2024.06.28
飛行ルール・法律
2022.03.29
これからドローンを購入、事業で導入しようという方から「ドローンスクール(講習団体)のカリキュラムを受講して試験に合格しないとドローンを飛ばすことはできないのですか?」というご質問をよく受けます。
結論から言うと後述する一部例外はあるものの、制度上は航空局のホームページに掲載されている講習団体のカリキュラムを受講し試験に合格しなくてもドローンを飛ばすことができます。
もちろん飛ばすために必要な知識、技術、手続きや遵守事項が沢山あるので、決してハードルが低いわけではありません。現在はドローンを飛ばすには航空法の飛行許可申請をはじめとした許認可が必要なケースが非常に多いですが、許認可取得の際も航空局のホームページに掲載されているドローンスクールを事前に受講し、実技試験に合格していることは必須要件ではありません。
当然、受講するメリットも沢山あります。航空法の飛行許可申請手続の際、航空局のホームページに掲載されているドローンスクールを受講し試験に合格したことを証明する技能認定証を提出すると、審査手続をほんの一部を簡略化することができます。
そしてスクールによって多少の良し悪しはありますが、国交省が認めたカリキュラムを受講することで、短期間で効率よくドローンパイロットに必要な知識と技術を身に付けることができます。
最近は外壁調査、マイクロドローン点検やドローンレース等、専門特化したカリキュラムも増えています。そして豊富な実務経験を持つ講師がカリキュラムの担当をしていたり、実際の業務に同行して現場を体験できるスクールもあるので、受講しなければ得られない価値もあります。
国交省は講習団体が運営するドローンスクールの受講を奨励し、パイロット全体の技能の底上げを実施しています。
最近はドローンを飛行させる際、航空法の飛行許可の他、「講習団体の技能認定証を所持していること」を条件としている民間施設、国定公園や観光スポットも増えてきました。
例えば長野県の霧ヶ峰等でドローンを飛行させる際は、航空局ホームページ掲載の講習団体が発行した技能認定証が必要になります。
4 飛行に必要なライセンス等
操縦者は、国土交通省航空局ホームページに掲載されている無人航空機の講習団体及び管理団体が掲載日
以降に発行した技能証明書等を有する者に限るものとする(調査研究を目的とした飛行の場合を除く)。
また、使用するドローンについてはGPS機能を有し、あらかじめ損害賠償保険に加入済みのものに限るものとする。
【ガイドライン全文】霧ヶ峰等におけるドローンの飛行ガイドライン
2017年に講習団体の制度が始まった際、制度開始以前(航空局ホームページ掲載以前)に取得した技能認定証について、航空法の飛行許可時に添付書類を省略できないということで話題になったことがあります。
免許制度が開始された場合も同様に、それまでに取得した技能認定証の取り扱いについて現在議論がされています。少なくとも基礎的な知識と技量は認められているので、新たに免許制度に対応したカリキュラムの受講や受験をする必要はあるかと思いますが、何らかの形で優遇される方向で調整が進んでいるようです。
ご紹介したとおり、最近はドローンスクールのカリキュラム内容も差別化を図るため、より専門的ななもの、実務的なものになってきました。競合も年々増えてきており、それに伴い弊社にも運営や集客についてのご相談も増加しています。
沢山ある中、どのドローンスクールを受講しようか迷っている方は、業種・求めている内容に応じて間違いのない管理団体・講習団体のご紹介をすることもできますので、良ければご相談ください。
参考:国土交通省認定管理団体 楽天ドローン株式会社がリリースした、操縦スキルをソフトウェアで可視化するドローン操縦士技能検定(略称DPT)
※承諾を得て掲載させていただいております。
2020年6月17日、ドローン所有者の登録を義務付ける航空法改正案が参院本会議で可決、成立しました。この登録制度に加え、2022年度中に飛行の危険度に応じて、「操縦ライセンス制度(免許制)」「機体認証制度」も設ける方針です。登録制度と機体認証制度も重要なのですが、ここでは免許制度について触れていきます。
これまで以上に厳格に安全を担保するため、現在、飛行の危険度に応じて操縦ライセンス(免許)を必須とする制度設計を構築しているところです。
【飛行の危険度の例】
1.と2.の飛行をする際、今後操縦ライセンス(免許)の取得を必須とする方針になっています。免許を取得した場合は、従来の航空法の飛行許可申請が不要になるケースもあります。
ただし、最もリスクが高いレベル4のような飛行については免許も航空法の飛行許可申請も両方必要になります。この免許制度の詳細は確定ではないので、誤解の無いようにしてください。
この「操縦ライセンス制度(免許制)」については、全国のドローンパイロットに対し適切に試験や操縦ライセンスの発行等の業務を行う体制が必要であり、その体制を構築するにあたり、講習団体の活用が検討されています。機体認証制度についても民間能力の活用が検討されています。
例えば、国が指定・監督している登録講習機関のカリキュラムを受講した場合は国の操縦ライセンス(免許)取得のための試験の一部または全てを免除するなど。
先に挙げた通り、まだ上記の内容は確定していないので、どのように国が民間の講習団体を活用(指定)するのかはまだ決まっていません。航空局ホームページに掲載されている講習団体であることが国から指定される要件の1つとされ、掲載されていない団体は土俵にすら上がれないかもしれませんし、全く別の方法で国から指定されるかもしれません。
いずれにしても、最低限、現時点で国交省航空局ホームページに掲載されている講習団体以上の教育能力が求められることは間違いないでしょう。これは講習団体運営者の多くが感じていることだと思います。
管理団体は講習団体を管理しなければならないので、より厳格な管理方法、体制が求められます。詳細は割愛しますが、「講習団体よりしっかりしなければいけないんだ」程度のイメージで大丈夫です。
講習団体と同様に、最低限このような内容を含めたマニュアルを作成し、申請時に提出しなければいけません。
この管理マニュアルの他に、要件を満たしていることを証明する書類を一式添付する必要があります。
管理団体を申請する際の要件は以上です。
管理団体として掲載された後も講習団体と同様に、維持管理のために必要な手続きがあります。
講習団体が管理する各種記録とは、例えばこのような書類になります。
書類の管理方法については、電子データ・紙媒体で保管する場合で異なりますが、情報漏洩がしないようしっかりと管理をする必要があります。
最低限このような内容を含めたマニュアルを作成し、申請時に提出しなければいけません。今までの記事で説明した内容です。この講習マニュアルの他に、それを証明する書類を一式添付する必要があります。
講習団体を申請する際の要件は以上です。
無事講習団体として掲載された後も維持管理に必要な手続き等があります。
その他、技能認定証発行後のアフターサポートとして航空法の飛行許可承認申請のサポート(やり方によっては法律に抵触する可能性があるため、行政書士の先生が行っているスクールも多いです)、各種セミナー、専門性が高いカリキュラム、転職先やドローンを活用した業務のご紹介等様々あります。
バウンダリ行政書士法人
代表行政書士 佐々木 慎太郎
(Shintaro Sasaki)
行政書士として建設業などの根幹産業と関わり、ドローンに特化したバウンダリ行政書士法人を創設。ドローン運航に必要な包括申請から高難度な飛行許可申請、国家資格スクール(登録講習機関)の開設・維持管理・監査まで幅広く対応し、2023年のドローン許認可件数は10,000件以上を突破。
無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」を開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信。著書に『ドローン飛行許可の取得・維持管理の基礎がよくわかる本』(セルバ出版)がある。