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ドローンと道路使用許可の関係について解説

2022.02.28

ドローンと道路使用許可の関係について解説

道路の上をドローン飛行させたい場合はどのような手続きがいるでしょうか。
ドローンの飛行許可に加えて、道路使用許可も必要でしょうか。
道路の上をドローン飛行させる場合について解説します。

1 ドローンの規制について

航空法により200g以上のドローンの飛行には、空域規制があります。これらの規制空域については、航空法による許可を受けた場合のみ飛行が可能となります。

無人航空機の飛行許可が必要な空域は以下の通りです。

①空港等の周辺空域

②人または住宅の密集している地域(人口集中地区(地域))上空

③地表または水面から高さ150m以上の空域

④緊急用務空域

なお、これらの規制以外にも例えば、国会議事堂や内閣総理大臣官邸などの国の重要な施設、外国公館、原子力事業所などの周辺も飛行禁止区域になります。これらの施設周辺で小型無人機等を飛行させる場合には、施設管理者の同意や都道府県公安委員会への事前通報手続などが別途必要となります。

また、200g以上のドローンには空域以外にも、原則以下の飛行ルールを守る必要があります。

[1] アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと

[2] 飛行前確認を行うこと

[3] 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること

[4] 他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと

[5] 日中(日出から日没まで)に飛行させること

[6] 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること

[7] 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること

[8] 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと

[9] 爆発物など危険物を輸送しないこと

[10] 無人航空機から物を投下しないこと

[5]~[10]の飛行ルール以外で飛行させる場合には、国土交通大臣の承認が必要です。

では、飛行規制空域の「②人または住宅の密集している地域(人口集中地区(地域))上空」とはどのようなところをいうのでしょうか。

2 人口集中地区(地域)とは

人口集中地区の設定に当たっては、国勢調査基本単位区及び基本単位区内に複数の調査区がある場合は調査区(以下「基本単位区等」という。)を基礎単位として、

1)原則として人口密度が1平方キロメートル当たり4,000人以上の基本単位区等が市区町村の境域内で互いに隣接して、
2)それらの隣接した地域の人口が国勢調査時に5,000人以上を有するこの地域を「人口集中地区」としています。

なお、人口集中地区は「都市的地域」を表す観点から、学校・研究所・神社・仏閣・運動場等の文教レクリエーション施設、工場・倉庫・事務所等の産業施設、官公庁・病院・療養所等の公共及び社会福祉施設のある基本単位区等で、それらの施設の面積を除いた残りの区域に人口が密集している基本単位区等又はそれらの施設の面積が2分の1以上占める基本単位区等が上記1)の基本単位区等に隣接している場合には、上記1)を構成する地域に含めています。(総務省統計局HP参考)

しかし、この定義では実際にドローンを飛ばせるのかを判断するのは、極めて困難でしょう。

そこで、どの場所が人口集中地区(地域)なのかについては、【国土地理院】地理院地図「人口集中地区H27年(総務省統計局)」で確認できます。R2年(総務省統計局)に近々変わり、人口集中地区の範囲も更新される予定です。

また、誰でも使える地理情報システムである「j STAT MAP」という地域分析ツールやドローンフライトナビ(iosのみ対応)というアプリからも人口集中地区を確認できます。

なお、人口集中地区(地域)内の飛行の場合は、私有地の敷地内であっても、国土交通大臣の許可を得ない限り、飛行させることはできないので注意してください。

3 ドローンと道路使用許可の関係

上で述べたように200g以上のドローンの場合には、ドローンを飛行させる道路上空が、次の場合には国土交通大臣の許可が必要になります。

①空港等の周辺空域

②人または住宅の密集している地域(人口集中地区(地域))上空

③地表または水面から高さ150m以上の空域

④緊急用務空域

逆にいえば、近くに空港もなく、人口集中地区でもなく、高度も150m以上の空域を飛行せず、緊急用務空域に指定されていなければ、国土交通大臣の許可は不要です。

また、200g未満のドローン飛行の場合にも、緊急用務空域に指定されていなければ原則国土交通大臣の許可は不要です。稀ですが200g未満のドローン飛行も許可が必要なケースもあります。

もっとも、以下の場合には『道路使用許可』が必要です。

①ドローンを飛行させることにより交通の円滑を阻害するおそれがある場合

②道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼす場合

例えばドローンを道路から離発着させたり、道路上空で飛ばし続けることによって沢山の人が集まってくるケースなどです。

これらの場合には、国土交通大臣の許可を得ていても別途、管轄警察署から道路使用許可を得る必要があります。

なお、ドローンを飛行させる「道路」には歩道も含まれます。低空でドローンを飛行させ、歩行者の歩行を阻害するおそれがある場合などは道路使用許可を取る必要があります。

また、先ほど述べた飛行ルールに反する飛行をする場合(例えば、ドローンと自動車の距離が30m未満となる場合や、プロポに映し出された映像を見ながら飛行される場合)には、国土交通大臣の「承認」が必要になります。

このように、ドローン飛行の許可と道路使用許可は許可権者が異なります。どこにどのような申請をしたらよいのか不安がある方は、ドローン飛行に詳しい行政書士に相談することをお勧めします。

SUPERVISOR

監修者

代表行政書士 佐々木 慎太郎

バウンダリ行政書士法人

代表行政書士 佐々木 慎太郎

(Shintaro Sasaki)

日本屈指のサポート実績を誇る、ドローン法務のプロフェッショナル

行政書士として建設業などの根幹産業と関わり、ドローンに特化したバウンダリ行政書士法人を創設。ドローン運航に必要な包括申請から高難度な飛行許可申請、国家資格スクール(登録講習機関)の開設・維持管理・監査まで幅広く対応し、2023年のドローン許認可件数は10,000件以上を突破。
無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」を開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信。著書に『ドローン飛行許可の取得・維持管理の基礎がよくわかる本』(セルバ出版)がある。