2024.11.14
資格・スクール
2023.06.23
無人航空機の手続きに関するオンラインシステムが大幅に内容変更され、2022年11月に「ドローン情報基盤システム2.0」(通称DIPS2.0)として刷新されました。
DIPS2.0は、無人航空機の各種手続きをオンラインで実現可能とするシステムです。
2,022年12月に発足した技能証明や機体認証等の新制度開始に向けた新しいシステムと、従来個別のシステムだった機体登録や飛行許可申請等を1つに統合し、次期システム「ドローン情報基盤システム2.0」としてリリースされました。
DIPS2.0では、手続きの代表格である機体登録・飛行許可申請に報告系や認証系の新システムが加わり一体的な仕組みとなりました。
また、事業者向けの手続きも追加され国家資格制度への申請も当システムで行ないます。
主な手続きメニューは以下の通りです。
<飛行・機体に関する手続き>
<事業者向けの手続き>
DIPS2.0で飛行・機体に関する手続きをする際の、基本的な使用方法を解説します。
DIPS2.0の特徴は、1つのアカウントですべての手続きが出来るということです。
これまでは別々の仕組みそれぞれにアカウントが必要だった為、IDやパスワードなどアカウント情報の管理が面倒でした。
DIPS2.0では、最初に開設したアカウントでDIPS2.0のポータルサイトにログインし、各種手続のページを選んでいく仕組みになっています。
注意点は、旧システムで機体登録を行なった際に取得したアカウントはそのままDIPS2.0のアカウントとして使用することができますが「旧システムで飛行許可を申請した際に使ったアカウント」はDIPS2.0アカウントとしては使用できない点です。
新しくアカウントを作成する場合は、まず手続きに必要な自身のメールアドレスを決めておき、あとはマニュアルに沿って進めて行けば完了します。
DIPS2.0の各種手続を行う上で必ず必要となるのが「機体登録(無人航空機の登録申請)」です。
飛行許可申請や飛行計画の登録等、同じDIPS2.0内の他の仕組みはすべて、登録した機体と紐づいています。
登録した機体が存在しない場合は、申請に一工夫(機体の情報提供)必要となる仕組みとなっていることに注意しましょう。
DIPS2.0では機体の登録に関する様々な手続きが、目的ごとにマニュアル化されており、機体の新規登録をはじめ、目的に合致するマニュアルを選ぶことができます。
初めて機体登録する場合も下のマニュアルに沿って進めることができます。
DIPS2.0の「飛行許可・承認申請」は旧システムと変わった点がいくつかあります。
まず、旧システムでは「飛行許可・承認申請」は独立して存在していた為、申請ページを探す必要はありませんでした。
しかし、DIPS2.0では数多くの手続きメニューの中から探し出さなければなりません。以下に、申請ページを探す段階から申請完了までの流れを解説します。
まず、事前に開設したアカウントでDIPS2.0にログインします。すると右上に自分の名前が掲示されるページに移ります。そのページの「飛行許可・承認申請へ」のボタンをクリックし、そこから申請ページに入ります。
次に下のような「飛行許可・承認メインメニュー」のページが現れるので、「無人航空機情報の登録・変更」と「操縦者情報の登録・変更」それぞれで、これから飛行許可を申請する機体と操縦者を設定します。
注:あらかじめ登録されている機体がない場合は他のアカウントから機体情報の提供を受けなければ、飛行許可申請はできません。
無人航空機情報と操縦者情報の登録を済ませ申請に必要な情報の準備が終わったら、いよいよ「新規登録」に進みます。
全体の流れは、旧システム同様に機体や操縦者や飛行方法に関する問いに答えていきながら「申請書」を完成させ、送信(申請)する手順です。ただし、DIPS2.0で大きく変わった点はリスクカテゴリーの判定ステップが加わった点です。
改正航空法ではドローンの飛行を3つのリスクカテゴリーに分けて、飛行許可の要不要や許可の条件を定めました。(カテゴリーⅠ、カテゴリーⅡ(A/B)、カテゴリーⅢ)
DIPS2.0には、飛ばしたい空域や飛行の方法等を入力すると「簡易カテゴリー判定」されるステップが加わっています。
簡易カテゴリー判定が行われると「飛行カテゴリー」が下記のように示されます。
飛行カテゴリーが自分の認識と違っていた場合は、「新規申請」以降の入力に戻って内容に間違いがないかを確認し、再度「簡易カテゴリー判定」を行ってください。
問題なければ「飛行許可・承認申請へ」のボタンをクリックします。ここまでが前半です。
以降は指示に従って、機体の追加基準を入力したりマニュアル等の資料を添付していく流れで進みます。
最後に示される申請書全体の内容を確認したら「申請する」ボタンをクリックし「OK」となったら終了です。
新たなステップこそ加わったものの複雑になったわけではないので、機体情報や操縦者情報の登録からスタートする点さえ間違わなければ比較的スムーズに進めることができます。
飛行計画の通報とは、旧システムで「FISS」と呼ばれていた飛行の計画を登録する事前手続きですが、今般最大30万円の罰金となる罰則が設けられ飛行計画の通報は必須事項となりました。
留意点は、運用について様々な決まり事が設けられていることです。
当局からの変更指示への対応、団体飛行の一括登録、通報通りの飛行と変更手続きの徹底等々、飛行計画の登録ルールおよび通報した「後」の義務に注意しましょう。
また、定型フォームへの入力に留まらず、周囲に知っておいてもらいたい事情等を「その他情報」欄を活用して記載することも大切です。何か起こった時のコンプライアンス上の押さえにもつながります。
事故発生時の報告も電子申請による迅速な報告が義務付けられました。事故等の発生日時、発生場所をはじめとした、事故等の詳細の内容を入力し、必要に応じ状況が判る写真等の資料を添付の上、報告します。
報告が義務付けられている事故等は次の通りです。
事故
重大インシデント
報告書の確認・調整
提出された報告書は、提出先の航空局、地方航空局、空港事務所等で確認が行われます。報告内容の修正、追記が必要な場合は報告内容の変更の調整を行います。
DIPS2.0では、高難度のリスクカテゴリーの飛行に必要な機体認証・技能証明の取得申請手続きも追加されました。
第三者上空を補助者なしで目視外飛行を行う場合(カテゴリーⅢ・レベル4飛行)や、一部特定飛行で許可・承認不要(カテゴリーⅡB)とするためには、機体認証を受けた無人航空機を技能証明を受けた操縦者が飛行させる必要があります。
機体認証の手続きの流れは下の通りですが、申請する機体が「型式認証※」されているか否かで検査の方法や内容が異なることに注意しましょう。
量産機等の「型式認証」を受けた機体であれば、指示に沿って機体情報を提出することで済みます。
しかし、型式認証がない場合は、あらかじめ申請日、検査予定日及び検査内容等について国と事前調整を行った上で行う必要があり、かなり労力を要します。
(※型式認証:設計や製造過程が定められた安全基準にあることを認証する制度。量産機等ではメーカーがあらかじめ取得する)
申請
無人航空機の機体の設計者等や型式等の情報を入力し、申請します。手数料の納付
国による検査の場合、クレジットカード、インターネットバンキング、ATMのいずれかの方法で、申請に係る手数料を納付します。登録検査機関による検査の場合は、登録検査機関の指示に従ってご対応ください。無人航空機の検査
国又は登録検査機関により、申請された無人航空機が安全基準に適合しているか、検査を行います。国又は登録検査機関の指示に従ってご対応ください。機体認証書の発行
検査に合格し、全ての手続きが完了した後、機体認証書が発行されます。
型式認証に関してもう1つ注意すべき点は「手数料額」です。型式認証の有無で桁違いに変わるからです。
例えば第一種機体認証では型式認証がある場合は1機あたり4万円程度ですが、ない場合には150万円前後と非常に高額です。(2023年6月時点)
技能証明の申請手続きの特徴は、技能証明試験の受験と一体化している点です。
受験前に「技能証明申請者番号」を取得しておかなければ講習の受講も技能試験の受験も出来ません。
また申請手続きは指定試験機関等とDIPS2.0とのデータ連携によって行われます。
申請者に連携データの「アップロード」という操作が求められるのも特徴の一つです。
まずは、基本的な流れを掴みましょう。
技能証明申請者番号の発行
技能証明試験の受験や申請において必要となる技能証明申請者番号の発行手続きを行います。指定試験機関にて試験を受験
技能証明書の交付を受けるため、指定試験機関にて試験を受験してください。申請
試験に合格後、技能証明合格証明書番号等の情報を入力し、申請します。手数料の納付
クレジットカード、インターネットバンキング、ATMのいずれかの方法で、申請に係る手数料を納付します。申請書の審査
提出された申請書は、航空局で審査が行われます。登録免許税の納付(一等技能証明を取得する場合のみ)
インターネットバンキング、ATM、東京国税局麹町税務署での直接納付のいずれかの方法で登録免許税を納付します。技能証明書の発行
全ての手続きが完了した後、技能証明書が発行されます。
技能証明のDIPS2.0での手続きは、証明書データのアップロードやシステム上での手数料の納付、審査完了通知のメール送受信等々固有の端末操作を伴うため、パソコン等に不慣れな方は少々面倒かも知れません。
以下の画像のように、DIPS2.0のトップ画面には利用ガイドやマニュアル等への入り口が用意されています。
マニュアルはかなり豊富で丁寧な内容となっているので、手続に着手する前に全体の流れを確認したり、操作に躓いた際などに活用できるため、一度確認することをお勧めします。
DIPS2.0は、リリースされたばかりで一部使い勝手の良くないところはあるものの、行政手続きのオンライン化の波の中では一歩リードしている仕組みです。
今後、ドローン産業の発展に伴い内容も洗練されていき、スマホ片手にDIPS2.0を駆使する人も増えていくでしょう。
とはいえ、申請業務について個人・企業で申請するには難しいと感じる申請も少なくありません。
そんな時は、いつでもバウンダリ行政書士法人にご相談ください。
バウンダリ行政書士法人
代表行政書士 佐々木 慎太郎
(Shintaro Sasaki)
行政書士として建設業などの根幹産業と関わり、ドローンに特化したバウンダリ行政書士法人を創設。ドローン運航に必要な包括申請から高難度な飛行許可申請、国家資格スクール(登録講習機関)の開設・維持管理・監査まで幅広く対応し、2023年のドローン許認可件数は10,000件以上を突破。
無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」を開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信。著書に『ドローン飛行許可の取得・維持管理の基礎がよくわかる本』(セルバ出版)がある。