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ドローン無線免許は必要?周波数や資格、電波法をわかりやすく解説

2026.01.16

ドローン無線免許は必要?周波数や資格、電波法をわかりやすく解説

ドローンを飛ばす際には「無線」をどう扱うかが重要なポイントになります。
なぜなら、ドローンは操縦のための電波やカメラ映像の伝送に電波を利用しており、使用する周波数帯によっては無線免許が必要になるケースがあるからです。

とくに産業用ドローンでの業務利用や、FPV(First Person View)ドローンでの映像伝送を行う場合には、電波法に基づいた資格や開局申請が求められることがあります。
逆に、一般的なホビー用のドローンは免許不要の周波数帯を使うものが多いため、誰でも手軽に飛ばせるのが特徴です。

本記事では、ドローンで利用される主要な周波数帯の特徴から、無線免許が必要となるケース、さらに取得すべき資格の種類や開局申請の流れまでわかりやすく解説します。

これから業務利用やFPVドローンを始めたい方にとって、法律違反を避けながら安心して運用するための基礎知識を整理しましたので、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. ドローンの通信で利用される主要な電波(周波数帯)
    1-1. 一般的な2.4GHz帯の特徴
    1-2. 高速・高出力な5GHz帯(5.7/5.8GHz)の特徴
  2. ドローンで無線免許が必要になる2つの主要ケース
    2-1. 産業用ドローンでの業務利用
    2-2. FPVドローンでの映像伝送
  3. 取得すべきドローン無線資格の種類と取得方法
    3-1. 【業務利用向け】第三級陸上特殊無線技士
    3-2. 【ホビー利用向け】第四級アマチュア無線技士
  4. 【重要】免許取得後に必須となる無線局の「開局申請」
  5. 無線免許が不要なドローンの条件
  6. まとめ

1. ドローンの通信で利用される主要な電波(周波数帯)

ドローン無線免許は必要?周波数や資格、電波法をわかりやすく解説

ドローンと送信機(コントローラー)の間で行われる無線通信には、主に2つの周波数帯が使用されています。

一般的なドローンで広く採用される2.4GHz帯と、産業用やFPVドローンで利用される5GHz帯(5.7/5.8GHz)です。

それぞれの周波数帯には異なる特性があり、用途に応じて使い分けられています。

1-1. 一般的な2.4GHz帯の特徴

2.4GHz帯は、DJI製品をはじめとする国内で販売されている多くのドローンで採用されている最もポピュラーな周波数帯です。

Wi-Fiや電子レンジなど、身の回りのさまざまな機器でも利用されているため、ドローンユーザーにとって身近な存在となっています。

メリット

  • 通信距離が長く、直線距離で数百メートルから数キロメートルの範囲で通信可能
  • 木々や壁などの障害物を迂回して通信できる電波の侵入力がある
  • 技適マークがあり出力が10mW以下であれば基本的に免許(開局)不要で利用できる

デメリット

  • Wi-FiルーターやBluetooth機器、電子レンジなど同じ周波数帯を利用する機器が多いため、通信機器が多い場所では電波干渉により通信が不安定になることがある
  • 他のドローンが近くにいる場合、通信が衝突して誤動作や制御不能になる可能性がある
  • 5GHz帯(5.7/5.8GHz)と比べてやや遅延がある

ただし、免許(開局)不要で利用できるのは、後述する「技適マーク」が付いており、送信出力が基準値(10mW/MHz)以下の場合に限られます。

1-2. 高速・高出力な5GHz帯(5.7/5.8GHz)の特徴

5.7GHz帯や5.8GHz帯は、主に産業用ドローンの長距離映像伝送やFPV(First Person View・一人称視点)ドローンのリアルタイム映像伝送で利用される周波数帯です。

特にドローンレースや狭隘部の点検では、操縦者がゴーグルを装着してドローン視点の映像を見ながら飛行させるため、この周波数帯が重要な役割を果たしています。

メリット

  • 2.4GHz帯よりも広い帯域幅により、多くのデータを高速で送信できる
  • 2.4GHz帯ほど利用機器が多くないため、電波干渉が起きにくい
  • 広い帯域幅と少ない干渉により低遅延を実現

デメリット

  • 高周波数のため電波の直進性が強く、建物などの障害物に弱い
  • 通信距離が2.4GHz帯と比べて短くなる傾向がある
  • 日本では原則として無線免許の取得(開局)が必要

FPVレースで5.8GHz帯が使われる理由は、この「低遅延」という特性にあります。

レースでは瞬時の判断と操作が求められるため、映像の遅延が少ないことが勝敗を左右する重要な要素となるのです。

2. ドローンで無線免許が必要になる2つの主要ケース

国内で販売されている一般的なドローンの多くは無線免許不要で飛行できますが、特定の周波数帯や高出力の電波を使用する場合には無線免許が必要になります。

特に産業用ドローンやFPVドローンを使用する際には、電波法に基づく適切な資格取得が求められるため、利用目的に応じた準備が欠かせません。

2-1. 産業用ドローンでの業務利用

産業用ドローンでは、長距離での安定した映像伝送やデータ通信を実現するため、2016年に新たに確保された高出力の周波数帯域を使用します。

この周波数帯を利用する際には、第三級陸上特殊無線技士以上の資格取得が必須となっています。

免許が必要となる具体的な基準は以下のとおりです。

  • 周波数169MHz、出力10mW
  • 周波数2.4GHz、出力最大1W
  • 周波数5.7GHz、出力最大1W

測量業務では広範囲の地形データを取得する必要があり、農薬散布では広大な農地を効率的にカバーしなければなりません。

インフラ点検においても、橋梁や送電線など高所での作業が求められます。

これらの業務では、機体と操縦者の距離が数キロメートルに及ぶことも珍しくないため、安定的な長距離通信を実現する高出力の電波が不可欠となるのです。

2-2. FPVドローンでの映像伝送

FPVドローンは、機体に搭載したカメラの映像をゴーグルでリアルタイムに確認しながら操縦するドローンです。

この映像伝送には一般的に5.8GHz帯の電波が使用されますが、日本国内では無線免許(開局)の取得が必要となります。

利用目的によって必要な資格が異なる点に注意が必要です。

  • 個人利用(趣味のレースなど)
    第四級アマチュア無線技士以上
  • 商業利用(賞金のあるレース、空撮業務など)
    第三級陸上特殊無線技士以上

アマチュア無線は電波法上「金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う」ものと定義されています。

そのため、動画投稿サイトでの広告収入や、撮影依頼を受けての空撮なども商業利用と見なされる可能性があるため、慎重な判断が求められます。

 

3. 取得すべきドローン無線資格の種類と取得方法

ドローン無線免許は必要?周波数や資格、電波法をわかりやすく解説

ドローンの操縦において無線資格が必要となるケースは、主に産業用ドローンの業務利用とFPVドローンの趣味利用の2つに分かれます。

業務利用では第三級陸上特殊無線技士、個人のホビー利用では第四級アマチュア無線技士の取得が求められるため、それぞれの資格の特徴と取得方法を理解することが重要になります。

国家資格ではあるものの、ドローンの操縦者技能証明とは全く別の資格です。

3-1. 【業務利用向け】第三級陸上特殊無線技士

第三級陸上特殊無線技士は、陸上の無線局で無線設備の技術的な操作を行うために必要な国家資格であり、産業用ドローンを業務で使用する際に取得が必要となります。

169MHz帯で10mW、2.4GHz帯および5.7GHz帯で最大1Wの出力を使用する産業用ドローンの操縦には、この資格が不可欠です。

資格の取得方法は、日本無線協会が実施する国家試験を受験する方法と、養成課程講習会やeラーニングを受講する方法の2通りがあります。

国家試験の受験料は手数料を含めて約6,000円以下と費用を抑えられる一方、養成課程講習会やeラーニングの費用は約20,000円からとなっています。

短期間で確実に資格を取得したい場合は、一日で講習から修了試験まで完了する養成課程講習会の受講がおすすめとなります。

3-2. 【ホビー利用向け】第四級アマチュア無線技士

第四級アマチュア無線技士は、個人が趣味として無線操作を行うための国家資格であり、5.8GHz帯を使用するFPVドローンを個人で楽しむ際に必要となる資格です。

ドローンレースやFPVゴーグルを使用した飛行など、リアルタイムの映像伝送を行う場合には、この資格の取得が求められます。

取得方法としては、公益財団法人日本無線協会が開催する国家試験を受験する方法と、一般財団法人日本アマチュア無線振興協会などが主催する2日間の養成課程講習会を受講する方法があります。

国家試験の受験料は振込手数料を含めて約5,100円程度、講習会の費用は10,000円から20,000円程度となっています。

独学での勉強が苦手な方や短期間で確実に取得したい方には、2日間で法規と無線工学を学び修了試験まで完了する講習会の受講がおすすめです。

4. 【重要】免許取得後に必須となる無線局の「開局申請」

ドローン無線免許は必要?周波数や資格、電波法をわかりやすく解説

無線免許を取得しただけでは、産業用ドローンやFPVドローンを飛ばすことはできません。

自動車でいう車検にあたる「無線局の開局申請」を総務省に対して行う必要があり、この手続きを完了して初めて、対象となるドローンの操縦が可能になります。

開局申請は免許取得とは比較にならないほど複雑です。アマチュア無線開局の場合は、技適マークが無い機器でも開局が可能です。

その替わりに、映像送信機(VTX)の系統図という専門的な書類を準備し、JARD(一般財団法人日本アマチュア無線振興協会)などの第三者機関による保証手続きを経なければなりません。

さらに、無線局免許申請書やアマチュア局の無線設備の開設保証願書など、多数の書類を揃える必要があるため、初心者にとっては非常に手間と時間がかかる作業となります。

紙での申請でもオンラインの申請でも可能です。オンラインでの申請手続きは、まず総務省の電波利用電子申請届け出システムLiteへのユーザー登録から始まり、次にVTX系統図の保証申込、そして保証書と必要書類の提出、最後に申請手数料の納付という流れで進みます。

これらの手続きを経て免許状が交付されるまでには、通常2~3ヶ月程度の期間を要するため、ドローンの使用予定がある場合は早めの準備が大切になります。

業務用無線開局の場合は、アマチュア無線のように保証は不要ですが、原則技適マークがある機器でないと開局できません。同じように開局を行います。

アマチュア無線との違いは、機器ごとに開局を行う必要があることと、企業・事業主単位で申請できることです。1つの機器を開局する際、複数の陸上特殊無線技士を取得している方を無線従事者として選任することも可能です。

5. 無線免許が不要なドローンの条件

ドローン無線免許は必要?周波数や資格、電波法をわかりやすく解説

これまで産業用やFPVドローンで免許が必要なケースを解説してきましたが、実際には国内で販売されている多くの市販ドローンは無線免許なしで飛ばすことができます。

無線免許が不要となるためには、2つの重要な条件を満たす必要があります。

第一の条件は、ドローンに技術基準適合証明(技適)マークが付いていることであり、第二の条件は、送信出力が10mW以下などの規定値内に収まっている特定小電力無線局に該当することです。

技適マークは、国内の電波法で定められた技術基準に適合した無線機であることを証明する重要な印であり、このマークがある機器は総務省の技術基準をクリアしているため、安心して使用できます。

しかし、通販や海外で現地購入したドローンには技適マークがない場合が多く、また国内で購入した技適マーク付きのドローンであっても改造を加えると電波法違反となるため、十分な注意が必要になります。

また、ドローンを飛ばさなくても、電源を入れて電波を出した時点で違反となります。

6. まとめ

一般的な2.4GHz帯を使用し技適マークが付いているドローンであれば無線免許は不要ですが、5.7GHz帯を使用する産業用ドローンや5.8GHz帯を使用するFPVドローンを飛ばす場合には、必ず無線免許の取得が必要になります。

業務利用では第三級陸上特殊無線技士、趣味での利用では第四級アマチュア無線技士の資格取得が求められ、さらに免許取得後には無線局の開局申請という重要な手続きを完了させなければなりません。

ドローンを安全かつ合法的に運用するためには、航空法の知識だけでなく、電波法に関する正しい理解が不可欠です。使用するドローンがどの周波数帯を利用しているか、また自身の利用目的が業務なのか趣味なのかを事前にしっかりと確認することが、適切な運用への第一歩となります。

無線免許や開局申請でお困りの際は、実績多数のバウンダリ行政書士法人の無料相談をご活用ください。

AUTHOR

執筆者

代表行政書士 佐々木 慎太郎

バウンダリ行政書士法人

代表行政書士 佐々木 慎太郎

(Shintaro Sasaki)

日本屈指のサポート実績を誇る、ドローン法務のプロフェッショナル

ドローンに関する許認可申請、許認可管理、法務顧問を専門とするバウンダリ行政書士法人の代表。飛行許可申請をはじめメーカー支援、登録講習機関の開設やスクール運営、事業コンサルティング、空飛ぶクルマなど支援の幅を広げ日本屈指のサポート実績を誇る。2025年のドローン許認可対応案件は10,000件以上、登録講習機関のサポート数は200社を突破。
無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」や公式LINEを開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信している。著書に『ドローン飛行許可の取得・維持管理の基礎がよくわかる本』(セルバ出版)がある。
・内閣府規制改革推進会議ワーキンググループメンバー
・国交省航空局無人航空機事業化に向けたアドバイザリーボードメンバー
・国交省多数機同時運航の普及拡大に向けたスタディグループメンバー
としてドローン業界の発展を推進しています。
さらに、国土交通省との人事交流も行い、行政と業界の橋渡し役として制度の合理化・適正化に尽力しています。

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