理を簡単にするスマートフォンアプリやWebサービスが存在します。
これらのツールを活用することで、記録業務の負担を大幅に軽減することが可能です。アプリを利用するメリットとして、入力の自動化、クラウドでのデータ管理、レポートの自動生成などがあります。
特定飛行を頻繁に行う事業者にとって、効率化ツールの導入は記録業務の時間短縮と正確性向上に役立ちます。
飛行日誌の正しい書き方と管理方法について、様式1から様式3までの具体的な記入例と注意点を解説してきました。
飛行日誌の正しい書き方や管理方法、あるいはドローンの飛行許可申請全般について不明点や不安がある場合は、専門家である行政書士に相談することが解決への近道です。
バウンダリ行政書士法人では、ドローンに関する豊富な知識と実績を持つ専門家が、お客様一人ひとりの状況に合わせたサポートを提供しています。
初回無料相談も受け付けているため、些細なことでも気軽にお問い合わせください。
バウンダリ行政書士法人
代表行政書士 佐々木 慎太郎
(Shintaro Sasaki)
ドローンに関する許認可申請、許認可管理、法務顧問を専門とするバウンダリ行政書士法人の代表。飛行許可申請をはじめメーカー支援、登録講習機関の開設やスクール運営、事業コンサルティング、空飛ぶクルマなど支援の幅を広げ日本屈指のサポート実績を誇る。2025年のドローン許認可対応案件は10,000件以上、登録講習機関のサポート数は200社を突破。
無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」や公式LINEを開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信している。