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ドローンショーの許可「イベント開催に必要な申請と安全距離」を解説

2025.08.06

ドローンショーの許可「イベント開催に必要な申請と安全距離」を解説

ドローンショーの開催には、航空法に基づく適切な許可申請が不可欠です。

近年注目を集めるこのエンターテイメントですが、複雑な法規制や安全対策を理解せずに進めると、法的リスクや事故の危険性があります。

本記事では、ドローンショー開催に必要な許可・承認の基礎知識から具体的な手続き、安全対策まで詳しく解説します。

目次

  1. ドローンショー開催に不可欠な許可・承認の基礎知識
    1-1.航空法における許可・承認の対象となる飛行
    1-2.観客の有無で分かれる飛行カテゴリーの要点
  2. 安全なイベント実施に向けた具体的な手続きと準備
    2-1.機体・操縦者・飛行計画に関する必須手続き
    2-2.安全な観覧距離と関連法規に関する注意点
  3. まとめ

1.ドローンショー開催に不可欠な許可・承認の基礎知識

ドローンショーの許可「イベント開催に必要な申請と安全距離」を解説

ドローンショーを安全かつ合法的に開催するためには、航空法に基づく適切な許可・承認の取得が必要不可欠となります。

特にイベント上空での飛行は「特定飛行」の中でも危険度が高いため、申請の難易度も上がります。

また、ドローンショーはイベント上空に加え、夜間中の目視外飛行、150m以上上空、人口集中地区(DID)での夜間飛行など、案件によって申請内容が変わり、求められる安全対策や個別申請の数も異なってきます。

これらの基礎知識を正しく理解することで、法的リスクを回避しながら魅力的なドローンショーを実現できるでしょう。

1-1.航空法における許可・承認の対象となる飛行

ドローンショーの実施は航空法上の「特定飛行」に該当するため、国土交通省への飛行許可申請が必要になります。

特定飛行には飛行空域と飛行方法の2つの観点から規制が設けられており、空域については「空港等の周辺」「人口集中地区の上空」「150m以上の上空」「緊急用務空域」での飛行に許可が求められます。

一方、飛行方法では「夜間飛行」「目視外飛行」「人または物件から30m以上の距離を保てない飛行」「イベント上空での飛行」「危険物の輸送」「物件の投下」が承認の対象となっています。

これらの規制は航空機の航行安全確保と地上への危害防止を目的としており、飛行予定地が規制対象かどうかは国土地理院地図等で事前確認が可能です。

1-2.観客の有無で分かれる飛行カテゴリーの要点

ドローンの飛行形態はリスクに応じていくつかのカテゴリーに分類され、特にドローンショーでは「カテゴリーII」の理解が重要となります。

カテゴリーII飛行はリスクに応じてカテゴリーⅡBとⅡAに分けられています。

カテゴリーⅡB飛行においては、飛行許可・承認申請が不要となる条件として無人航空機操縦者技能証明と機体認証の両方が必要とされており、操縦者の資格レベルが安全運用の重要な要素として位置づけられています。

技能証明の取得により、より柔軟で効率的なドローン運用が可能となるでしょう。

ただし、ドローンショーで使用する機体は機体認証を受けている機体がまだ無いので、結局飛行許可が必要となります。

カテゴリーⅡB飛行は第三者の上空を飛行せず原則立入管理措置を講じる形態で、告知・観客なしのクローズドな環境でのドローンショーがこれにあたります。

それに対して、多くのドローンショーは一般観客を対象としてオープンに開催し、イベント上空飛行となります。

イベント上空飛行はカテゴリーⅡAとなり、立入禁止区画を講じなければならないリスクの高い飛行と位置付けられていて、無人航空機操縦者技能証明と機体認証の両方があっても許可申請をしなければいけない点に注意が必要です。

どちらのカテゴリーに該当するかによって、必要な申請から安全対策まで大きく変わるため、ドローンショーの性質に応じた適切な計画立案が不可欠でしょう。

2.安全なイベント実施に向けた具体的な手続きと準備

ドローンショーの許可「イベント開催に必要な申請と安全距離」を解説

ドローンショーを適法かつ安全に実施するためには、複数の手続きを段階的に進める必要があります。

機体登録から始まり、飛行許可申請、リモートID特定区域の届出、さらには飛行計画の通報まで、各手続きには明確な目的と役割があります。

また、観客の安全を確保するための距離設定や、航空法以外の関連法規への対応も欠かせません。

これらの準備を適切に行うことで、法的リスクを回避しながら魅力的なイベントを開催できるでしょう。

2-1.機体・操縦者・飛行計画に関する必須手続き

ドローンショーの開催には複数の必須手続きが存在し、それぞれに明確な目的があります。

  • 機体登録
    :100g以上のドローンを屋外で飛行させるための基本手続き。所有者情報を国に登録する。(カテゴリーⅠ,II, III)
  • 飛行許可申請
    :特定飛行を行う前、国土交通省から飛行許可・承認を取得する。(カテゴリーII, III)
  • リモートID特定区域の届出
    :事前の届出・機体の特定・安全管理体制を前提とし、機体1台毎に必要なリモートID搭載が免除される制度。(カテゴリーⅠ,II, III)
  • 飛行計画の通報
    :特定飛行を行う際に事前に飛行の日時や経路を国に通報し、有人機や他のドローンとの衝突事故などを防ぐ。(カテゴリーII, III)
  • 飛行日誌の作成
    :特定飛行を行った後に飛行、整備、改造などの情報を記録し、機体の状態を管理する。(カテゴリーII, III)

カテゴリーIII飛行では特に厳格な要件として「第一種機体認証」と「一等無人航空機操縦者技能証明」「特別な飛行許可承認申請」が必須となります。これらの申請はドローン情報基盤システム(DIPS2.0)を通じてオンラインで行うのが基本です。

2-2.安全な観覧距離と関連法規に関する注意点

安全なドローンショー開催には、飛行エリア直下への立入禁止区画設定による観客との距離確保が不可欠となります。

効果的な安全対策として、補助者の配置、関係者の保護具・必要に応じて暗視ゴーグル着用、不要な電波の制御、運営本部の設置などが有効です。

航空法に加えて遵守すべき関連法規も多岐にわたります。

  • 小型無人機等飛行禁止法
    :国の重要施設(国会議事堂、空港、原子力事業所など)及びその周囲おおむね300mの上空は原則飛行禁止であること。
  • 民法
    :他人が管理する土地の上空を飛行させる場合、トラブル予防のため土地管理者の許可を取得しておくこと。
  • 電波法
    :国内で使用が許可された技術基準適合証明(技適マーク)のある機体を使用する必要があること。
  • 道路交通法
    :道路上での離着陸や、交通に支障を及ぼす飛行には警察署の許可が必要な場合があること。

万が一、人の死傷や物件の損壊などの事故、または重大インシデントが発生した場合には、国土交通大臣への報告義務が課せられているため、緊急時対応体制の整備も欠かせません。

3.まとめ

ドローンショーの成功は、適切な許可申請と安全対策の徹底にかかっています。

複雑化する航空法規制や飛行カテゴリーの理解が求められる現代において、事前の準備と法的要件の遵守が不可欠です。

必要な手続きを正しく行い、関連法規を遵守することで、観客に感動を与える質の高いドローンショーを安全に開催し、新たなエンターテイメント事業として成功させることができるでしょう。

SUPERVISOR

監修者

代表行政書士 佐々木 慎太郎

バウンダリ行政書士法人

代表行政書士 佐々木 慎太郎

(Shintaro Sasaki)

日本屈指のサポート実績を誇る、ドローン法務のプロフェッショナル

行政書士として建設業などの根幹産業と関わり、ドローンに特化したバウンダリ行政書士法人を創設。ドローン運航に必要な包括申請から高難度な飛行許可申請、国家資格スクール(登録講習機関)の開設・維持管理・監査まで幅広く対応し、2023年のドローン許認可件数は10,000件以上を突破。
無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」を開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信。著書に『ドローン飛行許可の取得・維持管理の基礎がよくわかる本』(セルバ出版)がある。
YouTubeで日々ドローン法務に関する情報を発信中!「ドローン教育チャンネル」はこちら