2026.03.13
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2026.03.13
「業務でドローンを運用したいが、航空法上の手続きや制限が分からない」という悩みを抱えている方もいるでしょう。
ドローン運用には航空法の理解が不可欠であり、誤った認識のまま飛行させた場合、行政処分や罰則の対象となるおそれがあります。
許可が必要な飛行禁止空域や承認が必要な飛行方法、航空法が適用されないケース、違反時の罰則まで把握しておくことが重要です。
そこで本記事では、安心・安全にドローンを運用するために知っておくべき、航空法の要点と関連制度を分かりやすく解説します。
ドローンの運用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
航空法とは、航空機や無人航空機の安全な航行を確保するためのルールを定めた法律です。
本章では、ドローンに関わる航空法の基本的な考え方や、飛行時に守るべきポイントについて解説します。
航空法では、ドローンの安全な運用を確保するため、原則として無許可では飛行できない空域が定められています。
具体的には、空港等周辺、災害対応などで使用される緊急用務空域、地表または水面から150m以上の上空、人口集中地区(DID)です。
これらの空域は、有人航空機との接触リスクが高いほか、万が一機体が落下した場合に人的被害を発生させるおそれがあるためです。
該当空域でドローンを飛行させる場合は、事前に国土交通省の許可を取得する必要があります。
航空法では、飛行する空域だけでなく、ドローンの飛行方法についても一定の規制が設けられています。
具体的には、夜間飛行や目視外飛行、人や建物との距離を30m確保できない飛行、イベントなどの催し物上空での飛行、危険物の輸送、物件の投下です。
これらの飛行方法は、事故が発生した場合の影響が大きいため、原則として事前に国土交通省の承認が必要です。
ただし、人口集中地区(DID)、夜間飛行、目視外飛行、30m確保できない飛行など、一部の方法については、機体認証、立入管理措置の実施や操縦者の技能証明、飛行マニュアルの整備など、所定の安全対策を講じることで承認が不要となる場合もあります。
航空法では、ドローンを安全に飛行させるための基本ルールが定められています。
飛行前には機体の状態や周囲の環境を確認し、航空機やほかの無人航空機と衝突しないよう十分に配慮して飛行させなければなりません。
また、アルコールや薬物の影響下での操縦、他人に迷惑や危険を及ぼすおそれのある方法での飛行は禁止されています。
一部のドローン飛行では、例外的に航空法が適用されないケースがあります。
本章では、航空法の対象外となる代表的なケースについて解説します。
航空法では、機体本体とバッテリーを含めた重量が100g未満のドローンは、「無人航空機」ではなく「模型航空機」として扱われます。
そのため、原則として航空法に基づく飛行許可や承認の対象外となります。
もちろん航空法が適用される例外もあります。
ただし、重量が100g未満であっても、緊急用務空域、一部の空港や高さ、重要施設周辺などでは航空法や小型無人機等飛行禁止法が適用される場合があり、飛行場所によっては制限を受ける点に注意が必要です。
ドローンを屋内で飛行させる場合は、第三者に危害を及ぼすおそれが比較的低いことから、完全に航空法の適用対象外とされています。
屋内飛行と判断されるのは、建物の内部に限らず、ドローンが外部へ飛び出さない構造になっている環境です。
たとえば、ネットなどで周囲を完全に囲った屋外施設やトンネル内部での飛行も、航空法の規制を受けないケースに該当します。
事故や災害が発生した際、国や地方公共団体、またはそれらの依頼を受けた者が、捜索や救助などの公的目的でドローンを飛行させる場合には、航空法が一部適用されないという例外があります。
これは、人命救助や被害状況の把握を迅速に行う必要があるためです。
ただし、航空法の適用外であっても、状況に応じた安全対策を自主的に講じることが求められます。
次に、航空法以外で適用される可能性があるドローンの法規制について解説します。
前述でご紹介した航空法が適用されないケースであっても、別の法規制の影響を受ける可能性があるため、注意が必要です。
小型無人機等飛行禁止法とは、国の重要施設やその周辺地域の上空におけるドローンなどの飛行を禁止する法律です。
国会議事堂や内閣総理大臣官邸、外国公館、原子力事業所、空港などの重要施設に加え、その周囲約300mの範囲が対象とされています。
この法律は航空法とは異なり、機体の重量による区別がない点が特徴です。
そのため、100g未満のドローンであっても、該当区域では原則として飛行できません。
今後、飛行禁止されている重要施設周囲の範囲が300mから1000mに拡大する見込みです。
道路交通法は、道路における安全で円滑な交通を確保するための法律です。
ドローン飛行であっても、交通の妨げになるおそれがある行為は規制の対象となります。
たとえば、道路からドローンを離着陸させたり、走行中の車がいるのに道路上空を低空で飛行したりする行為は、車両や歩行者の通行に影響を与えるおそれがあります。
道路交通法に抵触する可能性がある場合は、事前に管轄の警察署へ相談し、道路使用許可を取得しなければなりません。
許可を得ずに飛行すると、道路交通法違反となるおそれがあるため注意が必要です。
民法では、土地の所有権は、その土地の上空や地下にも及ぶとされています。
そのため、ドローンを飛行させる際は、他人が所有する土地の上空を無断で通過しないよう注意が必要です。
私有地には住宅だけでなく、民有林、駅や線路、神社仏閣、観光地なども含まれます。
上空における所有権の範囲は一律に定められておらず、飛行高度や状況などを踏まえて個別に判断されますが、無許可で飛行させ、損害が発生した場合は土地所有者から損害賠償を請求される可能性があります。
私有地上空での飛行を予定している場合は、トラブルを避けるためにも、事前に土地所有者の許可を得ておくことが重要です。
電波法は、無線機器などから発せられる電波の周波数を整理し、混信や電波障害を防ぎながら効率的に利用するための法律です。
ドローンも無線通信を用いる機器であるため、電波法の規制を受けます。
ドローン本体や送信機が使用する周波数帯は総務省によって定められており、割り当てられていない周波数で使用した場合は、電波法違反となります。
実際に飛行させていなくても、電源を入れて電波を発するだけで違法となる場合がある点に注意が必要です。
海外では日本と周波数の割り当てが異なることも多く、海外製のドローンをそのまま使用すると、電波法に違反するおそれがあります。
購入時や使用前には、日本の電波法に適合しているかを確認することが重要です。
都道府県や市町村では、国が定める航空法などとは別に、ドローンの使用に関する独自の条例が定められている場合があります。
条例は、地域の安全確保や住民生活への影響を考慮して設けられており、内容は自治体ごとに異なります。
たとえば、公園や観光地、公共施設の周辺などでドローンの飛行を制限したり、事前の届出や許可を求めたりするケースがあるようです。
国の法律を守っていても、条例に違反すれば罰則の対象となる可能性があるため注意が必要です。
ドローンを飛行させる際は、使用予定地が属する都道府県や市町村の条例を事前に確認し、地域ごとのルールに沿った運用を心がけることが重要になります。
続いては、航空法に関連する制度や義務について解説します。
ドローンの運用にあたっては、操縦者の国家資格制度や機体の登録義務、リモートIDの搭載など、守るべきルールを正しく理解しておくことが重要です。
ドローンの国家資格には、一等・二等の無人航空機操縦士の資格があり、それぞれ飛行できる条件や範囲が異なります。
国家資格を取得することで、特定の飛行において許可・承認手続きが簡略化され、より柔軟な運用が可能となるでしょう。
ドローンには民間資格も存在しますが、2025年12月より、民間資格を根拠とした飛行許可申請の簡略化が廃止され、国家資格保有者(一等・二等無人航空機操縦士)のみが優遇される制度になります。
そのため、操縦者の知識や技能を公的に証明できる国家資格の重要性は、今後さらに高まると考えられます。
具体的に簡略化されるのは、申請時に操縦者1人1人の要件を確認するための具備資料の作成です。
この具備資料は飛行許可申請時に添付しませんが、申請者が要件を確認し、航空局や警察から求められた資料の作成を行いいつでも出せるようにしておかなければいけません。
事業でドローンを活用したい場合は、信頼性向上の観点からも国家資格の取得を検討することが大切です。
航空法の改正により、2022年から100g以上のドローンには国土交通省への機体登録が義務付けられました。
これは、ドローンの普及に伴って墜落や接触事故などのリスクが高まることを受け、飛行の安全性を確保する目的で導入された制度です。
機体登録は、車の登録と同様にドローン1機ごとに行います。
登録の有効期間は3年間で、期限や更新状況はDIPS2.0から確認できます。
更新手続きは有効期間満了日の1か月前から可能となるため、失効しないよう計画的に対応を進めましょう。
航空法では、機体登録に加えて、ドローンへのリモートIDの搭載が義務付けられています。
リモートIDとは、機体の登録情報などを電波で発信し、第三者が遠隔から確認できる仕組みです。
この制度により、飛行中のドローンがどの機体であるかを把握しやすくなり、危険または不審な飛行を行うドローンの特定や未登録機体の判別が可能となります。
近年は、あらかじめリモートID機能を内蔵した機体も増えていますが、未搭載であれば外付け型のリモートID機器を取り付ける必要があります。
機体の仕様を事前に確認し、適切な対応を行うことが重要です。
航空法に違反して無許可飛行を行った場合、1年以下の拘禁または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
2025年においても、花火大会の会場上空で許可を得ずにドローンを飛行させたり、大阪・関西万博で撮影に使用したドローンの行政手続きに不備(飛行計画の通報漏れ)があったりと、関係者が書類送検されたケースも確認されています。
違反が故意でなくても、処分を受ける可能性がある点に注意しておきましょう。
特に業務でドローンを使用する場合、法令違反は罰則だけでなく、企業としての社会的信用を大きく損なうおそれがあります。
そのため、航空法をはじめとする関連法令を正しく理解し、適切な手続きを行うことが重要です。
「バウンダリ行政書士法人」は、ドローン運用に関する法令対応や各種手続きを一貫してサポートする行政書士法人です。
業務でドローンを運用する際は、航空法をはじめ、複数の法令や制度への対応が欠かせません。
また、飛行許可や承認の要否判断、申請手続き、機体登録、リモートID対応などを正確に進めるには、専門的な知識が求められるため、自力で対応するには膨大な手間と時間がかかります。
バウンダリ行政書士法人は総案件数3万5,000件以上の対応実績を有しており、導入前の不安解消から運用開始後の相談まで幅広く対応しています。
航空法などの法令を正しく理解し、安心・安全にドローン運用を進めたい方は、ぜひバウンダリ行政書士法人へご相談ください。
本章では、ドローンの航空法に関連するよくある質問を2つご紹介します。
許可や承認が必要な飛行を無許可で行った場合、発覚する可能性は十分にあるでしょう。
現在は、周囲の人からの通報だけでなく、警察や自治体による巡回、関係機関の監視体制も整備されています。
さらに、機体登録制度やリモートID搭載義務により、飛行中のドローンから所有者情報を特定できる仕組みも導入されています。
特に都市部やイベント会場、重要施設の周辺では、発覚リスクが高いと考えたほうがよいでしょう。
また、飛行後にSNSや動画サイトへ投稿された映像がきっかけとなり、後日、航空法違反として確認や指導を受けるケースもあります。
ドローンの飛行にあたり、車の運転免許のような免許が必ずしも必要というわけではありません。
ドローンの国家資格は、操縦そのものを許可する制度ではなく、操縦者の知識や技能を証明する資格として位置づけられています。
そのため、航空法などの法令を守って飛行させる限り、資格がなくてもドローンを飛ばすことは可能です。
ただし、有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行にあたるレベル4飛行は、「一等無人航空機操縦士」の資格や「第一種機体認証」、国土交通大臣の「特別な飛行許可・承認」がなければ行えません。
また、ビジネスでドローンを活用する場合、国家資格を保有していないと、許可申請が煩雑になったり、発注条件を満たせなかったりするなど、不利になるケースも増えています。
ドローンを安心・安全に運用するには、航空法を中心とした各種法令を正しく理解し、自身の飛行内容がどの規制に該当するのかを把握しておくことが重要です。
飛行禁止区域や許可・承認が必要な飛行方法だけでなく、航空法が適用されないケースや、ほかの法令または条例が関係する場面もあります。
十分に確認しないまま運用すると、意図せず法令違反となり、罰則や社会的信用の低下につながるおそれがあります。
ドローンの導入や運用を進める際は、事前に法的リスクを整理し、適法な運用体制を整えることが欠かせません。
バウンダリ行政書士法人
代表行政書士 佐々木 慎太郎
(Shintaro Sasaki)
ドローンに関する許認可申請、許認可管理、法務顧問を専門とするバウンダリ行政書士法人の代表。飛行許可申請をはじめメーカー支援、登録講習機関の開設やスクール運営、事業コンサルティング、空飛ぶクルマなど支援の幅を広げ日本屈指のサポート実績を誇る。2025年のドローン許認可対応案件は10,000件以上、登録講習機関のサポート数は200社を突破。
無人航空機事業化アドバイザリーボード参加事業者および内閣府規制改革推進会議メンバーとして、ドローン業界の発展を推進している。またドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」や公式LINEを開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信している。