ABOUT DRONE

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具体的なドローン飛行許可申請書の書き方を解説していきます。申請書のフォーマットは国土交通省のホームページからダウンロードすることができます。申請書のフォーマットは頻繁に更新されるので、郵送申請の場合は申請時に国交省のホームページで最新のフォーマットをチェックするようにしましょう。

フォーマット以外でも国土交通省のホームページでドローンについて記載されている情報は、常に新しい内容やお知らせが来ていないか申請前にチェックする癖をつけておくことをお勧めします。

オンライン申請の場合は入力した内容が自動的に申請書に反映されるのでフォーマット更新の有無をチェックする必要はありませんが、最終的に出来上がる申請書は同じです。

オンライン申請の場合は選択ミスや選択漏れなどで自分が思っていた内容と違う許可書が出てくることがあるので、出来上がった申請書の内容が間違いないか必ず申請前に確認するようにしましょう。
(様式1)無人航空機の飛行に関する許可・承認申請書

まずは申請書を上から順に見ていきます。新規・更新・変更のどれかにチェックを入れます。更新は申請内容が全く変わらず、許可の期間だけ更新する場合にチェックを入れます。変更はドローン・操縦者・飛行マニュアルが変わる場合にチェックを入れます。それ以外は全て新規にチェックを入れます。
次に申請先に応じて申請先の長を記入します。包括申請の場合は東京航空局長または大坂航空局長、空港事務所が窓口の場合は○○空港事務所(管轄の空港事務所名)長と記入します。
※空港事務所が窓口の場合は2021年10月から、東京空港事務所長または関西空港事務所長のどちらかを記入します。
申請者名の氏名(名称)・住所・連絡先欄を記入します。住所は必ず都道府県名から記入し、連絡先はメールアドレスと電話番号の両方を記入しましょう。
飛行の目的欄は、ドローンを飛ばす目的をチェックしていきます。この目的欄にチェックが無い内容では原則飛ばすことができません。訓練・趣味・研究開発目的では包括申請できないので注意してください。訓練や目的がどの項目にも当てはまらない場合は、その他に記入します。
飛行の日時欄は、ドローンを飛ばす期間を記入します。飛ばす内容によっては、日時を具体的に記入する必要があります。
飛行の経路(飛行の場所)欄は、ドローンを飛ばす範囲を記入します。陸地での最大の飛行範囲は日本全国です。飛ばす内容によっては、場所を特定して記入する必要があります。
飛行の高度の地表等からの高度欄には、ドローンを飛ばすときの最大高度を記入します。原則、地表または水面から150m未満が包括申請での最大高度です。海抜高度欄は、包括申請の場合は記入する必要はありません。空港やヘリポートの近くで飛ばす場合と、地表または水面から150m以上飛ばす場合に入力が必要です。
申請事項及び理由欄は、許可が必要な9パターンの内容と飛ばす理由を記入します。

無人航空機の製造者、名称、重量その他の無人航空機を特定するために必要な事項・無人航空機の機能及び性能に関する事項・無人航空機の飛行経歴並びに無人航空機を飛行させるために必要な知識及び能力に関する事項の欄は、新規申請の場合は「別添資料のとおり。」にチェックし、変更申請で前回の申請から変更がない場合は「変更申請であって、かつ、左記事項に変更がない。」にチェックを入れます。

無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制に関する事項の欄には、使用する飛行マニュアルをチェックします。飛行マニュアルは、申請書の添付書類です。新規申請の場合は「航空局標準マニュアルを使用する。」または「上記以外の飛行マニュアル(別添)を使用する。」をチェックします。航空局ホームページ掲載されている以下の団体等が定める飛行マニュアルについては、現時点では存在しませんので、無視して問題ありません。変更申請で前回の申請から変更がない場合は「変更申請であって、かつ、左記事項に変更がない。」にチェックを入れます。航空局標準マニュアルを使用する場合は、申請書に飛行マニュアルを添付する必要がありません。

その他参考となる事項欄には、保険の加入状況、空港事務所へ許可申請をするときに記入する空港設置管理者や空域を管轄する関係機関との調整結果、イベント上空の許可申請をするときに記入するイベント主催者等との調整結果などを記入します。
備考欄には緊急連絡先の担当者と電話番号を記入します。緊急連絡先には、国土交通省は事故発生時などの緊急時に操縦者と連絡が取れる携帯電話番号等を記入することを推奨しています。

その他参考となる事項欄には、保険の加入状況、空港事務所へ許可申請をするときに記入する空港設置管理者や空域を管轄する関係機関との調整結果、イベント上空の許可申請をするときに記入するイベント主催者等との調整結果などを記入します。
備考欄には緊急連絡先の担当者と電話番号を記入します。緊急連絡先には、国土交通省は事故発生時などの緊急時に操縦者と連絡が取れる携帯電話番号等を記入することを推奨しています。

無人航空機の製造者、名称、重量等

申請する全てのドローンについて記入が必要です。ドローンの製造者名、名称、重量、製造番号等、仕様が分かる資料(設計図または写真)と所有者情報をドローンごとに記入していきます。製造番号等は、メーカーが指定している番号だけでなく、自分で設定した番号でも問題ありません。その設定した番号をドローンに表示しないといけないので、忘れないようにしましょう。
製造番号等については後述するドローンの機体登録制度の整備と共に、今後製造番号等の取り扱いも変わる予定です。航空局ホームページに掲載されているドローンを申請する場合は、仕様が分かる資料(設計図または写真)を省略することができます。省略できる場合は、資料を添付・記入する欄に「資料の一部を省略することができる無人航空機に該当するため省略」と記入します。DJIの多くのドローンは航空局ホームページに掲載されています。航空局ホームページに掲載されているドローンでも、改造をした場合は資料の省略ができなくなるので注意してください。

(様式2)無人航空機の機能・性能に関する基準適合確認書
申請する全てのドローンについて記入が必要です。1の欄には、飛ばすドローンの製造者名、名称、重量、製造番号等を記入します。2の欄には、航空局ホームページに掲載されているドローンの場合のみ改造の有無をチェックします。3の欄には、航空局ホームページに掲載されているドローンで改造を行っている場合と、航空局ホームページに掲載されていないドローンを申請する場合にチェックを入れます。

無人航空機の運用限界等

申請する全てのドローンについて記入が必要です。ここにはドローンの性能について記載していきます。
具体的には、最高速度、飛行可能な風速や操縦方法についてです。ドローンの取扱説明書などを見て記入していきます。記入する替わりに取扱説明書のページを貼り付けても大丈夫です。航空局のホームページに掲載されているドローンを申請する場合は(運用限界)と(飛行させる方法)両方に「資料の一部を省略することができる無人航空機」に該当するため省略、と記入します。
航空局のホームページに掲載されているドローンでも改造している場合は、2つのパターンに分かれます。改造していても飛行性能に影響がない場合は、「改造は○○の装備(改造の概要を記載して下さい。)のみであり、機体の飛行性能に影響はない。当該機は資料の一部を省略することができる無人航空機に該当するため省略」と記入します。
飛行性能に影響がある場合は資料を省略できないので、改造が飛行性能に与える影響と改造したドローンの性能について記入する必要があります。

無人航空機の追加基準への適合性

申請するドローンが追加基準を満たしているかどうか確認、記入していきます。追加基準というのは、人口集中地区内での飛行、夜間飛行や目視外飛行などの許可の項目それぞれ決まっている基準です。適合性の欄に文章と写真・図面などで説明していきます。
例えば、人口集中地区内での飛行では原則プロペラガードを付けて飛ばさなければいけませんし、夜間飛行ではドローンの向きが見て分かるようなライト(灯火)が付いているドローンを使わなければいけません。
航空局のホームページに掲載されているドローンはここでも資料の一部を省略することができます。省略できる場合は、適合性の欄には「資料の一部を省略することができる無人航空機に該当するため省略」と記入します。省略できる許可項目はドローンごとにA~Gの項目が決まっていて、「資料を省略することができる無人航空機一覧」で確認することができます。
この一覧も度々更新されるので、許可申請をする前に、国土交通省のホームページで最新の一覧をチェックするようにしましょう。

無人航空機を飛行させる者一覧

ドローンの操縦者に関係する情報を記入していきます。具体的には、操縦者の氏名・個人の住所・飛ばすことができるドローンの機種です。備考欄には、技能認証を受けている場合に技能認証名を入力します。繰り返しになりますが技能認証とは、国土交通省で決めた一定の基準を満たし、国土交通省のホームページに掲載されたドローンスクールが行う技能(実技)試験のことです。この試験に合格すると証明書が発行されます。
許可申請をするときにこの証明書情報を提出すると、操縦者資料の一部を省略することができます。10時間以上の操縦経験や、知識面をドローンスクールで既に学んでいるからです。
具体的に省略することができる資料は、(様式3)無人航空機を飛行させる者に関する飛行経歴・知識・能力確認書と無人航空機を飛行させる者の追加基準への適合性の部分です。国土交通省のホームページに掲載されていないドローンスクールが行う技能試験や、国土交通省のホームページに掲載されているドローンスクールが行う技能試験でも、国土交通省に認められていない内容の技能試験の場合は合格したとしても操縦者資料を省略することができないので注意してください。

(様式3)無人航空機を飛行させる者に関する飛行経歴・知識・能力確認書

ドローンの飛行経歴・知識と能力について、操縦者全員分記入していきます。国土交通省のホームページに掲載されているドローンスクールが行う、国土交通省の確認を受けている技能試験に合格している場合は、こちらの記入は必要ありません。ドローンスクールで既に飛行経歴・知識と能力を確認されているからです。

無人航空機を飛行させる者の追加基準への適合性

ドローンの操縦者ごとに飛行経験を記入していきます。許可を取得するためには、最低10時間以上の飛行経験が必要です。そして、夜間飛行・目視外飛行については具体的な飛行経験時間の決まりはありませんが、あらかじめ飛行経験を積み、安定した飛行ができなければ許可を取得することができません。
物件投下許可を取得するために5回以上の物件投下の経験が必要で、物件投下の前後で安定した機体の姿勢制御ができなければいけません。飛行経験を積むときは、飛行許可が不要な室内や、訓練目的の飛行許可を取得してドローンを飛ばす必要があります。こちらも国土交通省のホームページに掲載されているドローンスクールが行う、国土交通省の確認を受けている技能試験に合格している場合は記入の必要はありません。

飛行マニュアル

国土交通省で公表している航空局標準マニュアルを使用する場合は、飛行マニュアルの添付は不要です。添付は不要ですが、許可を取得した後もこのマニュアルの内容を守って飛ばさなければなりません。
オンライン申請でも郵送申請でも形式上、許可申請をするときは申請書にチェックを入れるだけで済んでしまうため、絶対に熟読して内容を理解するようにしてください。航空局標準マニュアル以外のマニュアルを使用する場合は、そのマニュアルを全て申請書に添付する必要があります。飛行マニュアルは許可申請の中でも1番と言ってもいいほど大事な部分なので、必ず覚えるようにしましょう。

監修者
バウンダリ行政書士法人
代表行政書士 佐々木慎太郎(Shintaro Sasaki)

日本屈指のサポート実績を誇る、ドローン法務のプロフェッショナル

飛行許可申請をはじめ登録講習機関の開設やスクール運営、監査実施、法務顧問、事業コンサルティングなど、ドローン事業を幅広く支援している。
2022年の年間ドローン許認可案件は5,300件、登録講習機関のサポート数は100社を突破。

ドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」を開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信している。著書に『ドローン飛行許可の取得・維持管理の基礎がよくわかる本』(セルバ出版)がある。