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【チェックリスト】登録講習機関の「監査」とは?専門家が徹底解説【国家資格】

2023.06.16

【チェックリスト】登録講習機関の「監査」とは?専門家が徹底解説【国家資格】

登録講習機関は毎年「監査」を受けなければならない

【チェックリスト】登録講習機関の「監査」とは?専門家が徹底解説【国家資格】

ドローンの国家ライセンスである「無人航空機操縦者技能証明制度」の運用が2022年12月より運用され、登録講習機関では国家ライセンス取得に向けた講習が実施されています。

しかし、登録講習機関は国家資格に関する講習を運用し続けるために「監査を受けることが義務化されている」ことはご存知でしょうか。

監査の義務化に関しての記載は「無人航空機の登録講習機関及び登録更新講習機関に関する省令」にありますが、具体的には把握出来ていない方も多いと思います。

今回は、登録講習機関の監査について詳しく解説します。

登録講習機関の監査の目的とは?

監査の定義として「登録講習機関等監査実施要領」に以下のような記載があります。

“登録講習機関等の監査

省令第6条第7号に基づき、毎事業年度、外部の者により、当該登録講習機関等における無人航空機講習が適切に行われていることを確認し、不適切事項等があった場合には、必要に応じて是正を指示する等の業務をいう。”

出典:登録講習機関等監査実施要領(国土交通省)

つまり、監査の目的は「登録講習機関として国家資格に関する講習、試験が適切に行われているかチェックするため」「不十分な点があれば、登録講習機関の運用を改善するように指示するため」であるといえます。

登録講習機関の監査内容とは?

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「無人航空機の登録講習機関及び登録更新講習機関に関する省令」では、登録講習機関に発生する義務について以下のように明記しています。

登録講習機関は「計画的監査」を受けなければならず、また、必要に応じて「随時監査」を受けなければならず、それぞれの監査結果を国交省へ一か月以内に提出が必要と明記されています。

「計画的監査」は毎年実施されますが、「随時監査」は計画的監査の結果で不適切事項がある場合や事故若しくは重大インシデントが発生した場合などに実施されるのが違いです。

たとえば、計画的監査で「現状適切な運用である」と判定され、有効期間中に問題なく無人航空機講習を運用している登録講習機関は、計画的監査だけで済みます。

監査の大まかな流れは以下の通りです。

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計画的監査と随時監査それぞれの違いを項目ごとにまとめると、以下のようになります。

【計画的監査】

【随時監査】

各項目ごとに詳しく解説していきます。

監査の頻度

計画監査は必ず年に1回で全ての登録講習機関へ必実施されますが、随時監査は必要に応じて実施されます。

随時監査が行われるケースとしては、以下のような場合です。

  • 監査結果によって講習事務の状況が不適切と判断された場合
  • 事故若しくは重大インシデントが発生した場合
  • 品質管理上の不具合事象等が発生した場合

監査の対象者

【チェックリスト】登録講習機関の「監査」とは?専門家が徹底解説【国家資格】

計画的監査対象となるのは、登録講習機関として登録されている本社と全ての事務所です。

本社は「登録講習機関等の講習事務等の方針について、最終責任及び決定権を持つ組織」のことを言い、事務所は「講習事務を行う事務所(ドローンスクール)」のことを示しています。

監査の実施方法は?

1・2年目の計画的監査は実地監査又はオンライン監査で実施されます。

そして、登録講習機関の有効登録期間の最終年度に当たる3年目は必ず実地監査を受けなければいけません。

なお、ISO9001を取得・維持している場合には、認証書等の必要書類を国に提出する事で書類監査のみに省略可能です。

ただし、認証書等を保有していたとしても、3年目には必ず実地監査を受ける必要があります。

監査の項目

計画的監査の監査項目はチェックリストを元に監査が行われますが、本社と事務所でチェックリストの項目が異なる事は抑えておきましょう。

随時監査の監査項目は、計画的監査の監査項目に沿って実施されますが、必要に応じて更に重点的に詳細な監査が実施される場合も考えられます。

例えば、重大インシデントが発生した場合より詳細な監査が行われる可能性はゼロではありません。

本社の監査項目

本社の監査項目は以下の監査チェックリストに沿って実施されます。

【監査チェックリスト 本社用】

 

事務所の監査項目

事務所の監査項目は以下の監査チェックリストに沿って実施されます。

【監査チェックリスト 事務所用】

【画像出典】登録講習機関等監査実施細則(国土交通省)

事務所監査の特徴は、登録講習機関が実施する学科講習、実地講習、実地試験(修了審査)の監査が行われる点です。

なお、事務所監査においては、実地監査かオンライン監査かによって監査方法が異なります。

実地監査の場合は、以下のようなサンプリング監査が行われることになっています。

【実地監査におけるサンプリング監査】

  • 学科講習は、無人航空機の種類及び技能証明の資格の区分ごとに監査実施団体が指定する1科目以上の履修科目について、それぞれ必ず1回は監査を実施する。
  • 実地講習は、無人航空機の種類及び技能証明の資格の区分ごとに監査実施団体が指定する1科目以上の履修科目について、それぞれ必ず1回は監査を実施する。
  • 修了審査は、無人航空機の種類及び技能証明の資格の区分ごとにそれぞれ必ず1回は監査を実施する。
  • 学科講習、実地講習、修了審査すべてが同日での監査が難しい場合は、複数日程を組んだ上で監査を実施する。

なお、オンライン監査の場合はサンプリング監査対象となる内容が別の方法で監査が行われます。

オンライン監査の際は、学科講習や実地講習、修了審査は実施した様子を撮影した動画等を監査実施団体に提出しなければなりません。

提出する動画内容の注意点は以下のとおりです。

【オンライン監査における動画内容の注意点】

  • 修了審査は開始から終了までを撮影対象とし、コースのレイアウトが把握でき、無人航空機全体が終始映るように撮影すること。
  • 学科講習、実地講習は、監査対象となる講習が最低1時間以上の撮影を行うこと。
  • 学科講習、実地講習の内、監査実施団体から指定された履修科目は開始から終了までを撮影対象とする。
  • 学科講習がオンライン講習で実施され、動画撮影が困難であると航空局が認めた場合、または航空局が不要と認めた場合はこの限りではない。
  • ※認められない場合は、オンライン講習も動画等の提出が必要

登録講習機関の監査は誰が実施するのか

【チェックリスト】登録講習機関の「監査」とは?専門家が徹底解説【国家資格】

登録講習機関の監査は、国土交通省は登録講習機関等監査実施団体として認定した団体(監査実施団体)に所属する監査員が担当します。

監査員は「一定の資格を有する者、もしくは資格を有してなくても養成訓練を受けた者」を満たした者のみが担当可能です。

【監査員になる条件】

【画像出典】登録講習機関等監査実施要領(国土交通省)

一等無人航空機操縦士または二等無人航空機操縦士を持たない者でも「ロ.前号と同等以上の能力を有する。」場合は各講習の監査員として監査を担当できます。

「ロ.前号と同等以上の能力を有する。」については、一等・二等それぞれで以下のような要件を満たさなければ監査を担当できません。

【一等無人航空機操縦士講習の監査を行う場合】

  • 国土交通省航空局ホームページに掲載されているドローンスクール等で1年以上の講師の経験があること
  • 直近2年間で1年以上の飛行経験かつ100時間以上の飛行実績を有していること

【二等無人航空機操縦士の講習の監査を行う場合】

  • 国土交通省航空局ホームページに掲載されているドローンスクール等で6月以上の講師の経験があること
  • 直近2年間で6月以上の飛行経験かつ50時間以上の飛行実績を有すること

登録講習機関の監査内容を把握し早めに準備するのがポイント

国家資格制度の普及はドローン業界の発展に繋がる大きな切っ掛けになり得ます。

そのため、登録講習機関は講習を行うだけではなく課された義務を守り、多くの国家資格取得者を送り出せる体制を整える事が重要です。

登録講習機関の監査は義務化されており必ず毎年監査を受けなければいけないため、監査に向けてしっかり準備しておきましょう。

今回抑えておきたいポイントは、以下の通りです。

  • 登録講習機関が監査を受けることは義務化されている。
  • 監査の目的は「登録講習機関として適切な運用であるかチェックするため」、「不十分な点があれば、運用を改善するように指示するため」。
  • 監査は「計画的監査」と「随時監査」の2種類がある。
  • 計画的監査は毎年必ず実施され、随時監査は必要により随時実施される。
  • 監査対象は登録講習機関の本社と事務所の両方。
  • 監査内容は監査チェックリストに沿って実施。
  • 監査実施後は監査実施団体から報告書が通知される。
  • 登録講習機関は国交省へ報告書を監査終了後1ヶ月以内に提出しなければならない。

登録講習機関の監査に向けた準備サポートでお困りの際は、バウンダリ行政書士法人までご相談ください。

SUPERVISOR

監修者

代表行政書士 佐々木 慎太郎

バウンダリ行政書士法人

代表行政書士 佐々木 慎太郎

(Shintaro Sasaki)

日本屈指のサポート実績を誇る、ドローン法務のプロフェッショナル

行政書士として建設業などの根幹産業と関わり、ドローンに特化したバウンダリ行政書士法人を創設。ドローン運航に必要な包括申請から高難度な飛行許可申請、国家資格スクール(登録講習機関)の開設・維持管理・監査まで幅広く対応し、2023年のドローン許認可件数は10,000件以上を突破。
無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」を開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信。著書に『ドローン飛行許可の取得・維持管理の基礎がよくわかる本』(セルバ出版)がある。