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ドローン一等資格の難易度と必要性は?二等との違いも解説

2026.03.13

ドローン一等資格の難易度と必要性は?二等との違いも解説

ドローンの国家資格である一等無人航空機操縦士は、有人地帯での目視外飛行(レベル4)を可能にする最高峰の資格です。2022年12月に制度が開始され、物流や災害対応など幅広い活用が期待される一方で、取得には高度な技術と多額の費用が必要となります。

本記事では、一等資格と二等資格の違い、合格率や学習時間といった難易度、取得のメリット・デメリット、費用相場まで網羅的に解説します。自身にとって一等資格が本当に必要かを判断するための材料としてお役立てください。

ドローン一等資格の概要と二等資格との決定的な違い

ドローン一等資格の難易度と必要性は?二等との違いも解説

ドローンの国家資格には一等資格と二等資格の2種類があり、飛行可能な場所や申請手続きに大きな違いがあります。

一等資格は有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行が可能になるレベル4に対応し、二等資格はその他の特定飛行(レベル3.5)までの対応です。

両資格の違いを理解することで、自分に必要な資格を見極められるでしょう。

比較項目

一等資格(一等無人航空機操

縦士)

二等資格(二等無人航空機操

縦士)

対応飛行レベル

レベル4まで対応

レベル3.5まで対応

飛行可能な場所

有人地帯(第三者上空)での補

助者なし目視外飛行が可能

無人地帯(第三者上空は不可)での補助者なし目視外飛行が可能

立入管理措置

不要(立入管理措置を行わずに

特定飛行が可能)

必要(立入管理措置を行ったうえで特定飛行が可能)

主な用途

都市部での物流、災害対応など

インフラ点検、警備、山間部での物流など

難易度

高い

一等より低い(初めて国家試験を取得される方はこちらからが一般的)

一等資格が許可する「飛行レベル4」の定義

一等資格が許可する飛行レベル4とは、第三者上空に該当する有人地帯において補助者なし目視外でドローンを操作できる飛行形態を指します。

従来は安全上の理由から人がいる場所でのドローン飛行は原則禁止されていましたが、一等資格の取得によって有人地帯での飛行が認められるようになりました。

この制度が設けられた背景には、少子高齢化による人材不足が深刻化する中で、荷物の運送や災害時の救援物資の運搬といった用途でドローンを活用する必要性が高まったことがあります。

ただし、飛行レベル4での飛行を実現するには一等資格の取得だけでは不十分であり、国土交通省から第一種機体認証を受けた機体を使用し、特別な飛行許可申請をすることが必須条件となっています。

二等資格が対応する「飛行レベル3」との差異

二等資格が対応する飛行レベル3/3.5は、無人地帯における補助者なし目視外飛行を意味しており、人がいない場所に限定される点が特徴です。

一等資格のレベル4が有人地帯での飛行を可能にするのに対し、二等資格のレベル3は無人地帯に限定されるという点が決定的な違いとなります。

実務においては、レベル3.5以下の飛行はインフラの点検作業や農薬散布、測量、イベント撮影といった多くのドローン業務が二等資格で対応可能です。

そのため、都市部での物流や災害対応など有人地帯(第三者上空)での飛行が必要な業務を行う予定がない場合は、二等資格の取得で十分に業務をこなせるでしょう。

飛行申請における優遇措置の差異

国家資格を取得すると、従来は飛行許可・承認が必要だった特定の飛行について申請手続きが不要になるか、簡略化されます。

具体的には、人口集中地区(DID)上空での飛行、夜間飛行、目視外飛行、人や物との距離が30m未満での飛行などが該当し、これらの飛行を頻繁に行う場合は国家資格の取得によって手間を大幅に削減できるでしょう。

ただし、申請手続きが不要となるためには、国土交通省から第二種以上の機体認証を受けた機体を使用しなければいけません。

また、飛行マニュアルをご自身で作成をし、その他のルールは守る必要があります。

特に一等資格は、有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行というレベル4飛行が可能になる点で、二等資格とは根本的に異なる優位性を持っています。

一方、民間資格保持者や無資格者は従来通り、人口集中地区(DID)や夜間飛行などの都度、許可・承認申請が必要となるため、業務効率の面で国家資格に劣る形です。

ドローン一等資格の難易度と合格への壁

ドローン一等資格の難易度と必要性は?二等との違いも解説

一等資格の取得は、プロのドローン操縦者でさえ苦戦するほどの高い難易度を持っています。

合格率は一般受験(一発試験)で30〜40%程度とされ、ドローンスクール(登録講習機関)経由で受検した方が合格率は高いです。

スクールでの学習時間は初学者で68時間(学科18時間以上、実技50時間以上)以上が必要であり、Aモード飛行(位置安定機能をoffにした飛行)など高度な操縦技術が求められる実地試験が最大の壁となるでしょう。

合格率の目安

国土交通省から公式の合格率は公表されていないものの、業界の実務情報やスクール提供データから合格率の目安が明らかになっています。

一等資格をスクール経由で取得する場合の合格率は70%前後であり、一般受験では30〜40%程度とかなりの難関です。

また、バウンダリ行政書士法人では250校以上の登録講習機関の監査も行っており、1万人以上の受講生を確認してきました。
その統計でも合格する確率は概ね同じです。

ただし、この数字には経験者やドローンスクールを受講しない一発試験も含まれるため、初学者にとってはやや難易度が高くなると考えられます。

資格取得を目指す場合は、スクールでの計画的な学習や実技練習が合格のカギとなるでしょう。

一方、二等資格はスクール経由で90〜95%と高い合格率(再受験含む)を誇り、一般受験でも60〜70%前後となっています。

ただし、二等資格でも実地試験(修了審査)が難関であるとされており、特に一般受験者は十分な準備が求められるでしょう。

一等資格の合格率の低さは、高度な技術要件と厳格な試験基準によるものといえます。

必要な学習時間

一等資格の取得に必要な学習時間は、受講者の経験レベルによって大きく異なります。

スクール(登録講習機関)の基準では、初学者は実技講習が最低50時間、学科講習が最低18時間必要とされ、合計68時間以上の学習が求められます。

一方、経験者は実技講習が最低10時間、学科講習が最低9時間以上必要とされ合計19時間以上の学習が求められ、初学者より大幅に短縮されています。

これに対し、二等資格は初学者で最低20時間、経験者は最低6時間と比較的短時間で取得可能です。
一等資格の学習負荷がいかに高いかが、この時間差から明確に理解できます。

学科試験の出題範囲と対策

学科試験の出題範囲は、航空法と関連法令(電波法など)、ドローンの構造・機能、運航に関する知識、気象・航空気象、安全対策と危機管理など多岐にわたります。

試験形式はCBT方式で実施され、一等は70問/75分、二等は50問/30分という構成です。

一等は正答率90%程度、二等は80%程度で合格となるため、幅広い知識の習得が求められるでしょう。

対策としては、出題傾向がほぼ固定されているため、対策テキストや過去問題集を繰り返し学習することで十分に対応可能です。

実地試験の難関ポイント(Aモード飛行・緊急対応)

一等資格の実地試験が特に難しい理由として、GPSやセンサー類が無効化された「Aモード飛行」が課されることが挙げられます。

このモードでは完全に手動操作となり、風の影響を受けやすい屋外において精密なマニュアル操縦技術が要求されるのです。

高度変化を伴うスクエア飛行やピルエットホバリング、8の字飛行など細かなコントロールが求められ、経験者でも練習なしでは合格は困難でしょう。

さらに、飛行経路のズレや操作ミス、風に流された際のリカバリー判断、飛行前チェックの徹底など、技術だけでなく総合的な運航管理能力や安全意識が試されます。

一等資格の必要性:メリットと現実的なデメリット

ドローン一等資格の難易度と必要性は?二等との違いも解説

一等資格の取得には業務の受注や契約で必須となることや、信頼性だけでなく飛行許可申請時の操縦者具備資料を省略できるなど多くのメリットがある一方で、高額な費用負担や飛行許可申請不要になるためには機体認証の必要性といった現実的なデメリットも存在します。

レベル4飛行による活用範囲の拡大や社会的信用の獲得は大きな魅力ですが、資格取得後も更新講習や追加条件が求められる点を理解しておく必要があるでしょう。

メリット①:レベル4飛行(第三者上空)の実現

一等資格の最大のメリットは、飛行レベル4、すなわち第三者上空(人の上)での補助者なし目視外飛行が可能になることです。

従来は第三者上空でのドローン飛行は原則禁止されていましたが、一等資格を取得すれば有人地帯での運用が認められます。

これにより、都市部での物資配送や救援物資の輸送、災害時の救助活動など、ドローンの活用範囲が飛躍的に広がるでしょう。

ドローン宅配などのビジネス分野での需要も高まっており、将来性の高い資格として注目されています。

メリット②:飛行申請手続きの簡略化

国家資格を取得することで、従来は飛行許可が必要だった特定の飛行について申請手続きが不要または簡略になります。

具体的には、人口集中地区(DID)上空での飛行、夜間飛行、目視外飛行、人や物との距離が30m未満での飛行などが該当し、申請のための書類作成にかかる時間や手間を大幅に削減できるでしょう。

民間資格や無資格者ではレベル1〜3.5のすべての飛行で申請や許可が必要となり労力がかかりますが、国家資格があればこの負担を軽減できます。

なお、一等資格も二等資格も、レベル3.5以下の飛行(カテゴリーⅡ)においては申請簡略化のメリットは共通です。

ただし、レベル3.5飛行を行うには操縦者が二等資格以上を取得していないとそもそもできない点には注意が必要です。

メリット③:社会的信用の獲得とビジネスチャンスの拡大

一等資格を保有していることは、ドローンの高度な技術と知識を国が証明したことを意味し、パイロットとしての社会的信用度が高まります。

同じ技術を持つ複数の事業者を比較する際、国家資格保有者の方がスキルを証明しやすく、仕事の依頼が増加する可能性があるでしょう。

ドローン関連職種への就職や転職においても有利になり、特に公共事業や大手企業からの案件では国家資格が事実上の参加条件となるケースが増えています。

フリーランスや副業としても、資格保有者限定案件で日給3万〜5万円、年収600万円〜800万円規模の求人も出現しており、キャリアアップが期待できます。

デメリット①:高額な取得費用(講習・試験料)

一等資格のデメリットとして、取得までに多くの費用がかかる点が挙げられます。

スクール(登録講習機関)を利用する場合、初学者は70〜110万円、経験者でも40〜70万円という高額な受講費用が目安です。

逆に安すぎる受講費用を提示している場合も、補講で追加料金を請求されることや、講習を省略し国が定めている基準で運営していないこともあるため、注意が必要です。

後日スクールが監査を受けて、重大な不適切事項として発覚すれば、再受講・修了審査の受検や、最悪国家資格を取り消される可能性もあります。

スクールによって金額に幅があり、限定変更(昼間、目視内、25kg未満)のコースを追加すればさらに費用は増加するでしょう。

これに加えて、学科試験料、実地試験料(一発試験の場合)、身体検査料、技能証明交付手数料といった別途の費用も必要となります。
合格できる保証もないため、費用負担のリスクも考慮しなければなりません。

デメリット②:資格取得だけでは飛行できない(機体認証の壁)

一等資格を取得しただけではレベル4飛行(第三者上空飛行)を実施できないという重要な注意点があります。

レベル4飛行を行うには、一等資格の他に「国土交通省が認証した第一種機体認証」を使用することが必須条件となっており、この認証機体はレンタルしても高額です。

さらに、綿密な飛行計画の提出と飛行許可も別途必要になるため、資格を取っただけでは第三者上空を飛ばすことはできません。

資格取得後も、実際の運用には高額な機材購入や複雑な申請手続きのハードルが残っていることを理解しておく必要があるでしょう。

デメリット③:資格の維持コスト(更新講習)

ドローン国家資格は、有効期間が定められており更新が必要です。
技能証明書の有効期限は3年であり、期限内に再び講習を修了するなど基準を満たしたうえで更新手続きを行わなければなりません。

更新のたびに講習費用と時間がかかるため、継続的な管理コストが発生します。

資格を維持するには、定期的な知識・技能の更新が求められ、これが操縦者の質を保つ仕組みとなっている一方で、取得後も負担が続く点はデメリットといえるでしょう。

一等資格の取得プロセスと費用相場

ドローン一等資格の難易度と必要性は?二等との違いも解説

一等資格の取得には、学科試験・実地試験(修了審査)・身体検査の3つすべてに合格する必要があり、スクール経由と一発試験の2つのルートがあります。

スクールを利用して修了審査に合格すれば実地試験が免除され合格率も高まりますが、初学者で70万〜110万円程度の費用がかかるでしょう。

取得に必要な3つの試験(学科・実地・身体)

資格取得には「学科試験」「実地試験」「身体検査」の3つすべてに合格する必要があります。

学科試験はCBT方式でドローンに関する知識を問うもので、一等は70問/75分の構成です。

身体検査は視力(矯正後に両眼で0.7以上、かつ片眼で0.3以上)や色覚(赤・緑・黄色の識別)などの適性を確認します。

身体検査は一等の25kg未満限定変更「以外」は、自動車の運転免許証が身体検査の替わりになります。

実地試験は、スクール経由の場合はスクール内の修了審査で免除されますが、指定試験機関(一般財団法人日本海事協会)で直接受験する場合は「机上試験」「口述試験」「実技試験」の3種類で高度な操縦技術と運航管理能力が問われるでしょう。

ルート①:登録講習機関(スクール)経由(実地試験免除)

国に登録した「登録講習機関(ドローンスクール)」で講習を受ける方法が一般的です。
スクールでは学科と実地の講習を受けられ、合格するために必要な知識や技術を体系的に学べます。

修了審査に合格すると、国家試験のうち最も難易度が高い「実地試験」が免除される点が最大のメリットといえるでしょう。

この免除により合格率が大幅に向上し、着実に資格取得を目指せます。

ただし、スクール利用後も指定試験機関での「学科試験」と「身体検査」は別途受験し合格する必要があるため、スクール修了後の学科試験対策も怠らないことが重要です。

ルート②:指定試験機関(一発試験)

スクールに通わず、指定試験機関で「学科試験」「実地試験」「身体検査」のすべてを受験する「一発試験」のルートも存在します。

この方法は、独学で高度な知識と技術(特にAモード飛行などの高難度操作)を習得する必要があり、合格率も30〜40%程度と非常に低く難易度が高いです。

実地試験では修了審査と同様に、机上試験、口述試験、実技試験の3種類すべてをクリアしなければならず、試験料も高額となります。

実地試験は毎日行われているわけではなく、試験料は不合格になっても返金されないため、繰り返すと結果的にスクールより費用がかかるリスクがあるため、着実な合格を目指すならスクール経由が現実的な選択といえるでしょう。

取得にかかる総費用の内訳(講習費・試験料・交付料)

一等資格取得にかかる費用は複数の要素で構成されています。

講習費用(スクール利用の場合)は、経験者で40万〜70万円、初学者で70万〜110万円程度が相場であり、スクールや限定変更の有無によって幅があります。

試験・検査費用としては、学科試験が約9,900円、身体検査が書類(自動車運転免許証等)提出で約5,200円または会場受験で約19,900円、一発試験の場合は実地試験で約22,200円が必要です。

交付費用は新規申請手数料が3,000円で、一等資格は登録免許税3,000円が別途かかるため、合計6,000円となります。

スクール経由の初学者の場合、総額で80万〜120万円程度を見込んでおくべきでしょう。

ドローン一等資格の取得・運用は専門家に相談を

一等資格はドローンの可能性を広げる最高峰の資格である一方、その難易度、費用、そして「本当に必要か」という点で慎重な判断が求められます。

多くの業務は二等資格で対応可能であり、「とりあえず一等を取っておこう」という安易な考えは避け、自分のビジネスモデルと照らし合わせることが重要です。

バウンダリ行政書士法人では、総案件数35,000件の実績を持ち、一等資格の必要性の判断や取得後のレベル4飛行申請など、ドローン法務に関する専門的な相談を受け付けています。

資格取得や運用でお悩みの際は、ぜひ専門家にご相談ください。

また、ドローン飛行には国土交通省への飛行許可申請や関係機関との調整など、専門的な手続きが必要です。

バウンダリ行政書士法人では、ドローン空撮に関する手続きの代行や、安全な事業運用を支援するドローンコンサルティングを提供しています。

登録講習機関(国家資格対応のドローンスクール)などのドローン事業を始めたい方や運用に不安がある方は、ぜひバウンダリ行政書士法人へお気軽にお問い合わせください。

AUTHOR

執筆者

代表行政書士 佐々木 慎太郎

バウンダリ行政書士法人

代表行政書士 佐々木 慎太郎

(Shintaro Sasaki)

日本屈指のサポート実績を誇る、ドローン法務のプロフェッショナル

ドローンに関する許認可申請、許認可管理、法務顧問を専門とするバウンダリ行政書士法人の代表。飛行許可申請をはじめメーカー支援、登録講習機関の開設やスクール運営、事業コンサルティング、空飛ぶクルマなど支援の幅を広げ日本屈指のサポート実績を誇る。2025年のドローン許認可対応案件は10,000件以上、登録講習機関のサポート数は200社を突破。

無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」や公式LINEを開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信している。