2024.10.09
飛行ルール・法律
2022.03.01
【2022年6月更新】
どこでも自由にドローンを飛行させられないことは、ニュース等で見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、ドローンの飛行規制はすべてのドローンに対してではなく、原則タイトルにもあるように100g以上のドローンに対してです。
したがって、100g以上のドローンを飛ばすには許可が必要ということになります。それでは、100g以上のドローンを飛ばすにはどうしたらよいでしょうか。
まず、100g以上のドローンに対する規制について見てみましょう。
航空法によりドローン飛行が規制されているエリアが指定されています。これらの規制区域については、航空法による許可を受けた場合のみ飛行が可能となります。
無人航空機の飛行許可が必要な空域は以下の通りです。
①空港等の周辺空域
②人または住宅の密集している地域(人口集中地区(地域))上空
③地表または水面から高さ150m以上の空域
④緊急用務空域
※原則許可は出ません。
なお、これらの規制以外にも例えば、国会議事堂や内閣総理大臣官邸などの国の重要な施設、外国公館、原子力事業所などの周辺も飛行禁止区域になります(例外もあります)。こちらは100g未満のドローンも飛行禁止になる点に注意です。
また、100g以上のドローンには飛行可能空域以外にも、以下の飛行ルールがあります。
[1] アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと
[2] 飛行前確認を行うこと
[3] 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること
[4] 他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
[5] 日中(日出から日没まで)に飛行させること
[6] 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
[7] 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
[8] 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
[9] 爆発物など危険物を輸送しないこと
[10] 無人航空機から物を投下しないこと
したがって、上記①~③の空域を飛ばす場合には国土交通大臣の許可をとり、さらに[5]~[10]の飛行ルール以外で飛行させる場合には、国土交通大臣の承認が必要です。
先ほど述べた規制空域②の「人または住宅の密集している地域(人口集中地区(地域))上空」とはどのような場所でしょうか。
人口集中地区の設定に当たっては、国勢調査基本単位区及び基本単位区内に複数の調査区がある場合は調査区(以下「基本単位区等」という。)を基礎単位として、
1)原則として人口密度が1平方キロメートル当たり4,000人以上の基本単位区等が市区町村の境域内で互いに隣接して、
2)それらの隣接した地域の人口が国勢調査時に5,000人以上を有するこの地域を「人口集中地区」としています。
なお、人口集中地区は「都市的地域」を表す観点から、学校・研究所・神社・仏閣・運動場等の文教レクリエーション施設、工場・倉庫・事務所等の産業施設、官公庁・病院・療養所等の公共及び社会福祉施設のある基本単位区等で、それらの施設の面積を除いた残りの区域に人口が密集している基本単位区等又はそれらの施設の面積が2分の1以上占める基本単位区等が上記1)の基本単位区等に隣接している場合には、上記1)を構成する地域に含めています。(総務省統計局HP参考)
しかし、この定義では実際にドローンを飛ばせるのかを判断するのは、極めて困難でしょう。
そこで、どの場所が人口集中地区(地域)なのかについては、【国土地理院】地理院地図「人口集中地区R2年(総務省統計局)」で確認できます。R7年(総務省統計局)に近々変わり、人口集中地区の範囲も更新される予定です。
また、誰でも使える地理情報システムである「j STAT MAP」という地域分析ツールやドローンフライトナビ(iosのみ対応)というアプリからも人口集中地区を確認できます。
なお、人口集中地区(地域)内の飛行の場合は、自宅の庭や会社の敷地内、河川敷や農地のように周囲に人がいない場所であっても、国土交通大臣の許可を得ない限り、飛行させることはできないので注意してください。
もっとも、これは操作を誤ることで近隣の人や物件に危害を及ぼす可能性もあることから許可を必要としていますので、無人航空機が飛行範囲を逸脱することがないように、四方や上部がネット等で囲われている場合は、屋内とみなされ、許可が不要になります。
申請については飛行開始予定日の少なくとも10開庁日前までに申請書類を提出する必要があり、不備があるとさらに時間を要する場合があるので注意しましょう。
100g以上のドローンの許可申請先は以下の通りです。
空港等の周辺、高度 150m 以上、緊急用務空域における飛行の許可申請⇒各空港事務所
それ以外の許可・承認申請⇒地方航空局
なお、最寄りの空港事務所等に申請書類を持参すると、申請場所となる地方航空局又は空港事務所にこれらの申請書類を経由することが出来ますが、経由すると審査に時間がかかってしまいます。また、今はオンラインサービス(DIPS)での許可申請が普及しているので、空港事務所等に申請書類を持参して申請することのメリットはほとんどありません。
バウンダリ行政書士法人
代表行政書士 佐々木 慎太郎
(Shintaro Sasaki)
行政書士として建設業などの根幹産業と関わり、ドローンに特化したバウンダリ行政書士法人を創設。ドローン運航に必要な包括申請から高難度な飛行許可申請、国家資格スクール(登録講習機関)の開設・維持管理・監査まで幅広く対応し、2023年のドローン許認可件数は10,000件以上を突破。
無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」を開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信。著書に『ドローン飛行許可の取得・維持管理の基礎がよくわかる本』(セルバ出版)がある。