ABOUT DRONE

ABOUT DRONE

ビーチは木や電線などの障害物もなく、撮影に関してはダイナミックな映像も撮れるということで、ドローンがもっとも利用される場所の一つとなっています。

では、ビーチでドローンを飛行させるには許可を取る必要があるでしょうか。
1 ドローンの規制について

まず、どのような場合にドローンの飛行許可が必要か見てみましょう。

航空法により200g以上のドローンの飛行には、空域規制があります。これらの規制区域については、航空法による許可を受けた場合のみ飛行が可能となります。

無人航空機の飛行許可が必要な空域は以下の通りです。

①空港等の周辺空域

②人または住宅の密集している地域(人口集中地区(地域))上空

③地表または水面から高さ150m以上の空域

④緊急用務空域←今月(6月)から追加されました。

なお、これらの規制以外にも例えば、国会議事堂や内閣総理大臣官邸などの国の重要な施設、外国公館、原子力事業所などの周辺も飛行禁止区域になります。

また、200g以上のドローンには飛行可能空域以外にも、以下の飛行ルールを守る必要があります。

[1] アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと

[2] 飛行前確認を行うこと

[3] 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること

[4] 他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと

[5] 日中(日出から日没まで)に飛行させること

[6] 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること

[7] 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること

[8] 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと

[9] 爆発物など危険物を輸送しないこと

[10] 無人航空機から物を投下しないこと

[5]~[10]の飛行ルール以外で飛行させる場合には、国土交通大臣の承認が必要です。

では、飛行規制空域の「②人または住宅の密集している地域(人口集中地区(地域))上空」とはどのようなところをいうのでしょうか。

2 人口集中地区(地域)とは

人口集中地区の設定に当たっては、国勢調査基本単位区及び基本単位区内に複数の調査区がある場合は調査区(以下「基本単位区等」という。)を基礎単位として、

1)原則として人口密度が1平方キロメートル当たり4,000人以上の基本単位区等が市区町村の境域内で互いに隣接して、

2)それらの隣接した地域の人口が国勢調査時に5,000人以上を有するこの地域を「人口集中地区」としています。

なお、人口集中地区は「都市的地域」を表す観点から、学校・研究所・神社・仏閣・運動場等の文教レクリエーション施設、工場・倉庫・事務所等の産業施設、官公庁・病院・療養所等の公共及び社会福祉施設のある基本単位区等で、それらの施設の面積を除いた残りの区域に人口が密集している基本単位区等又はそれらの施設の面積が2分の1以上占める基本単位区等が上記1)の基本単位区等に隣接している場合には、上記1)を構成する地域に含めています。(総務省統計局HP参考)

しかし、この定義では実際にドローンを飛ばせるのかを判断するのは、極めて困難でしょう。

そこで、どの場所が人口集中地区(地域)なのかについては、【国土地理院】地理院地図「人口集中地区H27年(総務省統計局)」で確認できます。R2年(総務省統計局)に近々変わり、人口集中地区の範囲も更新される予定です。

また、誰でも使える地理情報システムである「j STAT MAP」という地域分析ツールやドローンフライトナビ(iosのみ対応)というアプリからも人口集中地区を確認できます。

なお、人口集中地区(地域)内の飛行の場合は、私有地の敷地内であっても、国土交通大臣の許可を得ない限り、飛行させることはできないので注意してください。

3 ビーチでドローン飛行に許可は必要?

飛行させるビーチ上空が、①空港等の周辺空域、②人または住宅の密集している地域(人口集中地区(地域))上空ではなく、③地表または水面から高さ150m以上の空域を飛行せず、④緊急用務空域に指定されていなければ、国土交通大臣の許可を得る必要はありません。

ただ、[5]~[10]の飛行ルール以外で飛行させる場合には、国土交通大臣の承認が必要です。

[5] 日中(日出から日没まで)に飛行させること

[6] 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること

[7] 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること

[8] 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと

[9] 爆発物など危険物を輸送しないこと

[10] 無人航空機から物を投下しないこと

例えば、

[5] 夜にビーチ上空で飛ばす場合

[6] ドローンを目視せず、モニターやゴーグルに映し出された画面を見ながら飛行させる場合

[7] 30m未満の距離に第三者(海水浴客など)がいる状況で飛行させる場合

[8] ビーチでイベントを行っていて、その上空を飛行させる場合

[9] スマートフォンの予備バッテリーをドローンで運ぶ場合

※[9]は無理やり挙げました

[10] 熱中症対策でドローンから水を散布したり、救命胴衣をドローンから投下する場合

です。

もっとも、ビーチの管理権者の許可はとる必要があります。プライベートビーチでなければ、一般的には、そのビーチを管轄する役所の土木事務所に連絡します。

また、海は海上保安庁の管轄になるので、海上保安庁にも連絡をします。

港からドローンを飛ばす場合には、港湾管理局の許可をもらいます。

海水浴のシーズンなどは、飛行させると海水浴客に危険を及ぼす危険が高いことから飛行が認められないこともあるので、しっかりと許可を取って、適法に飛行させることが必要です。

4 まとめ

ビーチでのドローン飛行は場所によって許可をもらう関係先が異なってきます。複数の関係部署から許可を取得しなければいけない場合もあります。ドローンに詳しい行政書士等に相談し、うっかり違反してしまったということがないようにしましょう。

監修者
バウンダリ行政書士法人
代表行政書士 佐々木慎太郎(Shintaro Sasaki)

日本屈指のサポート実績を誇る、ドローン法務のプロフェッショナル

飛行許可申請をはじめ登録講習機関の開設やスクール運営、監査実施、法務顧問、事業コンサルティングなど、ドローン事業を幅広く支援している。
2022年の年間ドローン許認可案件は5,300件、登録講習機関のサポート数は100社を突破。

ドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」を開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信している。著書に『ドローン飛行許可の取得・維持管理の基礎がよくわかる本』(セルバ出版)がある。