ドローン飛行許可のQ&AABOUT DRONE

フォーマット以外でも国土交通省のホームページでドローンについて記載されている情報は、常に新しい内容やお知らせが来ていないか申請前にチェックする癖をつけておくことをお勧めします。
オンライン申請の場合は入力した内容が自動的に申請書に反映されるのでフォーマット更新の有無をチェックする必要はありませんが、最終的に出来上がる申請書は同じです。オンライン申請の場合は選択ミスや選択漏れなどで自分が思っていた内容と違う許可書が出てくることがあるので、出来上がった申請書の内容が間違いないか必ず申請前に確認するようにしましょう。
Q包括申請があれば全国どこでも飛ばせるんでしょ?
A 包括申請は万能ではない
「私は日本全国でいつでも飛ばせる許可を取得しているので」というお話をよく耳にします。包括申請で取得した許可が万能だと思っている方が一定数いらっしゃるのは事実です。本書をここまでお読みになっていただいた方はすぐお分かりになると思いますが、包括申請では飛ばせない飛行方法やシチュエーションは多々あります。本来飛行場所を特定して個別申請をしなければいけないのに包括申請で取得した許可だけで飛行をしてしまい、違反してしまうということもあります。
他の法令で決まっている手続きが必要なケース
また、警察などに飛行許可以外の手続きが必要なケースもあります。飛行許可さえあれば大丈夫という認識を持っていると危険ですので、気を付けましょう。
Q飛行マニュアルって何ですか?
A 飛行マニュアルの存在自体を認識していない方が一定数いらっしゃいます。飛行マニュアルは、飛行許可申請をするときに守るべき安全を確保する体制が書かれているもので、添付書類にもなっています。
なぜ飛行マニュアルの存在を知らない方がいるのかというと、申請時に「航空局標準マニュアルを使用する」という項目にチェックを入れるだけで審査を進められてしまうからです。飛行マニュアルの内容も理解してから申請しなければいけないのですが、そもそも飛行マニュアルを読んでいないという申請者が多いのは問題だと思います。審査基準の1つ、安全を確保する体制を満たしていないからです。許可書だけ取得しても意味がないので、しつこいですが必ず飛行マニュアルをよく読んで守ってドローンを飛ばしましょう。
Q今までDIDの許可だけしか取得してなかったんですが、ダメですか?
A 業務でドローンを飛ばす場合に必要な許可
業務でドローンを飛ばす場合は、確かに人口集中地区(DID)内での許可は必要です。ただ、人口集中地区内では第三者や第三者物件がある可能性も高いので、人または物件から30m以上の距離を保てない状況での飛行許可も必ず取得しましょう。また、モニターを見ながらドローンを飛ばす場合は目視外飛行も必要になりますし、夜間飛行が必要になることもあります。突然明日空撮することになったら許可が間に合わないので、必要になる可能性がある許可は全て事前に取得しておくようにしましょう。
Q地権者が飛ばしていいって言ってたから許可申請はいらないですよね?
A 飛行許可と地権者は無関係
建物の管理者や地権者からドローンを飛ばす許可をいただければ飛行許可申請が不要と思っている方もいらっしゃいます。飛行許可は法律で決まっていることなので、他人から許可をいただいたとしても必ず必要です。例えば人口集中地区(DID)内で飛ばす場合は、地権者から許可をもらっても、周囲に誰もいなくても飛行許可申請が必要です。法律で決まっている許可申請と、建物の管理者や地権者などの民間の方からの許可は全く別物と覚えておきましょう。
Q申請書と飛行マニュアルが不適切だという理由で業務を失注してしまった
A 許可書以外の内容も精査される
コンプライアンスに厳しい自治体、法人や報道機関などは業務を発注するときに許可書だけではなく、申請書と飛行マニュアルも全て隅から隅までチェックをします。そこで発注したい業務での飛行方法ができない内容の申請書や飛行マニュアルだった場合、業務を失注することがあります。
許可書だけでは詳細な飛行方法が分からないということを覚えておきましょう。例えば許可書には人口集中地区(DID)内での飛行許可と目視外飛行の許可が記載されていますが、飛行マニュアルを見ると「人口集中地区(DID)内での目視外飛行は行わない」と記載されているケースです。つまり人口集中地区(DID)内での飛行と目視外飛行はそれぞれできるのですが、これらが合わさった状況では飛ばせないということです。このように申請書内容と飛行マニュアルの方で制限がかかっている

- 佐々木慎太郎(ささき・しんたろう)
- バウンダリ行政書士法人(旧・佐々木慎太郎行政書士事務所)
官公庁・大手企業も担当するドローン法務のプロフェッショナル
上場企業から個人でドローンを運用する方まで幅広く対応している。ドローンスクール (管理団体・講習団体)の顧問や行政書士を対象とした研修会講師、前例のなかった業界初の申請事例など、実績多数。